アルプスSABO NEWS

Date:
2009/07/30
緑斜面プロジェクト研究会の一行が姫川管内を視察されました!
 平成21年7月29日(水)11:30〜15:00にかけて、緑斜面プロジェクト研究会の一行16名が葛葉山腹工と稗田山崩壊地を視察されました。当日は梅雨前線の影響で雨が降り、稗田山の崩壊地源頭部は霧に覆われており確認して頂くことはできませんでした。
 緑斜面プロジェクト研究会は防災機能が高く、環境保全機能に優れ、寿命がより長い「緑の質」の高い森林を軸とした国土の保全・再生を目指すための研究活動をされている組織で、主に学識経験者で構成されているそうです。
 今回、姫川管内の葛葉山腹工と稗田山崩壊地を視察された目的は、葛葉山腹工の切土法面で実施された樹林化に向けた法面対策が「緑の質」の点で先進事例であることから現地の状況を確認をするためと、日本三大崩れの一つである「稗田山崩壊地」の現状を確認されるためです。
 最初に蒲原沢慰霊碑広場から葛葉山腹工全体の様子を確認して頂き、その後、切土法面箇所に移動し、樹林化に向け実施した法面対策の植生の生育状況について確認して頂きました。研究会メンバーには元信州大学教授山寺喜成先生も加わっておられ、現地の状況を見た感想として「概ね順調な生育状況ではないか」とのコメントを頂きました。
 昼食を挟んだ後、浦川上流域の金谷橋に移動して明治44年8月8日に大崩壊した稗田山の荒廃状況を見て頂きました。あいにく崩壊地源頭部は確認できませんでしたが、それでも研究会メンバーの方からは「聞きしに勝る荒廃状況」との感想が述べられていました。
 また、金山橋下流では、現在、金山沢渓岸工工事が行われており、無人化施工による掘削・土砂運搬作業として無人バックホウ3台、無人キャリアダンプ2台が稼働している状況が確認できました。研究会メンバーの方からは「無人操作(リモコン操作)を行っているオペは何処にいるのか」との質問があり、施工者から「万一、土石流が発生した場合でも安全が確保される場所(高台)から操作を行っている」との回答がありました。
 次に、昭和52年7月7日に「崩れ」執筆のために稗田山を訪れたことを記念して建立された幸田文(明治の文豪・露伴の次女)文学碑「歳月茫茫」を見学して頂きました。当日の稗田山は、「歳月茫茫」に示されている「稗田山々、ちょうど真正面というので、見えないと承知しながらも目をこらせば、霧の粒が砂子になって浮動する。」のようでもありました。
 最後に浦川が姫川に合流する直上流に平成10年に完成した「浦川スーパー暗渠砂防えん堤(世界初の新型砂防えん堤)」を見学して全工程を終了しました。
蒲原沢慰霊碑広場から葛葉山腹工を視察される様子
植生の生育状況を確認される様子
幸田文文学碑を視察される様子
※写真・「File Data」ボタンをクリックすると拡大写真・データを見ることができます。


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