白山(御前峰2,702メートル)を主峰とした分水嶺には、北東に野谷荘司山・笈ヶ岳・奈良岳、南西に別山・三ノ峯・赤兎山など1,500メートル以上の峰々が連なっている。上流部の山地は全般に急峻であり、大規模な地すべり地形及び滑落崖、大規模な崩壊地形が分布する。中流域では河岸段丘が発達し、集落及び耕地が広がっている。
流域の地質は、非常に古い年代の岩石からできた飛騨変成岩類にはじまり、現世の白山火山噴出物まで変化に富んでいる。飛騨変成岩類(片麻岩)は、手取川ダムの東方及び尾添川流域に広がり、これを取り巻いて手取川上流には、恐竜化石が産出することで知られる中生代の手取層群(砂岩・頁岩)が分布する。さらに白山のスーパー林道の一帯には、中生代〜新世代の濃飛流紋岩類(火砕岩)が広がっている。手取川中流域及び瀬波川・直海谷川・大日川流域には、グリーンタフと呼ばれる新世代の火山岩及び火砕岩が分布する。新旧の白山火山噴出物が分布する尾根部は緩傾斜であるが、その縁辺は急崖が連続する。
白山南西斜面の甚之助谷・別当谷及び湯の谷では、大規模な地すべりが現在も活動している。これらの地すべりは、主に手取層群の流れ盤構造の地域に発生している。また、手取層群及び濃飛流紋岩類の変質帯では大規模な崩壊地を形成している。