最先端技術を用いて「11% 20億円削減」「1.4倍の速度で掘削」
◆コスト縮減方策
(1)標準支保構造の仕様変更
- ① 1掘進長の延伸:1発破あたり従来の2倍の延長を掘削する
- (長孔発破:B、CⅠ) B:2.0m → 4.0m、C:1.5m → 3.0m
発破回数の減 → 工期の短縮(=コストの減) - ② 1掘進長、支保工間隔の延伸 :間隔を1.2~1.25倍に延伸
- (CⅡ、DⅠ) CⅡ:1.2m → 1.5m、DⅠ:1.0m → 1.2m
支保工の減 → コストの減、工期の短縮(=コストの減) - ③ 吹付コンクリートの初期強度発現、高強度化 :強度を上げて吹付厚を5cm薄くする
- (CⅠ、DⅡ、DⅢa) CⅠ:10cm → 5cm、DⅡ:20cm → 15cm、DⅢa: 25cm → 20cm
掘削量の減、コンクリート量の減 → コストの減、工期の短縮(=コストの減)
薄くした分はコンクリートの初期強度の発現を高めて安全を確保する。 - ④ 覆工コンクリートの高強度化:強度を上げて覆工コンクリートを5cm薄くする
- (B、CⅠ) 30cm → 25cm
掘削量の減、コンクリート量の減 → コストの減
薄くした分はコンクリート強度を上げて強度を確保する。 - ⑤ 初期強度の高い定着材採用によるロックボルトの早期強度発現
- (全パターン)
構造を薄くした分は高強度の材料を用いることで強度と安全性を確保している。
また、高強度の材料は早期強度も高いため、さらに安全性が増す。
工事用道路トンネルは延長が長く、硬岩地山の比率が大きいので、道路トンネル技術基準にある標準支保構造の枠を超え、新技術を導入してコスト縮減を目指 すために、過去の実績と今回検討における検証結果を踏まえ、標準支保構造の仕様を変更し、上記の新しい支保構造を採用した。
(2)掘削工法の変更
掘削工法の変更によるトンネル施工の効率化
- B、CⅠ:
- 補助ベンチ付全断面 → 全断面
- CⅡ:
- 補助ベンチ付全断面 → 同左(変更なし)
- DⅠ、DⅡ:
- 上部半断面 → 補助ベンチ付全断面
(3)コスト縮減方策に必要な施工方法
発破の方法の変更や発破精度の向上(① ②)、使用機械の大型化(③ ④ ⑤)が必要
- ①発破パターン(心抜き方式の変更:B、CⅠ)
- ②余掘り対策(スムースブラステイング:B、CⅠ)
- ③穿孔機械の大型化
- ④ずり積み機械の大型化、ずり運搬機械の効率化
- ⑤吹付け機械の大型化
◆施工時の安全管理と品質確保
施工時の地質情報事前把握と対応策、安全管理と品質確保体制が重要
- ①前方探査、切羽観察、計測結果等による的確な地山評価と地質予測
- ①悪い地山に遭遇したときに安全に掘削するための適切な補助工法の選定
- ①施工時の安全性を確保するための安全管理体制
- ①覆工コンクリートの品質管理(巻厚不足、充填不良、ひび割れ)
◆コスト縮減率の目安
トンネル施工費の11%を削減(約20億円程度と試算)
- 1・2号トンネル(延長5km)で、今回の新しい設計・施工法によるコストを試算し、従 来の標準的な工法による場合と比較して求めたコスト縮減率は、11%程度が見込まれる。
- 1・2号トンネルは良好な地質が全体の60%程度を占めると予想されるが、試算によるコスト縮減率は地山等級でのバラツキがあるため、実際の地山 の状態によってコスト縮減率は変動する。
従来の平均1.4倍のスピードで施工
- 従来86.5m/月 → 120.7m/月
- 掘削の効率化、支保構造の変更による作業時間の減、機械の大型化による効率化で高速化
- 5kmのトンネルの本体施工:従来およそ5年が3年半程度に短縮