関川流域委員会第1回ワーキンググループ議事要旨
日時 : 平成15年4月23日(水) 13:30〜15:30
場所 : ホテル センチュリーイカヤ
1.概要

 委員長提案(資料−1)に基づき、当委員会の体制、手順、調査・協議の内容、スケジュール等の素案について検討を行い、次回までに下記の3点について各メンバーが考えを整理してくることとなった。
( 1 ) 当ワーキンググループの目的、内容、スケジュールについて(修正すべき点、重点的に考えるべき点、付け加えるべき点等)
( 2 ) 当委員会あるいは住民参加型協議における合意形成の基本的な考え方(合意形成をどのように進めていけば良いか)
( 3 ) 河川管理者が用意する河川整備のオプションに盛り込むべき情報
 
2.ワーキンググループについて

( 1 ) 内容の公開に関することは委員会と同様とする。(委員名を挙げての報道はご遠慮いただく。)
( 2 ) 目的は、委員会の活動を効果的に進めるため(活発に議論ができるよう)、データ、スケジュール・手法等の案を用意することである。また、住民参加型協議を効果的に進めるための準備作業を行うことも目的であろう。
 
3.委員会全般について

( 1 ) 委員会での議論を経て出てくる合意事項を委員会の中だけでなく、地域住民とシェア(共有)する必要があろう。
( 2 ) まず委員会の中で基本線のようなものを作らないと議論が進まないので、資料−3「当委員会が取り組むべき課題とその取り組み方」を作る目的で1年間委員会が運営されてきた。
( 3 ) これだけ多様な社会であるから、何か一つの提案があれば対立した意見は出る。直接利害に関係しなくても対立した意見は当然出る。さらに、具体的な社会資本である「河川」を整備する際には、直接的な利害関係から対立意見が出てくることもある。
( 4 ) 当委員会あるいは地域住民の方々と協力しながら進めていくうえで合意を得るプロセスが重要で、それをいかに透明性を持って、公平性を持って、合理性を持って進めるかということを議論しておく必要があろう。
( 5 ) 関川・川づくりワークショップは、地域的で、具体的で、比較的利害が対立しないテーマ(河川敷)が対象であったので、意識が一致しやすく、まとまりやすい面があったと思う。
( 6 ) 利用(河原・水辺での遊び)がテーマであっても、背後地・堤内地と一体となった公園、民地の買い足し、駐車場整備等発展的なことも言いたい。
( 7 ) 今問題になっているのは下流域、中流域を含め内水対策であり、これは本川だけの話ではなく流域全体の話である。
( 8 ) 流域全体の公共の福祉を最大化するとともに、個々の不利益を最小化することが課題であるが、それをどこまでできるかという不確定性がある。また、国土交通省からどの段階で整備計画案が出てくるのかということも不確定要素の一つである。
( 9 ) 流域全体の公共の福祉を最大限にすることを目指すとともに、それがために個々人が被る不利益を最小限にするところが合意点であると思うが、それでも合意できない人は出てくると思う。
(10) 人々の利益を最大限にするとともに不利益を最小限にする接点を見いだすプロセスが合意を得るプロセスであり、それを流域住民全体で明らかにし、そのプロセスを踏みながら進んでいくことが重要であると思う。
(11) 他河川の流域委員会等においては、議論のプロセスが必ずしも順調に行っているわけではなく、いろいろな問題をそれぞれ抱えている。
(12) これまでの、国土交通省が案を作って住民に説明して進めてきた河川整備のあり方から、住民の意見を汲み取りながら河川整備を進めるあり方へと法律改正まで行っているのだから、他河川の事例・経験を参考にしながら、何らかのチャレンジャブルなこと(挑戦)を行っていくべきである。
(13) 試行的なところが多いので、スケジュール・項目について、追加・延期、あるいは省略・短縮があるかもしれない。
(14) これまでの経験等を生かし、水防を通した安心したまちづくりなどについて提言していきたい。
(15) 当委員会の主眼・大前提の目的は、どれだけ住民サイドから意見を吸い上げて合意形成を図るかにある。
(16) 当委員会の委員はいろいろなセクター(分野)から集まっており、また、合意形成にかかわるいろいろな事例が(特に都市計画、区画整理の分野を中心として)出てきているので、知恵を集めながら進めていきたい。
(17) 河川整備計画を決定するのは当委員会ではなく行政である。このため、当委員会は意見を言うだけではあるが、そのプロセスが法律で規定されていることから、普通の「意見を言うだけ」とは意味が違うのだと思う。
 
4.住民参加型協議について

( 1 ) 例えば大がかりな住民調査を行ったうえで、なおかつ住民参加型協議を行うのは、当委員会に地元の住民を代表する役割を担う委員がいることを考えると、多少整合性が気になる。
( 2 ) 過去に国土交通省の河川整備案に対する反対運動が起こっていることを踏まえると、当委員会で作る案について住民意見を「聞く、集める」プロセスは不可欠であろう。
( 3 ) 広範囲で意識調査を行い「意識調査の結果」「調査結果の解析結果」「解析結果から当委員会が判断した内容」を全てウェブ(インターネット)を通してオープンに(公開)し情報を共有化したうえで、関心のある方に来ていただいて住民参加型協議を行うと良いのではないか。
( 4 ) 住民参加型協議に基本的に定員はないと思う。
( 5 ) 例えば100人くらいの規模で住民参加型協議を行う場合、まず全体討論を行い、次に環境面・防災面等にブレイクアウトしたセッション(テーマ別討論)を行い、最後にまた全体討論を行うような中で議論を集約していってはどうか。
( 6 ) 幅広い質問設定による幅広い住民を対象とした意識調査によりいろいろな意見を把握し、これを踏まえて例えば事務局で素案・骨格を作成し、委員会で議論し、最終的に、住民を集めてシンポジウム等を開催し素案・骨格に対する意見を集約する方法もあるのではないか。
( 7 ) いきなり河川整備計画へのコメント(見解)を求めるのは少し危険ではないか。
( 8 ) 骨格・全体を別々に検討する方法と、合わせて検討する方法があろう。
( 9 ) 100人の意見を一度に聞くのは難しいので、いくつかのブレイクアウトセッション(テーマ別討論)で意見を集約する方法もある。
(10) 住民の意見をフェイス・トゥ・フェイスで(直接)聞く場を持つべきである。
(11) これまでの一般的な傾向として、住民参加型協議等に集まる市民としては環境問題に関心のある方、水辺利用について要望のある方などが多く、例えば防災関係で要望のある方、反対である方は意外に参加しないため、参加者に偏りが生じるのではないか。
(12) 市民に参加を呼び掛けていくこと、報道により地域住民の関心を高めていくことも重要なプロセスであろう。
(13) 意見やニーズ、情報をすくい上げる場であるとともに少し議論をする場であろう。
(14) やり方、対象、呼び掛け方が重要であるため、これまでのいろいろな経験・事例及び当委員会における経験を踏まえ検討していく必要があろう。
 
5.住民の意識調査について

( 1 ) 当委員会でこれまで議論してきたプロセスで抽出された「現状の認識と課題」に対する地域住民の意見を把握することが重要であろう。
( 2 ) 「基本的な考え方」は「提示されたオプション(選択肢)」に強く支配されるため、「基本的な考え方」の調査と「オプションの提示」は別々に行いたい。
( 3 ) 当委員会でとりまとめたことについて、地域住民がどのように考えているか把握することは重要であろう。
( 4 ) 地域住民の「意見」の前にある「態度」(社会心理学用語)を把握するための調査を行いたい。「態度」が根本的に違っている場合、それを埋める何らかの努力をしない限り合意に至ることは難しいと思う。
( 5 ) 関川流域のことがあまり知られていない中で合意を得ようとするのは危険である。
( 6 ) どの程度知られているのか把握したうえで合意のプロセスを進めていくことが重要であるので、水環境、水防災に関するある程度の知識を把握するための調査が必要であろう。
( 7 ) 本来は流域全体を対象として調査すべきであろうが、調査の範囲、作業量、意見集約の目的等を考えると、上越市と頸城村を対象にすると良いと思う。
( 8 ) 理想は全世帯調査である。
( 9 ) 最小集計単位を町内会程度とし、地域特性を見ることが重要であろう。
(10) 調査結果及び解析結果は全部公開する必要がある。
 
6.今後の予定について

( 1 ) 次回までに下記の3点についてそれぞれ考えをまとめ、次回メモを持参してほしい。
  1 ) 当ワーキンググループの目的、内容、スケジュールについて(修正すべき点、重点的に考えるべき点、付け加えるべき点等)
  2 ) 当委員会あるいは住民参加型協議における合意形成の基本的な考え方(合意形成をどのように進めていけば良いか)
  3 ) 河川管理者が用意する河川整備のオプションに盛り込むべき情報
( 2 ) 次回ワーキンググループは5月30日(金)10時から12時とする。
 
7.その他

( 1 ) 東京大学大学院白川直樹助手より合意形成(住民協働)の事例の紹介があった。(当該資料を後日事務局よりワーキンググループメンバーに送付する。)
( 2 ) 委員長作成の「『関川流域における水の基本的な考え方』を取りまとめるための流域住民意識調査(案)」を後日事務局よりワーキンググループメンバーに送付する。
 
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