港湾
港湾改修費補助事業
 
目的
港湾法により、交通の発展及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全することを目的とする
制度の内容
補助対象事業は港湾整備事業であって、かつ以下の事業に限られている。
(1)港湾改修事業
一般公衆の利用に供する目的で水域施設、けい留施設、外かく施設及び臨港交通施設を建設又は改良する事業
@水域施設
船舶の航行又は停泊の用に供される施設で、航路、泊地、船溜りがある。
Aけい留施設
船舶のけい留の用に供される施設で岸壁、物揚場、けい船くい、浮さん橋等がある。
岸壁  ・・・・・水深−4.5m以上で500t以上の船舶の接岸を対象
物揚場 ・・・・・水深−4m以下で500t未満の船舶の接岸を対象
船揚場 ・・・・・船舶の軽微な修理、カキ落し、塗装等を行うための施設
B外かく施設
港湾区域内の水面、港湾施設、港湾周辺地域を防護するための施設で防波堤、防砂堤、導流堤、護岸、防潮堤等がある。
補助対象となるのは、公共施設を防護する施設に限られる。

【事業主体】

国、港湾管理者
※港湾管理者とは、港湾法の規定により港湾を開発、保全、管理、運営する港務局又は地方公共団体をいう。
 
(2)港湾施設改良費統合補助事業
施設の老朽化等により陳腐化し利用効率の低下した施設等に利用ニーズの変化に対応した適切な改良を加え、有効活用していくことが必要である。
このような既存施設の利用ニーズの変化に柔軟かつ適切に対応するため、平成11年度に創設した既存施設有効活用促進事業に局部改良事業を加えた統合補助金「港湾施設改良費統合補助事業」を平成12年度より創設した。
事業メニューとしては、以下のとおりである。全体事業規模が2億円以上(市町村管理の港湾にあっては、20百万円以上)5億円未満の利用転換促進事業(クリアランス事業、人工地盤、買取+改良による利用転換、岸壁から親水護岸への変更等)、利便性向上事業(バリアフリー化のための改良等)、延命化対策・利用促進事業(係留施設、臨港交通施設等の部分的改良)。
@既存施設の利用転換のための買い取り、改良
 ・ 既存岸壁の利用転換(荷役岸壁から船だまり・親水護岸への変更等)のための改良事業(岸壁構造の変更、緑地化等)。
 ・ 遊休民間施設の公共施設への利用転換のための港湾管理者による買い取り
A港湾空間の再開発・高度化
 ・ 港湾空間の高度化等のためのクリアランス事業(建築物撤去)、人工地盤の建設
B利便性向上のための改良
 ・ 旅客船係留施設、緑地等のバリアフリー化。
 ・ 柵等の設置による安全性の向上。
 ・ その他使いやすい港湾の形成を図るための局部的な改良事業。
C既存施設の延命化のための改良
 ・ 係留施設、臨港交通施設等の基本施設の部分的改良
 
(3)地方活性化モデル事業
港湾の整備を通じて伝統的産業や観光レクリエーション産業の育成強化を図り、地域経済の活性化を図ることを目的とする。経済の停滞が認められる地域において活性化を図るため、係留施設、緑地、道路等の公共事業の重点的投資を行うとともに、外周護岸の整備を行う事業。
 
(4)港湾利用高度化促進事業
老朽化、陳腐化した施設を再開発して港湾の利用高度化を図り、地域社会の発展の中核となる新たな拠点の形成を促進することを目的とする事業。
港湾管理者が港湾計画の策定等にあたって、別途港湾の利用の高度化を促進すべき地区を定め、同地区において土地の整備(建築物の除去等)及び、高次基盤施設の整備に対し補助する(既存施設有効活用促進事業に該当するものを除く)。
補助対象事業
1) 港湾再開発等土地整備事業(クリアランス事業)
除去後に築造される施設が、港湾法に規定する港湾施設であることを要する。
2) 高次基盤施設整備事業
@港湾管理情報システム整備費
A人工地盤等
3) 港湾施設高度化促進事業
民有等の所有する既存岸壁等を公共利用に転換するための買取り費用
 
(5)港湾事業調査費補助
重要港湾(特重含む)で3年以内に港湾計画が新規に策定、改訂及び一部変更の予定があり、そのための自然条件調査、環境アセスメント調査、経済調査に要する経費に対し補助し、港湾整備5か年計画を円滑に推進するための事業調査が短年度に完了することを要する。
 
(6)特別整備事業
一般公衆の利用に供される施設で、港湾管理者又は港湾管理者以外の者が、その施設整備を更に促進するため、事業費の3割に相当する額の負担を申し出た事業
事業費の3割に相当する額は単独事業、7割に相当する額は補助事業
 
(7)産業関連事業
企業合理化促進法に基づき企業者が申請して実施する事業で整備される施設が将来一般公衆の利用に供されるものであるが、当分の間は、特定の事業者が利用するものであって、かつ、その利用によって受益する程度が全事業の5割に相当することが想定される事業。
外かく施設及び水域施設が対象となる。港湾管理者負担金の5割に対し、港湾法の規定に基づいて補助率を適用。
 
海岸保全施設整備事業
 
概要
(1)高潮対策
この事業は、高潮、波浪、津波等の海水による災害を防除するため一定の計画に基づき海岸管理者が管理する海岸保全施設の新設又は改良に関する工事である。

(2)浸食対策
この事業は、波浪による海岸の浸食又は災害を防除するため一定の計画に基づき海岸管理者が管理する海岸保全施設の新設又は改良に関する工事である。

(3)局部改良
この事業は、事業規模が小さく原則として短年度に完成し早急に事業効果を発揮することを目的とし、海岸管理者が管理する海岸保全施設の新設及び改良に関する工事である。
海岸法による補助の要件(海岸法27条)
(1) 海岸保全区域内にある海岸保全施設並びにその附帯設備(排水機場等)であること。
(2) 当該施設を海岸管理者が管理するものであること。
海岸保全施設の管理者は大別すると「海岸管理者の管理する」ものと、それ以外の者の管理に属するものに分けられる。後者に属するものをみると次のとおりである。
(イ) 海岸管理者以外の国の機関が、公用・公共等の国有財産として管理しているもの。
(ロ) 地方公共団体が、公用、公共用、企業用等の公有財産として管理しているもの。
(ハ) 私人の管理に属するもの。
海岸管理者が管理するという「管理」の意味であるが、海岸管理者の事務は、国の事務であるので、この管理は本来当該海岸保全施設及びその敷地を、国が所有していることによって、つまり「権原」によって管理するものに限るというものが原則であるが、海岸管理者に管理させることとして公式に管理引継され、事実上管理しているものは、所有権を国に移さなくとも海岸管理者の管理するものとして解している。
採択基準
港湾海岸における事業の採択基準は、以下のとおりである。
(1)高潮対策
@海岸管理者が管理する海岸であること。
A高潮、波浪又は津波により被害が発生する恐れの大なる海岸であること。
B防護面積、防護人口が1kmあたり5ha以上又は50人以上を基準とする。

(2)浸食対策
@海岸管理者が管理する海岸であること。
A浸食による被害が発生する恐れの大なる海岸であること。
B防護面積、防護人口が1kmあたり5ha以上又は50人以上を基準とする。
 
(3)局部改良
@ 海岸管理者が管理する海岸であること。
A 短年度施行をもって事業の効果を発揮し得るものであり、原則として総事業費が5,000万円以上(県)、2,500万円(市町村)以上であること。
 
海岸環境整備事業
 
概要
国民の生活、生産、流通、そして余暇の場として、日本列島の海岸線の存在意義はますます高まりつつある。全国的な都市化の進展に対応して海岸地域の保全の向上がはかられ、加えて、潤いある豊かな海岸環境が創出されることが、今日渇望されている。
そのため、従来から進めてきた海岸線における海岸保全事業を一層強力に推進するとともに、新たに海岸環境整備事業をすすめることにより、海浜レクリエーション等海岸利用の向上をはかり、周辺の景観や自然資源との調和をはかるなど海岸周辺の環境の整備を推進する。とりわけ「養浜」と「緑化」を導入することにより、魅力ある海岸線の創出をはかっていく。つまり、海岸をめぐる土砂環境の自然システムに生じたアンバランスを「養浜」という人工的手段で補うことによって、海浜を復元し、拡張し、海岸線の自然環境の保持に努め、海岸利用の向上に資するものとする。また、景観との調和、市民の憩いの場としての活用などを目指して、植栽等による海岸線の緑化を積極的にすすめ、美しい、みどり豊かな、潤いある海岸線をつくりだすようはかっていくことが趣旨である。
海岸環境整備事業は、昭和48年度より国の補助事業としてスタートしている。
海岸環境整備事業の実施要網
事業の性格
(1)海岸事業5か年計画の事業とする。
(2)地方財政法第16条による予算補助事業で国の補助率は1/3で、事業主体は地方公共団体とする。
(3)造成された施設等は、地方公共団体の管理とする。

事業の対象

(1)離岸堤
(2)突堤
(3)階段式護岸および護岸(堤防を含む。)
(4)昇降路
(5)水叩兼用の遊歩道
(6)人工海浜
(7)植栽
(8)安全情報伝達施設
(9)その他所期の目的を達成するための必要最小限の施設および植栽等の新設および改良
 
事業採択方針
次の各号の一つに該当するものであること。
(1) 周辺に公営の公園、ヨットハーバー等レクリエーション施設が整備されたところ、あるいは整備中のもの(計画中のものも含む)で、完成後には総合的なレクリエーション機能が発揮されるものであること。また、民間と競合しないものであり、本事業で造成された施設等は、地方公共団体が一元的に運営できるものであること。(総事業費が8千万円以上であること。)
(2) 海岸保全施設の設置だけでは、前浜の回復、環境維持が困難であるため、あるいは、海浜特性からみて、海岸保全施設の設置に制約があるため、緊急に養浜を実施しなければならない海岸であること。(緊急養浜事業) (総事業費が8千万円以上であること。)
(3) 海水欲等の利用度が高く、既に海岸保全施設が整備されている海岸において行う次の事業で、総事業費が1千万円以上であること。
 
@ 階段工及びこれと一体として整備する水叩兼用の遊歩道又は植栽の事業で、かつ短年度施行をもって事業効果を発揮しうるものであること。
A 海岸利用者の安全性の確保を図るための安全情報伝達施設を整備する事業であること。
(4) 海浜からの飛砂により、背後地の生活環境が悪化している地域において、飛砂を防止するための事業であること。(総事業費が1千万円以上であること。)
 
公有地造成護岸等整備統合補助事業
 
概要
我が国は、四面を海に囲まれ臨海部の土地利用はきわめて高密度であり海岸背後における人口、産業の集積は著しいものがある。このような状況から公共施設である下水処理場、公園、学校、公民館等の公共用地の確保は主として用地取得の面から困難となっており、背後が狭く海岸線に人家が密集している地区はもちろん、その他地区においても沿岸海域において公共用地確保の要請が多くなってきている。これらの公共施設について、各々の利用目的から単独に沿岸海域の用地確保を行い事業を進めることは、沿岸海域の乱開発やスペース利用の競合が生じ、秩序ある保全、利用開発の面から著しいマイナスを生じるおそれがある。このため海岸管理者が適正な管理方針にもとづきこれらの要請に応えていくことが望ましいことはいうまでもないことである。また、海岸管理者が行う事業は国土の保全を目的としたもので今後も海岸防災には万全を期する必要がある。これらのことから公有地造成事業は国土の保全を前提として、国土の有効利用の観点から沿岸海域の有効かつ適正な土地利用の推進に資することを目的とすることとし、この点において一般の埋立地事業とは大いに異なるところである。
公有地造成護岸等整備事業は、背後地が狭隘であるため、沿岸海域の埋立てによらなければ公共用地の確保が困難な場所において、海岸災害から国土を保全し、合わせて学校、公園、下水処理場等の公共用地の計画的な造成の促進を図るための護岸等の海岸保全施設の新設に関する工事である。
昭和53年より補助事業としてスタートしており、平成14年度から統合補助金化されている。
公共地造成護岸等整備統合補助事業の実施要綱
事業の性格
(1) 海岸事業5か年計画の事業とする。
(2) 地方財政法第16条による予算補助事業で、国は、護岸、根固、消波工等の海岸保全施設の設置に必要な経費について4/10を補助する。
 
事業の採択方針
本事業は、次の要件を具備し、特に整備を必要とする箇所について採択する。
(1) 沿岸海域の埋立によらなければ、公共用地の造成が困難な場所であること。
(2) 造成の目的が下水処理場、公園、学校用地等の公共用地の確保であること。
(3) 造成事業の実施者が地方公共団体であること。
(4) 本事業に要する事業費が当該地区における国土保全のみを目的とした海岸保全施設の整備に要する事業費に対して1.5倍をこえないこと。
(5) 1件当たり事業費が10,000万円(県・内地)、5,000万円(県・その他、市町村)以上であること。
 
海岸保全施設補修統合補助事業
 
概要
海岸法では、海岸保全区域の管理に要する費用は特に法令等の定めのない限り海岸管理者の属する地方公共団体の負担と定めている(海岸法25条)。この規定により、従来、海岸保全施設の補修は、地方公共団体の単独費をもって行われてきた。しかしながら、四省庁所管海岸事業全体の過去(47〜52年)の実績では、年間約1,150件、金額にして約13億円程度と非常に高額となっており、工種別には、水門、樋門、排水機場関係で件数の約50%を、次いで堤防、護岸等の関係で約35%を占めていたこと。また、国土保全に係る同種の事業については、地方財政法16条に基づく予算補助として、河川修繕費補助(二級河川)が昭和51年度より、砂防設備修繕費補助及び堰堤修繕費補助(二級河川)では、昭和52年度より実施されていること。このような状況のために、海岸保全施設の補修に対して国の補助制度の創設を要請し、昭和54年度より認められ、平成13年度から統合補助金化されている。
海岸保全施設補修事業は、老朽化等により著しく機能が低下した海岸保全施設の修繕を行い既存の施設を適切かつ有効に機能させ、災害の発生の未然防止を図るための工事である。
海岸保全施設補修統合補助事業の実施要網
事業の性格
(1)海岸事業5か年計画内の事業である。
(2)地方財政法第16条に基づく予算補助事業で国の補助率は1/3で、事業主体は地方公共団体とする。

事業の採択方針
本事業は次の条件を具備するものについて採択する。
(1)海岸管理者が管理する海岸保全施設で次に掲げる海岸保全施設の補修事業であること。
 (イ)堤防、護岸
 (ロ)離岸堤、突堤、根固、消波工等
 (ハ)水門、樋門、排水機場等
 (ニ)その他の附設備
(2)1件あたり事業費が、3,500万円(県)、1,500万円(市町村)以上であること。
 
ふるさと海岸整備事業
 
事業の目的
ふるさと海岸整備事業は、潤いのあるまちづくりの核として良好な海岸空間の創出を目指している地域の海岸において、老朽化等により安全度の低下した既存施設の改良にあたって、海岸背後地域の特性や海岸性状等に十分配慮し、海岸背後のまちづくりと一体となった良質で多画的な機能をもった海岸保全施設の整備を行うことにより、地域住民に親しまれ、海辺とふれあえる美しい景観をもった安全で潤いのある海岸空間の創出を図ることを目的として、港湾海岸において海岸保全施設整備事業の一環として平成元年より創設されたものである。
事業の内容
事業の性格
(1)海岸事業5か年計画に基づく事業とし、海岸法に基づく法律補助事業とする。
(2)高潮対策事業または浸食対策事業の一環として行う。(補助率・・・2/5、1/2、2/3)

事業主体

事業主体は海岸管理者とする。

事業対象
護岸(堤防を含む)、離岸堤(潜堤を含む)、突堤等の基本的な施設及び護岸(堤防を含む)における飛沫防止工(植栽)等所要の目的を達成するために必要な施設の新設及び改良とする。
事業採択要件
本事業は、従来の高潮対策または浸食対策事業に関する採択基準及び以下の要件(1)と(2)を満たす海岸管理者の管理する海岸のうち、以下の要件(3)あるいは(4)を具備し、特に今後の「ふるさとの海岸づくり」の模範となる箇所であり、原則として総事業費が概ね1億円以上であるものについて採択する。
(1) 海岸線背後に住民が密集しており、防護人口密度が大であること。
(2) 既存の海岸保全施設の老朽化が著しく、その改良が急がれていること。
(3) 計画外に対して所要の天端高を満たしていないため、安全度が不足していたり、越波、飛沫による被害をうけているにもかかわらず、周辺状況から即存施設の天端の嵩上げが困難であり、その早急な対策が不可欠であること。
(4) 護岸、堤防の天端が高く、住民の日常生活に圧迫感を与えていたり、全面の消波ブロックと合わせ海岸へのアクセスが容易でなく、その改善が強く望まれていること。