大里峠の大蛇伝説
荒川(あらかわ)の支流(しりゅう)、女川(おんながわ)の上流に蛇喰(じゃばみ)という村があり、"忠蔵"と"おりの"という夫婦、そして娘が住んでいました。忠蔵の仕事は炭焼(すみや)きで、仕事場の阿古屋谷(あこやだに)には大蛇がいるというウワサがありました。

 ある日、忠蔵がお昼ごはんの後にうたた寝をしていると、みょうな物音がしました。見ると大蛇がそばまで迫ってきています。忠蔵はマサカリをつかみ、大きな口をあけた大蛇と必死の思いでたたかい、何とかしとめました。忠蔵はその大蛇をみそ漬けにすることに決め、てきとうな大きさに切って家に持ち帰りました。そして樽(たる)に入れてみそ漬けにしたのです。
 樽は合計で13個半になりました。忠蔵はおりのと娘に「樽の中は決して見てはいけないよ」と言いましたが、何日かして、おりのは「少しのぞいて見るだけ」と樽を開けてしまいました。

 そしてみそ漬けの肉を見て「おいしそう」と思い、1つ食べてしまいました。そのあまりのおいしさにあと1つ、もう1つと次々に食べ続け、しまいにはすべてをたいらげてしまいました。それでのどが乾いたおりのは、女川の水を飲み始めました。そのとたん、おりのは水面にうつる自分の姿を見て驚きました。

 なんと、大蛇の姿になっていたのです。
 夕方、忠蔵が仕事から戻ると「おっかあがいない」と娘が泣いていました。忠蔵はからっぽになった樽をみてすべてをさっしました。そしておりのを探しに出ましたが、とうとう見つかりませんでした。

 それから何年もたった夏の終わりのある日のこと。1人の座頭さんが米沢街道(よねざわかいどう)を、歩いていました。

 ちょうど大里峠で夜になったので、座頭さんはほこらの前にすわって休むことにしました。そして琵琶(びわ)の演奏(えんそう)を始めました。1曲ひきおえると、どこからか女の声がします。「もう1曲、聞かせて下さい。」座頭さんがたのまれるままに琵琶をひき続けました。
 その後、女に身の上をたずねてみたら女は「私はもともと、人間で夫も娘もいましたが、わけあって大蛇になってしまったんです。」とこたえました。

 ビックリしている座頭さんに女はなおも言いました。「体が大きくなったので住む所もせまくなりました。なので、貝附(かいつけ)のせまいところをせき止めて、荒川や女川のあたりを大きな湖にして、そこに住もうと思っています。だから座頭さん、あなたは安全な場所へ逃げた方がいいですよ。

 でも、このことはだれにも言わないで下さい。もし、ばらしたら命はありませんよ。」
 座頭さんは大変だと思い、下関(しもせき)へと急ぎました。大蛇が川をせき止めたら村は湖の底にしずんでしまいます。それを知らせるために大庄屋(だいしょうや)の渡辺三佐エ門の家へかけつけたのです。
すべてを話した座頭さんは、そのまま息を引き取ってしまいました。

 三佐エ門は村の人々を集め、相談を始めました。座頭さんが息を引き取る直前に「大蛇は鉄がとてもきらいです」と言ったのを思いだし、村中の鉄を集めて大きなクギをたくさん作ることにしました。そしてそのクギをみんなで大里峠まで運び、あたり一面にうちつけたのです。

 すると大蛇が姿をあらわして苦しみ始めました。
 それは7日7晩の間つづき、村人たちは眠れない日々を過ごしました。

 やがて大蛇は息絶えて、村は助かりました。村人たちは危険を知らせてくれた座頭さんに深く感謝し、神様としてまつることにしました。

 今でも下関には、座頭さんののこした琵琶がまつられているということです。

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