信濃川中流域水環境改善検討協議会
第27回協議会
以下の3点について審議していただきました。
- 規約改正
- 会長選出
- その他
規約改正
【事務局説明】
[規約改正(案)について]
【議事】
委員:
「西大滝ダム下流水環境調査検討会 規約(案)」の第7条第1項の「委員会」は、「検討会」とすべきではないか。
【以下、「西大滝ダム下流水環境調査検討会」は、「西大滝ダム検討会」と略記する。】
事務局:
「検討会」に修正する。
委員:
西大滝ダムの減水区間に十日町市域が含まれているのであれば、十日町市も西大滝ダム検討会の委員に入れて頂きたい。
事務局:
信濃川発電所放水口の右岸側が十日町市域であることを確認した。十日町市長にも、西大滝ダム検討会に委員として参加して頂きたい。
委員:
了解した。
【以上の修正点及び追加変更点を含めて、委員の確認を求めたところ、全員の賛同により規約改正(案)は了承された。】
会長選出
【事務局説明】
[会長選出(案)について]
【議事】
委員:
長岡技術科学大学の大塚委員を推薦する。
【全員の賛同により大塚委員を会長とすることが了承された。】
その他
1.【西大滝ダムの運用変更について】
東京電力(株):
温暖化対策の一環として、既存発電所の有効利用によって水力エネルギーを増やすことが要請されている。東京電力では、西大滝ダムからの取水について、協議会で定められた20m3/s の放流を順守することを前提として、融雪期などの河川に十分な流量がある豊水期に約13m3/s の増取水をしたいと考えている。
委員:
情報提供ということであるが、本協議会での協議事項となるのか。
会長:
東京電力の説明からすると、融雪期など、水が十分にある時期の増取水であり、基本的には河川等への影響はほとんどないと考えられるが、情報提供という趣旨の報告であり、協議会の検討課題と考えていないが、そのような理解でよいか。
事務局:
委員長のお考えのとおりであり、協議会で検討していくことは考えていない。
委員:
維持流量というのも大切であるが、最大取水量も河川環境に大きな影響を及ぼしていると考える。従って、西大滝ダム検討会で協議すべき事項ではないか。
会長:
西大滝ダムからの放流量そのものについては、今年度の協議会で議論してはどうかと考えている。これまでの議論の中では、20m3/s の放流量を満足した上での13m3/s の増取水は問題ないと考えるが、放流量が20m3/s で妥当かどうかは本協議で議論すると考える。なお、委員からの意見も踏まえて、今後の取り扱いについて事務局で検討して頂くこととしたい。
2.【中津川における岩盤露出について】
委員:
宮中取水ダム上流にある中津川の信濃川合流点から300〜400m上流の中津川橋付近の河床で、約2年前に畳一枚分ぐらいの岩盤が露出したが、現在ではテニスコートぐらいの大きさに拡大した。河床低下が原因ではないかと考えるが、砂利採取は実施されていないため、明確な因果関係が不明である。宮中取水ダムの放流量の変化によるものか支川まで含めて影響について議論、検討をお願いしたい。
会長:
この件に関しては、この場で議論してよい議題か、事務局の見解を聞かせてほしい。
委員:
河川における岩盤の露出は、日本全国で問題となっており、アーマー化と言われている。上村委員の言われていることと関係しているかどうかは不明であるが、一般的には、ダムや砂防堰堤によって土砂供給が低下して、これらの構造物の下流でそうした現象が生じることがある。
委員:
岩盤が露出した箇所の上流には砂防堰堤がある。下流への土砂供給が少ない傾向はあるが、それはかなり以前からであり、岩盤露出は最近2年間程度で急激に進行しているように感じている。
委員:
(一般論としては)宮中取水ダムからの放流量を増やせば、それにも伴い上流側の水位が低下することとなる。しかし、(具体的に検討するためには)、年間の流量変動や河道内の土砂の状況等について、動的な変化を確認する必要がある。
委員:
西大滝ダム減水区間におけるモニタリング調査の中で得られるデータを収集・整理することによって、結論に結びつくものが見えてくる可能性がある。そうしたデータをふまえて、本協議会で議論してはどうか。
事務局:
本協議会は、基本的には信濃川本川の水環境及び水利用の現状把握と調和について議論していく場であると考えている。従って、本件については、協議会とは別に議論させて頂きたいと考えるが、様々な意見が出されたことを踏まえ、現地で状況を確認するとともに、支川の管理者である新潟県とも協議しながら進めていくこととしたい。
委員:
そうした対応をお願いしたい。
3.【協議会での議論の対象について】
委員:
近年改修された西大滝ダムの魚道についても協議会での議論の対象となるという理解でよいか。
事務局:
議論の対象になると認識している。
4.【宮中取水ダムからの自主放流について(東日本旅客鉄道(株))】
東日本旅客鉄道(株):
水利使用許可を頂いた際の維持流量は40m3/s であるが、6/1〜11/10の間の放流量は60m3/s 程度まで増やすこととしている。また、7/20〜9/10の間は、「必要に応じて河川水温などの河川環境に配慮した放流を行う」こととし、具体的には、2週間に1度、日曜日に80m3/s 程度に増やすこととしている。さらに、宮中取水ダムの日最高流入水温が25℃以上で、十日町市の日最高気温31℃以上が2日間連続し、さらに翌日の予想最高気温が31℃以上である場合は、80m3/s 程度にすることとしている。また、9/11〜11/10の間については、「必要に応じてサケに配慮した放流を行う」としており、今後、関係の方々のご意見を賜わりながら検討していきたいと考えている。今年は観測史上例を見ない暑さが続いていることを受けて、電力需給を勘案した上で、昨日の日曜日(8月9日)は、80m3/s の計画からさらに増やして、100m3/s 程度の放流を実施した。なお、今年度のモニタリング調査結果については、年間の調査及び評価が終了した段階で、河川環境と水利用の調和を図るための努力と共に協議会に報告させて頂きたいと考えている。
委員:
80m3/s 放流を実施したことで、信濃川の水温がどのようになったかについて、タイムリーに報告してほしい。
東日本旅客鉄道(株):
計測はしているがリアルタイムのデータはないため、調査結果を整理した上で協議会に報告したいと考えている。
委員:
100m3/s 放流に至る経緯と判断基準について教えて頂きたい。昨年まで5年間に亘って実施した(宮中取水ダムの)試験放流では、夏期の80m3/s 放流を実施し、平成22年と23年には(下流地点で)28℃を超えたこともある。100m3/s 放流は、昨年計画したものの実施できなかったものであり、今年実施した100m3/s 放流時の水温データは非常に重要と考える。また、今後どのような状況になったら、100m3/s 放流を実施するのか教えて頂きたい。
東日本旅客鉄道(株):
現時点では明確な判断基準がある訳ではない。今回の100m3/s 放流については、観測史上稀な天候が続いたことと、電力需給を踏まえて総合的に判断した。
会長:
100m3/s 放流は、昨年計画したものの天候等の関係で実施できなかったので、積み残しの課題として今年度実施し、水温等の観測データから100m3/s 放流の効果についても検証していくという理解でよいか。
委員:
昨年の協議会では、連続して100m3/s の放流を行う予定であった。今回は、電力需要が平日よりも少ない日曜日に100m3/s 放流したということと理解している。今後も、同様の条件になれば100m3/s 放流を実施するのか、また、今回よりも厳しい状況となった場合に、更なる放流を実施する考えがあるのかについて伺いたい。
東日本旅客鉄道(株):
今後については、確定的なことは申し上げられないが、少なくとも本年は観測史上稀にみるような日が続き、電力需給の面から対応可能な日に放流量を増やし、取水量を減らすことは考えている。これから先については、現時点で断定的なことは言えないので今後必要により検討する。なお、河川環境に配慮した放流をJR東日本は実施しているが、放流量だけで河川水温をより良い方向にもっていくことには一定の限界もあるため、JR東日本が実施することが第一であるが、関係の皆様のご協力、ご支援やご協力をお願いしたいと考えている。
会長:
今回は100m3/s 放流の試みをしたことから、モニタリング調査結果を踏まえて検討をお願いしたい。
委員:
28℃というのは、これまでの5年間の試験放流検証委員会及び協議会の中で、学識者からのご指導も頂きながら得た結論であり、軽く考えないで頂きたい。「28℃を一瞬たりとも超えてはならないという上限値ではない」という結論を得るまでに、多くの十日町市民の方々との調整が必要であったことをJR東日本としても理解して頂きたい。
東日本旅客鉄道(株):
私の説明不足の点についてはお詫びして訂正する。河川水温28℃という数値が河川環境の更なる改善に向けての目標であり、努力していかなければならない数字であると十分に認識している。
会長:
各委員がそれぞれの立場で努力をして頂いていると認識している。今回のモニタリング結果については、できるだけ早く関係の委員に報告して頂くとともに、協議会としてもその内容について検討していきたい。
5.【西大滝ダム下流域サケ調査(案)について(長野県)】
長野県:
投網によるサケの捕獲調査とバイオテレメトリー調査を実施して、宮中取水ダムまで遡上したサケがどこに行ったのかを把握したいと考えている。バイオテレメトリー調査は、捕獲調査の補完と調査の有効性を確認するために行いたいと考えている。調査結果については、西大滝ダム検討会での審議を踏まえて、本協議会に報告したいと考えている。
委員:
宮中取水ダムの魚道で捕獲したサケに発信器を付けた方が、効率的に調査ができるのではないか。関係機関と調整して進めて頂きたい。
委員:
ご協力できることがあり、その方が効率的であれば、関係箇所と調整し協力していきたい。
委員:
バイオテレメトリー調査は、宮中取水ダム下流区間での実績を見ると、全個体を追尾できる訳ではないため、西大滝ダムまで遡上してくるのはさらに少なくなって、データとしてはほとんどない状態になることも考えられる。今年度は、宮中取水ダムや西大滝ダムでデータを収集し、その後、どのように検証すべきかについて判断してはどうか。
会長:
委員の方々の意見に配慮して調査を実施し、調査結果を本協議会に報告して頂きたい。
6.【その他】
委員:
議事次第の中で、協議事項と報告事項を分けて協議会を進めて頂きたい。また、JR東日本から放流量について説明があったが、昨年の協議会で決定された事項によって実施したことと、JR東日本の自主判断で実施したことを分けて資料を作成して報告して頂きたい。
会長:
委員の意見を踏まえて協議事項と報告事項を分けて協議会に諮るようにする。また、資料は委員の指摘を踏まえて作成して頂きたい。
7.【今後の協議会等の予定】
事務局:
第1回の西大滝ダム検討会を年内に開催し、西大滝ダム下流区間の調査計画について議論して頂きたい。その結果を踏まえて事務局で原案を作成し、来年2〜3月に予定している第2回西大滝ダム検討会で原案について議論して頂きたい。また、第2回西大滝ダム検討会と同日に、第28回信濃川中流域水環境改善検討協議会を開催して、西大滝ダム検討会で議論した調査計画の報告、及び今年度の宮中取水ダム下流区間のモニタリング調査結果を報告し、議論して頂きたい。