南魚沼市・登川の砂防林について

1.概要
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登川の砂防林は、古くから登川の扇状地上で生活を営んできた地域住民の方が、土砂災害等と闘うため、登川沿いに杉を植林してきたものです。この砂防林は、約48haの面積を有し、現在でも登川沿いに形成されています。ほとんどは、杉の植林からなっていますが、ごく一部には落葉広葉樹林が見られます。
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樹齢は、ほとんどが100〜150年のようです(地元の方からの聞き取り)。
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文政10年(1827)の「早川村登川通川除立木取決証文」では、「早川村では登川の立木は、伐採はもちろん枝・葉にいたるまで伐取することは農民全員の連判証文によって禁じられ、柳の木を1本売ったことで訴えられた者もいる」と記されています。
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また、旧上田村の郷土誌には、「役所では、滝谷村ばかりでなく、配下各村に川端の水防地域に水防を兼ねて植林を奨励した。滝谷村でも登川沿いの地域に植林していたが、これが天保時代には立派に成木していた」という記述があり、天保7年(1863)に売却したことを示す古文書が引用されています。
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このように、かつては砂防林を伐採することを厳しく禁じていた記録がありますが、地元の方にお聞きしたところ、現在は、このような「決まり」はないし、昔からの言い伝えも特に聞いておらず、樹木の伐採は個人の意思に委ねられているようです。この砂防林は、一部の共有地を除いて個人所有が基本で、杉の植林も昔から個人で行なわれてきたようです。