アルプスSABO NEWS

Date:
2009/06/11
【土砂災害防止月間の取り組み】糸魚川市管内の土砂災害危険箇所巡視を実施しました!
 平成21年6月10日(水)10:30〜15:00にかけて、土砂災害防止月間の取り組みの一環として、新潟県糸魚川振興局地域整備部・糸魚川市・松本砂防の防災担当者11名が合同で、糸魚川市管内の土砂災害危険箇所の巡視を行いました。当日は、丁度、新潟地方気象台が「北陸地方が梅雨入りしたと見られる」と発表した日で、巡視中は雨は降らなかったものの、どんよりとした空模様でした。
 「土砂災害防止月間」は、昭和57年の長崎県豪雨災害を契機として、土砂災害に関する国民の理解と関心を深めるために翌年の昭和58年に創設されたもので、土砂災害に関する広報啓発活動、国・県・市町村の防災担当者による土砂災害危険箇所の巡視、土砂災害に対する防災訓練などが月間中に全国で取り組まれます。
 当日は、蒲原沢慰霊碑広場に集合し、広場から見ることができる松本砂防が事業を進めている葛葉山腹工法面対策箇所の進捗状況について担当者から説明を受けました。
 葛葉山腹工箇所を含む葛葉地区は、今から507年前の1502年1月28日に発生した越後南西部地震(現在の十日町市付近)によって、姫川を挟んだ対岸の長野県にある真那板山(1,219m)の一部が崩れて形成された台地で、長年に渡り姫川によって浸食が繰り返され、姫川と接する箇所が大規模な崩壊斜面となりました。平成7年7月11〜12日にかけての姫川豪雨時には、この崩壊斜面が崩れて約12万m3もの土砂が下流に流れ、新潟県平岩地先並びに長野県北小谷地先において河床を10mも上昇させる要因となり、姫川温泉、国道148号、JR大糸線等に甚大な被害をもたらしました。このため、再び斜面が崩壊して下流域で被害を発生させないため、平成16年より葛葉山腹工法面対策を実施しているもので、昨年12月にようやく斜面上部の不安定な土砂の切土掘削と切土法面への種子吹付が完了しました。今後は、その下の斜面となる箇所に法枠工等を施工して斜面の安定化を図り、今後再び斜面が崩れることのないようにしていきます。
 次に、姫川監督官詰所に移動して世界ジオパークへの登録申請を行っている「糸魚川ジオパーク」を中心とした学習会を1時間行いました。糸魚川市企画財政課ジオパーク推進室大嶋主査より「ジオパークとは?」「登録申請の状況について」の説明を受け、理解を深めました。「ジオパーク」とは、地球(大地)に関する公園という意味で、「世界ジオパーク」の考え方は、優れた地質遺産、それに関連した動植物・文化遺産について保護と活用をして地域振興に役立て行くことを目指しているもので、糸魚川ジオパークの場合、糸魚川市全体をジオパークとして捉えているのが特徴だそうです。糸魚川ジオパークの世界ジオパークへの登録申請状況については、平成20年12月25日付けで申請がされ、現在審査中で、来月の7月11日から4日間の日程で世界ジオパークネットワークの委員が糸魚川市を訪れて現地調査を行う予定となっているそうです。今年の夏から秋頃に認定されるかの結果が判明するそうで、認定されれば日本初の世界ジオパークの誕生となります。松本砂防の防災担当者からは、気象庁が一般者向けに作成した防災に関わるパンフの活用推進と平成21年度に松本砂防が糸魚川市管内で実施する事業説明を行いました。
 午後からは、新潟県糸魚川振興局地域整備部が早川で事業を進めている2箇所について巡視を行いました。早川右支川大知川では、土砂流出防止のための大知川第4号砂防えん堤予定地に行き、4号が完成すれば大知川の整備率が100%となり、下流約500mに位置する集落が土石流災害等の被害を受ける可能性が非常に低くなるとの説明を受け、砂防事業の効果発現が目前に迫っている事を確認しました。
 最後に早川本川の河床低下が著しい箇所で渓岸侵食防止の為に実施されている床固工の施工現場を巡視し、既に床固工が設置されて河床が安定している箇所とそうでない箇所の比較をすることで、事業の必要性が明確に理解することができました。
 巡視を終えるにあったて、これから梅雨期に入ることから、各機関の防災体制の徹底と災害発生時の連絡体制強化について確認して全工程を終了しました。
葛葉山腹工の説明を受ける様子
学習会の様子
大知川第4号砂防えん堤予定地巡視の様子
※写真・「File Data」ボタンをクリックすると拡大写真・データを見ることができます。


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