第5回関川流域委員会 議事要旨
                                                 日時:平成15年3月10日(月)13:30〜16:30
                                                 場所:ホテル センチュリーイカヤ
1.概要
 平成15年度以降当委員会が取組むべき課題とその取組み方について議論し、基本的な方針について合意するとともに、それを具体化するためのワーキンググループを設置することとし、そのメンバーを決めた。
 
2.保倉川放水路構想と潟川等の治水対策について
(1)潟川は人工的な排水を目的とした川であるが、沿川は低湿地帯であるため、歴史的に湛水する場所となり、農家を中心として整備をしてきたものの、湛水すると昔の自然の状態に戻ってしまいなかなか解決できなかった。
(2)保倉川放水路構想地区住民としては、今でも湛水に悩まされており、湛水防除のためにいろいろと運動してきたがなかなか成果がなかった。それなのに他の地区のために放水路を掘ると急に決まったという話になると、納得できない気持ちになる。放水路が通る地区の湛水問題も解決する放水路ということであれば、前進の方向で考えられるのではないか。
(3)保倉川放水路構想については、歴史的な保倉川の流路の変遷を考えると、説得力のある問題解決の何かがあれば、前向きに考えられるのではないかと思う。
(4)洪水を防ぐための築堤、土砂の浚渫等が実現し、全部かどうかは分からないが、一次 的な水害対策はほぼ終わったと思うが、堤防が十分に機能を果た すと、水害時に宅地等にたまった湛水がなかなかはけない。これをなるべく早く河川へ戻すということが今治水面では大きな流れになったと思うが、この治水事業は一応進んでいる。
(5)委員会においては、保倉川放水路一つの問題だけではなく、流域全体の安全度、環境の向上など全体として考えていかなくてはならないと思う。
3.防災関連の取組むべき課題等(資料−2の第1頁)について
(1)客観的、科学的根拠に基づく資料、議論をする場が必要であり、歴史的な流れなど様々な関連事項(火力発電所、潟川、農地等)を総合的に考える必要がある。
(2)保倉川下流部は江戸時代の初めの頃に河村瑞賢が直江津の港を栄えさせるために切り替えたもので、保倉川は元々外洋に出ていたことから、当然無理が来るのは分かっていたと思う。潟川も江戸時代の初期の頃に人工的に掘った川であり、自然的にできたものではないから非常に苦労している。こういった問題を解決する方法として、全国に同じ様な場所があると思うので、国土交通省で事例を提示すると良い。
(3)久保田委員に保倉川等の歴史的な変遷を話していただきたい。
(4)保倉川を含め全国の放水路を調べて東京大学で学位を取得した東京都庁職員に放水路に関するお話をしていただく機会を持ちたい。歴史的な変遷、同じような問題を有している地域を相互に比較することは、保倉川の問題を考える一つの大きなステップになると思う。
(5)保倉川、戸野目川については激特工事が竣工するとともに、マリーナ上越と遊水池が整備されている。
(6)関川を含め保倉川、戸野目川を改修しても、浚渫を継続的に行わないと、やはり段々浅くなることを地元としては懸念している。
(7)河口部の堆砂を防ぐための防潮堤がどの程度機能を果たしているのか教えてほしい。
(8)住民に専門知識はないが、思いつくことを行政側に伝え、少しずつ着実に整備してもらっているが、火力発電所計画との整合等各種機能を満足する事業の内容などを教えてもらいたい。
(9)保倉川放水路については、住民の中にしこりを残さないように、調整をとりながら円満に、早期実現を図ってもらいたい。
4.環境面で取組むべき課題等(資料−2の第2頁)について
(1)桜の植樹については、歴史性も踏まえて議論する必要があろう。
(2)「川辺を利用する」「生息・生育する動植物を保全する」「水質を改善する」「人と川辺との距離を短くする(訪れやすくする、住民に多く利用される方策の検討。)」(個別の視点)と「流域特性の認識と河川活用ビジョンの作成」(全体的な視点)といった構造があると思う。
(3)各省庁の連携が欠けているのではないかと常々思っている。
(4)中山間地の農業には厳しい問題があり、活性化の中で棚田の保水機能などについて考えている。
(5)特に平場の田んぼが整備され過ぎてしまって、集中的な雨が降ると一気に下流に来る。このため水害防除のためにポンプアップも必要になり、堤防の補強も必要になる。国土交通省だけの話ではなく、棚田を守ったりする農業的な分野、環境的な分野から、農政局だけでなく、環境省等からもいろいろな考えを聞きながら、流域全体で対応していく必要がある。
(6)21世紀の地球上の水資源の観点から、川の水資源は将来に渡って大事な資源である。
(7)保倉川と関川の合流点の川原町に平和記念公園・資料館(捕虜収容所跡)が整備されており、時々豪州からの方を迎えて式典を行っている。また、保倉川の右岸は遊歩道が佐内まで整備されており、左岸にはマリーナ上越が整備された。さらに東にはカルチャーセンター・スポーツ広場・テニスコートがあり、観覧用の盛土、御成婚記念の植樹があるが、あまり市民に利用されていない。(新潟市の信濃川の遊歩道は市民がジョギングしているなどうらやましい。)関川、保倉川、戸野目川周辺は、近隣にスポーツ広場があることなどから、市民の有機的な公園といったものになるのに適当な場所ではないかと思う。住民が検討委員会といったものを立ち上げ、川を含めて親しみやすい空間にしていくには格好の場所ではないかと思う。
(8)自然の動植物相の保全と河川空間の利用という二つの対立する(共存しなくてはいけない)ポイントがあり、調整が必要であり、流域委員会の考え方を提  示していくことが大事である。
(9)稲田地区の水辺の楽校は、沿川の住民の生活の場と関川河川敷が密着しており非常にいい場所だと思うし、具体化して良かったと思う。
(10)下流部は市街地が密集していて河川敷が狭く、護岸が急峻であるため、親水・環境整備といったスペースがなく、防災的なことしか優先されなかった面があると思う。
(11)後背地の市民の生活の場と河川敷と公共施設を有機的に結びつけるような自然の取組みが住民の中で広がってくるべきであり、そういった取組みは流   域全体でなく市街地に隣接するところで集中的に行われれば良いと思う。
(12)稲田地区の次は、取組みを進めている住民もいる下流部の春日新田地区、東雲町地区等で環境整備を進めていくべきである。
(13)河川を利用する側としては、施設の整備より自然保全を重視している。
(14)上流部の生活排水、農薬、自然的農法、産業廃棄物の投棄等全体的なことを思いながら水辺を利用している。
(15)関川は本川にしか水が流れていないが、小さい子供が水に触れられるようにビオトープ的なものが増えてくると良い。
(16)流域委員会のターゲットを達成するためには、流域全体を考えるプロセスがなくてはならない。
(17)農水、環境関係の方にも来ていただきご意見を伺っていきたい。
(18)水質の浄化程度の公表が不明瞭であるということから住民の安全の認識がまちまちであると思う。水質の安全度をできるだけ公開していくことが必要であり、当委員会における取組みに含めると良い。
(19)水質については、現状と発生源について情報が不十分なところがあるので、これらを明らかにしていく努力が必要であろう。
5.全体について(資料−2の第3頁)
(1)最近いわゆる鉄砲水が出てきて気になる。上流部の保水力の低下、土地の荒廃などが関係しているのではないかと思う。保水力を確保していかないと治水に結びつかないと思う。
(2)流出の仕方が変わる理由としては、雨の降り方の変化と、保水力の低下が考えられるが、前者については特定するのが難しく、後者については棚田を休耕するとどのように水の出方に影響するのかまだ十分に解析されていないと思う。
(3)基盤整備等により用水路が真っすぐになるなどしたため、保水の作用がなくなり、一気に河川に流れ出てくるという要素も見過すことができない問題であると思う。
6.今後の方針案(資料−1)について
(1)ある程度具体化できることを想定しながら基本的な考え方をまとめていきたい。
(2)住民の意識を調べるとともに、調べることを通して関心を持っていただくというアクションが必要であろう。
(3)「荒川将来計画全体構想書」概要版(1996年)を後で各委員へ送付する。
(4)上記構想書では流域全体のことを考えて下流をどう整備していくかを考えており、当委員会で流域全体のこと、流域の多様なことを考えながら、関川の水 の基本的な考え方をとりまとめることは可能であろう。
(5)従来は専門家である行政側で案を作り、関係住民がそれぞれの分野から参画して意見を述べる形(行政主導型)であったが、当委員会では住民の立場を強く打ち出し、国土交通省からあまり意見が出ない。もう少し従来型の、住民の意見を出しやすい肩を下ろした話 し合いをすることはできないか。
(6)河川空間、まちづくりなどの望ましいあり方を集約した「水に関する基本的な考え方」と、国土交通省から例示される「オプション」の整合を図る方が、肩を下ろした形になるだろうと思う。
(7)積極的に住民の意見を聞きながら、良いものを合意を踏まえて作っていくやり方が、進むべき道ではないか。
(8)流域全体のいろいろな関連することを踏まえたうえで、上流の問題から下流の問題まで、環境の問題から防災の問題までバランス良く考えたうえでどうい う解があるかを探した方が合意が得られやすいと思う。
(9)当委員会は、あまり具体性のないことを繰り返しているような感じがする。もう少し国土交通省の意見が色濃く出てもいいのではないか。
(10)この1年間、各委員の違う状況、違う分野の話を相互に情報交換し、ようやく全体が分かってきたところではないか。
(11)当委員会の委員は選挙により選ばれてきたわけではないので、住民の意見を積極的にくみ上げなくては、住民の意見を委員会に反映することができないと思う。
(12)河川管理者が例示するいくつかのオプションに対して当委員会の考え方を提言していきたい。
(13)自然科学的なデータに基づかないと、委員も住民も議論できない。単なる住民の意向調査に基づいてでは議論が進まないと思う。
(14)国土交通省があらかじめ準備するデータと、当委員会から国土交通省への要求に基づいて提供されるデータの2つがあろう。
(15)河川管理者が提供するデータが客観的なデータでない場合には当委員会はそれを拒絶すれば良い。科学的根拠のある客観的なデータであるか判断す る機能を当委員会は持つべきだと思う。
(16)当委員会は河川管理者と住民の間にあると思っているので、当委員会で中立的なデータを得なければいけないのではないか。
(17)現在の日本の行政的な組織の中で、当委員会が独自の予算を持って、独自の調査能力を持つことは不可能だと思う。
(18)ホームページで公開するデータに対する意見を広く受付けるとともに、住民からの意見を吸上げる広い窓口を設ける必要がある。
(19)できるだけ住民の意見を吸上げるために、ホームページを使うとか、ワークショップを開催するとか、講演会を開くとか、その時にアンケートを行うとか、いろいろな手を総合的にやっていこうと思う。
(20)荒川(関東地方)には各種団体が議論をする場があり、そこで各種団体の意見を求め、膨大な意見を集め、それを整理して整備計画に反映させる手続きを取っている。
(21)積極的に住民の意見を吸上げるための手続きを踏まないと、流域住民の考えを包括的に理解することはできないと思う。
7.今後の予定(ワーキンググループの設置等)について
(1)当委員会の体制、手順、調査・協議の内容・スケジュール等の素案を作るためのワーキンググループを当委員会内に設置する。
(2)ワーキンググループは1ヶ月に1回程度開催し、2回程度の開催の後、流域委員会を5月末か6月頃に開催し、ワーキンググループが作成した案について議論したい。
(3)ワーキンググループは下記の委員より構成される。
  防災面 木原委員(岡森委員代理)
        梅澤委員
  環境面 小林委員
        横田委員
  住民の意見を吸上げる面 清田委員
                   保坂委員
(4)ワーキンググループで議論した内容が取りまとまり次第、各委員に連絡する。
(5)ワーキンググループの途中経過・取りまとめた内容の発表は、流域委員会の議を経てからとする。


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