信濃川中流域水環境改善検討協議会
第4回協議会
第4回協議会では、以下の3点について協議が行われました。
- 信濃川での漁業の概況及び河川の利用の状況等についての補足説明
- 春、夏、秋の現地調査の結果の報告
- 今後の予定等
信濃川での漁業の概況及び河川の利用の状況等についての補足説明
この項目では、以下の3点につき補足の説明がありました。
- サケ漁獲量の推移
- アユの漁獲量
- 川の利用について(平日・休日)
春、夏、秋の現地調査の結果の報告
調査結果は、以下のようになりました。
調査項目 | 調査結果 |
水質調査 | pHが減水区間に当たる百合居橋、十日町橋、川井大橋などで環境基準を超える高目の値が観測されたが、それ以外の項目については、いずれもおおむね環境基準値が守られた状況であった。 |
栄養塩類 | 水溶性の硝酸態窒素は、減水区間でこのように低くなる特徴が見られ、水溶性のリンは、減水区間で窒素と同様に低くなる傾向が見られた。 |
水温 | 直接測定したデータでは、春、夏とも減水区間で上昇傾向が見られ、特に夏においては減水区間で30℃を超える値が観測された。また、自動観測器による測定結果では、減水区間では昼夜の温度変化が大きいことが確認された。 |
底質調査 | 有機物の量では、一般にいわゆるヘドロと呼ばれる状態とされている5%は下回る数値となっており、一方、硫化物に関しても、このような値であった。 |
魚類(種類数) | 種類数については上片貝が最も多く20種程度、他の地区は10から15種程度であった。八海橋では冷水性の魚類の割合が個体数の中でも多くなっていた。 |
魚類(個体数) | 秋の調査結果において、上片貝、八海橋、湯滝橋では、採捕数が多いのに対して、減水区間の百合居橋、川井大橋では少ない結果となった。 |
魚類(優占種) | 川井大橋と十日町橋地区ではオイカワ、ウグイの割合が非常に多く、8割以上占めているのに対し、八海橋ではオイカワは出現せず、ウグイも4割を占めるにとどまっていた。宮中や百合居橋でナマズやギギ、カマツカ、ニゴイなどの採捕割合が高かった。冷水性魚類に特に着目すると、減水区間とそれ以外の地区では、数も減水区間で冷水性魚類が少なく、特にサケ型の魚類の出現種数が少なくなった結果であった。 |
水温と採捕数との比較 | 夏場では減水区間でアユの生息適正水温を上回る水温を示して、採捕数もわずかだったが、八海橋では夏でも適正水温の範囲にあり、非常に多い採捕数となった。また、ヤマメは採捕数が八海橋で最も多い値となっていて、八海橋以外で春から夏にかけて生息適正水温を上回っていた。また、ニッコウイワナは春に百合居橋でとれていたが、夏の調査では百合居橋でとれず、支川に遡上していったものと推察される。 |
冷水性魚類 | アカザは川井大橋、十日町橋でも採捕された。また、シマドジョウ、カジカは八海橋で最も採捕されたが、減水区間では採捕されないか、あるいはとれても1個体程度という結果だった。 |
アユについて | 夏の調査のときに、減水区間の百合居橋や十日町橋の乾いた河原の石に放流アユの喰み跡が多数確認されたが、実際の調査では採捕する事はできなかった。 |
サケについて | 信濃川全体の回帰率といたしましては、おおむね0.1%程度となっていますが、他の河川では、近年では0.2%から0.4%程度となっている。信濃川の中で魚野川と本川とを分けると、魚野川では0.08%〜0.16%程度であるのに対し、本川では0.02%以下と、低い値となっている。 |
底生生物 | 瀬では夏に多くの底生生物が確認されたが、秋は増水の影響で、湿重量が大幅に落ち込んでいた。緩流部では、十日町橋の夏に瀬よりも大きな値を示しているが、これはヒゲナガカワトビケラという1個体の大きさが非常に大きな底生動物が多数捕獲されたためであった。 |
付着藻類 | 八海橋の夏の値はクロロフィルa、フェオ色素ともに大きな値を示しており、藻類の更新が活発に行われていたと思われる。付着藻類の大ざっぱな分類をすると、夏に信濃川本川では珪藻類が大半を占めており、魚野川の八海橋では藍藻類が優占していた。 |
植物プランクトン | 春の結果では、減水区間で多く確認されており、八海橋と比べて4倍以上の値が確認された。夏にもほぼ同様に減水区間で多く、魚野川の八海橋よりも非常に多い数が確認された。 |
植物 | 十日町橋の両岸では30m以上の自然裸地の後に植生がありますが、八海橋付近では、水際にすぐ植生があるような状況であった。 |
地下水 | 十浅井戸は、河道内の湧水、あるいは川治川の河川水と類似していると思われる。深井戸は浅井戸に比べて信濃川の河道内の湧水、あるいは川治川の河川水との類似性は低いと考えられる。 |
この結果に対して、以下の点について質疑・討論が行われました。
- サケが遡上するような川づくり
- 川と親しめる環境整備。
- 河川維持水量の放流。
- 魚がスムーズに支川と本川を行き来できるように。
- 子供たちが川に関心を寄せられるような環境づくり。
- 中津川水系・志久見川水系においても、ある程度河川維持水量を放流してほしい。
- 地下水問題。
今後の予定等
次回協議会を地下水調査終了後に行う予定しているという旨の説明が行われました。
以上で、第4回協議会は終了しました。