南魚沼市・登川の砂防林について

 4.地元の方の声
 以下は、地元の方に湯沢砂防事務所がお聞きした内容を、当事務所の責任で掲載するものです。
(1)
(砂防林の中に土砂や水が入ってきたことがあるかと尋ねたところ)入ってきたなんていうものではなく、出水のたびに杉林が根こそぎ流されるというのが普通であった。出水のときには、この杉の木を切って、木流しなどの水防用に使っていた。
 
昭和57年滝谷橋〜沢口橋右岸(出水後)
   
(2)
この集落には杉林のほかに、江戸時代につくられた石垣もある。これは今の堤防に相当するものである。
   
(3)
先人たちは、必要最低限の治水対策としてこのような杉林を築いたのだが、これで安全になるようなものではない。我々は、杉林があっても何度も土砂災害等の被害を受けてきたので、昭和41年に地元で改修促進期成同盟会を設立し、流路工の整備を要望して、ようやく整備されたものだ。
 
碑文へ
 
登川流路工記念碑
   
(4)
流路工の整備で安全になったが、昭和56年の出水のときには流路工いっぱいに水が流れ、流路工が整備されていない区域の一部では、杉林内に水や土砂が入って、土地が流されたところもある。その後、そこでは杉の木を植えたところもある。あの時よりも多くの雨が降ったら、また溢れるのではないかと心配しているし、今年の8月にもたくさんの水が流れ、流路工がなかったら、昔のように氾濫していたと思う。
   
(5)
杉林が点在しているのは、出水により水がぶつかる場所が大体決まっていたことや、圃場整備などにより一部伐採したところがあるためである。杉林だけではとてももたないところには、土を入れて堤防のようにしたところもある。また、いつも被害を受けるところは、共有地にして杉を植えていたところもある。
   
(6)
かつては、登川だけでなくこの周辺の川沿いには、杉の木が同じように植えられていた。今でもその名残が残っているのは、例えば高棚川であるが、未整備であり、出水によって木が倒れるとかえって危険でもあるので、地元では伐採してしまおうかという話もある。
   
(7)
登川のような急流河川では、杉林だけで治水の安全度を講じるのは無理と思う。杉林だけだと、出水のときに土地が流され、バックホウやブルドーザで流されたような跡になってしまう。また、出水によって木が流され、流木になって被害を助長する恐れもあり、怖い。