白山北西側に当たる手取川流域の年間平均降水日数は約220日であり、年間平均降水量は平野部でも約2,600ミリメートル、山間部では全国平均の2倍に当たる約3,300〜3,600ミリメートルに達し、湿度も年間を通じて約70〜80%の水準にある。これは、日本列島の脊梁山脈の北西側に位置する北陸地方では、太平洋側で見られるような暖かく湿った気流の収束は見られないものの、前線や台風の影響は避けられず、一方で冬に大陸から吹く北西風により日本海からの多量の水蒸気が降雪としてもたらされるためである。
太平洋中部が暖められて日本の南側に高気圧が発生すると高気圧の縁辺を回ってくる暖かな南西風が強まり、2月下旬〜3月上旬には「春一番」が吹いて日本列島に春を知らせる。日本列島は南の空気と北の空気を交換する中緯度にあたるため、春には西から高気圧と低気圧が交互に訪れて「三寒四温」の天気となる。冬の間に強かったシベリア高気圧が弱まる最後の過程にあるため、低気圧通過時には天気が激しく変化することになる。また、南風は白山北西側でフェーン現象を引き起こすため、急激な雪解けが起こることがある。 |
梅雨期には日本列島をはさむ気圧の高低が釣り合って、前線が停滞するため、6月中旬〜7月中旬の月間降水量は白山白峰では300ミリメートル以上にもなる。台風は年ごとに異なる強さと張り出しになる太平洋高気圧の西縁に沿って北上してくるため、北陸地方にも接近・上陸するので注意が必要である。 |
太平洋高気圧の後退に伴って、日本列島をはさむ気圧の高低が再び釣り合い始めると、秋雨前線が列島を覆うことになる。日本の南から接近する台風が秋雨前線に暖かく湿った空気を吹き込むところで、山岳による増幅効果が重なると集中豪雨となるが、この影響が北陸地方まで及ぶことは少ない。むしろ秋に日本海側を回る台風は温帯低気圧化して強力に発達する場合があるので夏とは異なった注意が必要になる。 |
白山の初雪は10月中旬であり、積雪は標高・方位によって徐々に進み、厳冬期には5メートル以上の厚い雪に覆われる。積雪は斜面を下方に引きずるだけでなく、雪崩によって埴生ごと斜面を崩していく。また、低く垂れ込める雲が乱れて積乱雲となると北陸地方特有の非常に強い冬季雷が発生することとなる。 |
月別平均総降水量(単位:mm)
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日本の年間降水量分布図
(国土地理院発行 新版日本国勢地図H12より)
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