■日時:平成14年2月19日(火)13:30〜16:10
■場所:ホテルセンチュリーイカヤ 飛天の間

        

   ● 「関川の環境と利用」に関する想い
【過去】
・高度成長期前には川で洗濯したり、米をといだり、水浴びをしたりというように、生活の 中に水辺がきちんと位置づけられていた。川端とか井 戸端とかといった所が当時の交流の場 であったと思う。

・学校の畑が今の労災病院の真向かいあたりにあり、主にサツマイモを作っていた。また、 関川に入って米を研いだり、大きなカニを釣ったりと楽しかったことが懐かしい。

・関川の原風景として、桜づつみや川べりの木々の四季の移り変わりの姿などを心に持っている。
【現在】   「関川の環境と利用」に関する想い−
・関川や保倉川に船を停めていると、きれいに洗った船の底が瞬く間に油で汚れてくる。これはなんなのかという疑問を感じた。

・もう少し市民が水辺で遊べる空間が欲しいと常々考えている。

・大きな水害もあり、ここ30年間は大規模河川改修が長期間に渡って実施されたことから、市民の生活は関川、保倉川から遠ざけられた。水辺を見なくなったことが、河川環境の悪化に気付くのが遅れた原因かもしれない。

・災害に対応する河川改修は一応は完成し、これから関川水系流域全体の豊かな自然環境を守り育てて、水辺と緑の美しい川づくりなどを進めるチャンスの時期が来ていると思う。

・保倉川マリーナが完成し供用開始になることを、大変良かったと感じている。

・良質米を産するためなど、水質面に神経を使いながら川の恩恵を受けている。

・川の機能として、様々な物質の運搬作用や浄化作用を認識しておく必要がある。

・一部の上流水域ではBODが環境基準を上回り、全国でも汚染河川として上位に入っていることを知り、とても残念に思う。

・ ゴミ拾い活動を通じ、若い人たちにも関川をきれいにしようという気持ちがあることを知って嬉しく思った。

・関川は平成7年洪水や平成6年の異常渇水、また利水による流量変動が大きく、環境に対する影響も大きい。
【今後】   「関川の環境と利用」に関する想い−
・生活の豊かさ、潤い、安らぎを取り戻すため、環境教育やスポーツを通じた交流の場など、河川の整備計画に期待している。

・河川の動植物の調査により、現状はかなり分かってはきているが、その結果をどういうふうに反映していくかということが課題である。また、河川の汚染状況なども「基準値」に対する評価で終りになってしまうという面があり、一方では汚れているとか、ゴミが多いとかの話しが出てくる。評価方法なども違った側面から見直していく必要があるのではないか。

・市民の要望に応じて高水敷の高度利用を図ってはどうか。

・家庭汚水や自然水銀の流入などで、汚染されているとの公表があり、関川で採れた魚を食べたことがない。水質の環境基準はクリアしているものの、工場排水、生活汚水等の汚濁負荷軽減を図る必要があるのではないか。官民一体となって、水質の改善、底質の改善、下水道の普 及、環境基準の強化、河川の清掃等々、取り組むことによって、豊かで清らかな美しい河川として関川がよみがえり、子供達も安心して関川の水とふれあうことができるのではないかと思う。

・流域住民の生活のあり方の見直しが河川環境の改善に結びつくことを、住民にアピールしていく必要がある。

・身近な活動を通して関川を少しでもきれいにできたらと考えている。

・堤防沿いに桜並木を復元してもらいたい。

・子供達の自然体験の場として生活に密着した川づくり、子供達が遊ぶに安全な川づくりを行って欲しい。

・ 不法投棄対策として巡視を行うなど出来るところから協力したい。
● 「利水」に関する想い
【過去】
・中江用水、上江用水、稲荷中用水など、近世から関川の恵みを受けて水田経営が行われてきたといえる。

・水力発電を基盤として工業が発展してきており、関川の恵みを受けている。

・利水を歴史的にみると、水の使い方が変わってきていることに気づく。
【現在】   「利水」に関する想い−
・ 関川本川から上水道用水を取水できないという問題がある。
 【今後】   「利水」に関する想い−
・特に発言なし。
● 「災害と防災」に関する想い
 【過去】
・昭和57年、平成7年の水害を見ており、万が一のときに備えた治水事業が重要。

・「人類の歴史は水との闘いで水を治めるものは国を治める」と先人達は素晴らしい言葉を残してくれたと感謝している。

・関川というのは航空写真を見るとわかるが、ものすごく氾濫の激しい暴れ川だと思う。

・妙高高原の土石流災害、平成7年の水害など、自然の脅威を感じた。

・ 災害などの記録・資料の保存が重要。
【現在】   「災害と防災」に関する想い−
・この十数年間の間に拡幅事業により、関川の川幅は以前よりも数段に広くなっており、災 害対策も進んでいると実感。

・川底は外から見ていると深く見えるが、イカダ下りのときに川の中に入ってみると意外に浅く、これでは堤防を高くしても川底がまた浅くなってしまってイタチごっこだなと思った。

・河川の周辺で宅地開発が進んでおり、ひとたび破堤などが起こると大きな災害になることを住民に理解してもらうことが大切である。

・洪水時に浸水予想図が役立った経験があり、ハザードマップの周知は重要である。

・山間地の田が減反により荒れてきており、保水能力が減衰している。

・ 保倉川の分水路計画が「7.11水害」の直後に急に浮上した。用地がかかる地域ではかなり衝撃的な話だった。被害を受けた地域の皆さんのことを考えると理解できなくはないが、その後に計画はどうなっているのかを繋げていかないと、いつまでも線引きして残っているということでは、いつももやもやした感じでおり、「計画は取り止めになった」とか、逆に「何とかしたい」と、それなりのアプローチをされた方が良いのではないかと考える。
【今後】   「災害と防災」に関する想い−
・災害になった時に備え、水防にもNPOが活動しやすくなる支援、仕組みを期待したい。

・地震による堤防の亀裂や津波に対する対応にも取り組んでいきたい。

・親水とか川辺で楽しむということは大事なことであるが、内水対策事業を進めて欲しい。

・市民に親しまれる水辺空間を整備をしていただきたいと思う一方、妙高高原の土石流災害を経験したものにとっては、親水よりは防災を第一に行って欲しいと思う。

・保倉川の治水の安全度は依然として低い状況にあり、マリーナも完成したことから、いよいよ分水路計画に着手していただきたい。

・棚田の保全など山間地の保水力確保、都市化による雨水の流出集中に関する対策も考えていく必要がある。

・いわゆる水田のダム機能を見直してみてはどうか。広大な土地であり、例えば10cmの水を田んぼに貯えればかなり雨量を貯え、抑えておくことは可能ではないかと考える。あらゆる省庁間で連携を図ることでかなり良い方法が出せるのではないかと思う。

・分水路計画のような話を進めていくにあたっては、関係地域間のコミュニケーションを取 っていくことが必要。受益を受ける地域の側が「自分のところは水がかぶらなければそれで いいんだ」ということではなく、それにより農地が潰れたり、あるいは住んでいる場所を移 動しなければいけない地域の皆さんに対して、受益を受ける皆さんの方からどんどんアプローチしていく必要があるのではないか、それによって次のステップとして、例えば川べりをどうするとか、環境をどうするとかという話も出てくると思う。

・洪水被害を軽減するための河畔林も考えることが必要。
● 「共通事項・その他の事項」に関する想い
【過去】
・直江津小唄の2番目にも「荒川」と出てくるなど、子供の頃は関川を「荒川」と呼んでいた。

・水の使い方についても災害に対する防御についても、過去の歴史に学ぶところは非常に多いと思う。
 【現在】   「共通事項・その他の事項」に関する想い−
・関川流域では、災害や渇水の問題、環境問題、上流には有数の観光地もあるなど、幹川流路延長64kmなのにいろいろなことが凝縮していると感じる。研究対象として様々なテーマを提供していると感じている。
【今後】   「共通事項・その他の事項」に関する想い−
・治水安全度、水資源の安全確保など、これからの上越市の発展に極めて重要な要素であり、柿崎川ダムの近々の完成に引き続き、儀明川ダムの整備について県と国が協力をして進めていただきたい。

・近年、海岸の浸食が極めて著しい。河川と海岸の一体的な土砂の管理が必要。国土保全は国の根幹的事業であり、直轄海岸として整備をお願いしたいと考えている。

・治水、利水、親水事業を進めるにあたっては、景観や環境も踏まえ、どれかが優先ではなく全てを総合したような事業の進め方をしていくべきと考える。

・流域全体の住んでいる人々の視点で、どういうふうな合意形成を行いながら、計画、あるいは計画の前に、川のあり方を考えていったらいいかということを、これから議論していきたいと思う。
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