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信濃川中流域水環境改善検討協議会

第13回協議会

第13回協議会では、以下の3点について協議が行われました

  • 平成17年度調査結果の報告
  • 今後の水環境改善に向けた取り組みについて
  • 宮中取水ダムの状況について

平成17年度調査結果の報告

【事務局説明】

[平成17年度流況]

  • 平成17年は中越地震の影響で宮中取水ダムの取水量が制限され、減水区間の流量は例年よりも多い状況であった。
  • 夏期に流量の変動が大きかったが、10月以降は大きな出水のない安定した流況であった。

 

[夏季気象状況]

  • 西大滝区間を代表する津南のアメダス観測値、宮中区間を代表する十日町のアメダス観測値を見ると、今年は、7月は気温が低く日照時間も少なかったが、8月は例年並みに気温の高い状況であった。また8月は降水量が多かった。

 

[水温観測]

  • 今年度は、8月は例年並みに気温が高かったのにもかかわらず、いずれの地点においても水温は低い傾向であった。
  • 十日町橋、妻有大橋地点では、最高気温で28℃を超えることがなく、例年高い傾向が見られる栄橋、川井大橋地点でも28℃をわずかに超えた程度であった。
  • 例年宮中減水区間の上流から下流にかけ4〜5℃の水温の上昇が見られるが、今年は上下流の水温差が殆ど見られなかった。


 


[水質調査]

  • 今年度は流量変動が大きかった影響でSS(浮遊物質量)の値が例年と比較して高く、BOD(生物化学的酸素要求量)も流量の多い時に高かった。
  • T-N(全窒素)、T-P(全燐)は、例年と比較して下流に行くに従って値が減少する割合が低かった。またT-Pは流量が多い時の値が高かった。

  •  

[河川形態調査]

  • 自然流況に近い状態での、断面の流速・水深・水温、瀬・淵の分布状況、河床の状況といった、河川形態を把握した。
  • 平成17年と減水時の平成14年の測量断面の比較では、昨年の台風23号の出水等によって、河床の形態が大きく変化している状況が見られる。
  • 赤外線映像による平面温度分布の今年度と昨年度の比較では、昨年度は水温の高い範囲が多くなっていることが確認できる。

 

 

[付着藻類調査]

  • 今年度調査では、藻類の生長スピードが遅く、サイクルも短い傾向が見られた。その要因として、出水が短い間隔で繰り返されたこと、水温が低かったこと、濁りで日照条件が良好でなかったこと、流砂が減水時と比べ多く一定のヤスリ効果があったことなどが考えられる。
  • 付着板による藻類の生長状況を昨年度と比較すると、クロロフィルaの値が小さかった。流量変動が大きかったため、生長のピークに達する前に藻類が掃流される状況であったと考えられる。
  • 付着板上の泥等の付着物については、川井大橋で高い値を示すこともあったが、値の変動が大きく、流量が多いことで堆積してもすぐに掃流されていたものと考えられる。
  • プランクトンネットを用いた流下藻類調査でも、昨年度と比較してクロロフィルaの値が小さかった。昨年度までは、今年度は流量変動が多く、生長がピークに達する前に掃流されていたため、流下藻類中のクロロフィルaの値が小さかったと考えられる。
  • 流下水中の藻類は、今年度は付着性の珪藻や糸状性の珪藻が優占する傾向が見られ、比較的流量が安定した9月2日には糸状性の緑藻が優占した。今年度は流量変動が大きく、河床が安定する期間が短かったため、珪藻から緑藻への遷移が生じる前に撹乱が起きていたと考えられる。
  • 十日町橋周辺では、例年、浮上した藻類マットが見られるが、今年度は見られなかった。


 

 


[底生生物調査]

  • 定量調査結果の優占種を生活タイプ別に見ると、今年度は石や礫の下にすみ、石の表面の付着藻類や有機物を食べて生活するタイプがよく優占した。石の隙間に巣をつくって、流れてくる有機物を食べて生活するタイプは、流況が安定した秋調査時に十日町橋地点で優占した。
  • 定量調査結果において、多様性指数で見ると、試験放流開始以降は、おおむね多様性が増加している傾向が見られたが、今年度の秋調査時は、流況が安定したためにトビケラ、カゲロウ類の個体数が非常に多く、多様性指数の値が低かった。
  • 今年度も昨年度に引き続き十日町橋地点の緩流部でトンボの幼虫が採取された。また、宮中ダム直下、栄橋地点の緩流部でもトンボの幼虫が採取された。
  • 地点別の多様性指数の比較では、瀬では地点間の相違はあまり見られなかったが、緩流部では宮中ダム直下、栄橋の両地点で多様性が比較的高かった。


 


[魚類調査]

  • 今年度は、8月は昨年度以前と比較して、百合居橋、十日町橋ともにオイカワの捕獲数が少なかった。10月は十日町橋、栄橋で捕獲数、確認種数共に少なく、特に十日町橋では捕獲数が47個体と落ち込みが顕著であった。
  • アユは、これまでの調査で水温の高い傾向にあった川井大橋で、8月調査時に捕獲され、10月調査時には百合居橋、十日町橋で捕獲された。
  • エビ・カニ・貝類は、今年度は確認数が少なかったが、その要因として、流量増により緩流部が少なかったためと考えられる。

 

[サケ遡上調査]

  • 今年度は自然流況に近い状態であったが、川井地点で40尾(調査日数30日)、宮中取水ダム魚道ではオス14尾、メス12尾の合計26尾(調査日数27日)、西大滝ダム魚道では、昨年度に引き続いてサケは採捕されなかった。流量は多かったが、採捕数は例年と同程度であった。
  • テレメトリー調査では、川井地点で放流したサケは、比較的初期に採捕された個体は十日町橋上流まで遡上する傾向が見られた。宮中ダムで放流したサケは、多くは停滞、もしくは支川に遡上する傾向が見られた。
  • 栄橋下流で、サケの産卵場と産卵行動が確認され、減水区間においても自然産卵が行われていることが確認された。
  • 長野県が平成12年3月に稚魚の放流を中止しており、他の地区の放流数に比べて、信濃川中流域での放流数は絶対数として多くない状況もあり、遡上数は、河川の状態のみではなく、その他複雑な要因が影響していることも考えられる。

予測計算結果(十日町橋付近)  予測計算結果(栄橋付近)

 

【質疑応答】

委員:
河床の変化は地元として大きな問題意識を持っている。以前は良質の砂利をとる地域であり産業として利用してきた。今は流量が少ない影響で上流から砂利が流れてこないため、河川敷ではないところから掘り起こしている。河川形態については今後も重点的に行ってほしい。

委員:
水質について、BODは出水時に高くなっているが、千曲川のデータとは照合しているのか。下流ほど出水による影響が出てくるので、上流との比較はすべき。

事務局:
定期的な計測データはあるが、計測の方法、タイミングが異なるので同様に比較することは難しい。

委員:
地震以降、少しの雨で濁る傾向が見られる。

委員:
護岸等からの土砂の流出、都市排水等の影響も考慮すべき。

委員:
河川横断形状の比較について平成14年度と比較しているが、h16台風23号の出水で河床が変化していたものと思われる。台風直前のものと比較出来ないのか。大きな撹乱があったときに河床が上がったのか下がったのか等比較できるものがあれば良い。また河床の状況も把握しているので、横断に重ねて把握すれば良い。

事務局:
台風以前のデータで最も近いのが平成14年だった。

委員:
水質データは、流量変化による栄養塩濃度の変化と川の生産力との関連や、日中の藻類の光合成によるDOの増加との関連などが、具体的にどのように起きているかがわかり、流量の変化が河川環境全体に与える影響を推測できる貴重なデータである。

委員:
藻類マットは以前から問題となっているが、付着性の緑藻のように締まって石に張り付いているタイプもあれば、糸状性の珪藻、緑藻のように腐敗して浮いたようになっているタイプもあり、それぞれ「密着した藻類マット」、「浮上した藻類マット」のように分けて表現したほうがよい。また、藻類の調査方法について、実際の川の藻類状況を把握するためには、調査対象箇所を代表するような場所を決め、そこの自然石をサンプリングしたほうが実状に合っており、安定したサンプリングができるのではないか。

委員:
サケの捕獲数は少ないことは、遡上数が少ないということにつながるのか。

委員:
シロザケは母川回帰率が高くなく、また漁獲は人為努力であることから判断が難しい。それ以前に、捕獲量20〜50尾というは他の河川と比較すると単位が全く違い、この程度で多い、少ないということを議論すべきではない。サケの遡上は自然環境による影響だけでなく、放流努力のような人為的な影響も大きく、信濃川は稚魚の放流数が絶対的に少ない。また、調査時期は流量の少ない時であり、遡上数が少ないことは予想ができる。魚野川との合流点の本川の道筋を上りやすい状況にする必要がある。また、信濃川本川は距離が長いことも影響していると考えられる。

委員:
50〜60m3/sあってもサケの遡上が少ないという結果を見ると、これぐらいの流量があってもサケの遡上環境は良くならないのかという印象を持つが。

事務所:
流量との関係については、データを検討してみたが、関係性を見いだせなかった。長野県の稚魚の放流が平成12年3月で終わっていることも影響としてあるのではないか。

委員:
流量については、多くても一定でないほうがよい。遡上し始めるタイミングがある。

今後の水環境改善に向けた取り組みについて

【事務局説明】

  • 来年度は発電取水が再開される予定であり、試験放流実施に係る覚書に基づいて試験放流が実施される。
  • 水温については、水温予測モデルを用いて全川において28℃以下を満足するような流量を算出する。あわせて赤外線映像による温度分布図、河川形態調査による生物のすみ場との対応関係を検証し、流量を検討していく。
  • 減水による生物のすみ場への影響を把握するために、河川形態調査を行い、減水時と流量が多かった今年度との比較を行う。
  • サケ遡上については、宮中取水ダムのゲート操作を工夫することによる魚道への呼び水効果の検証を行う。>

【質疑応答】

委員:
サケ遡上については、以前の協議会で、魚野川との比較から70m3/s流せばどうかという議論があったが、70m3/sクラスの試験放流を今後検討できないか。

委員:
150m3/sレベルのフラッシュ放流があればサケに良い影響があると思われるが、検討できないか。また、その時に宮中ダムの魚道について、ゲート操作により呼び水効果が期待できるような操作方法を検討すべき。そうすればあの長い魚道も活きてくるのではないか。また、サケについては長野県も頑張る必要がある。

事務局:
流量については多方面と相談しながら、御指導いただいたことを検討していきたい。

事務局:
流量との関係については、はっきりとした傾向が見られなかったので、先生方にも見ていただいた上で意見を頂きたい。大きい放流量を出すことは簡単な話ではなく、来年度から試験放流が再開する予定なので、その上で流量について検討していきたい。

宮中取水ダムの状況について

【JR東日本説明】

  • 中越地震では各設備に被害を受け、特に調整池の堤体については、復旧に時間がかかるというような状況であったが、水利工作物、電気設備については比較的早く復旧ができるということで、調整池を使わない部分的な発電を継続してきた。
  • 復旧状況としては、水路等の水利工作物や発電機、電気設備、送電線等は復旧が終了している。また、復旧に時間がかかった調整池についても、堤体の盛り立て直し作業そのものは平成17年12月初めに完了した。
  • 復旧はほぼ計画どおり順調に進み、平成17年12月からは盛り立ての終わった調整池に実際に水をためる試験を実施している。試験は千手発電所浅河原調整池、小千谷発電所山本調整池については終了し、新山本調整池についても、2月中旬には試験が終了する見込みである。


【質疑応答】

特に質問等はなかった。



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