河川によって運ばれる山からの土砂は、北陸の豊かな大地や美しい海岸を形成
してきましたが、その一方で数多くの災害を引き起こしてきました。
この土砂の移動に関わる多様な問題は、河川の水源地から扇状地、沖積平野を
経て、河口・海岸部にいたる広範な領域において、様々な関わりを持って発生し
ています。
従来、砂防、ダム、河川、海岸のそれぞれの事業において、個別の土砂対策が
実施されてきていますが、流出土砂による災害を最小限に抑えるとともに、河道
の安定的な維持や施設の機能の確保、生態系への影響の緩和、海岸の保全等をは
かるためには、個別箇所の対策だけでは十分とはなり得ない場合があります。こ
のため、山から海まで、土砂の量と質とのバランスがとれた安全で自然豊かな親
しめる河川や海岸を実現させる必要があります。
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これまでの施設的な対策は、砂防施設も多目的ダムも土砂を堆積させ機能の
低下を引き起こしています。上流での土砂の堆積は、下流の河床低下や海岸部の
侵食などを引き起こした原因の一つとなっています。この対策の一つが、土砂を
コントロールしながら流す砂防であり、ダムからの排砂と下流への土砂供給とを
一体化した事業ということになります。また、堆積傾向の河川では、恒常的な維
持管理計画の中に計画的な砂利採取を提案することも必要です。
これからは、自然界の水循環、物質循環の特性をみきわめ、水系全体でバラン
スの取れた総合的な土砂の管理を目指していきます。
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