アルプスSABO NEWS

Date:
2007/10/24
全国治水砂防協会の皆さんが松本砂防管内の現場を見学!!
  平成19年10月22日(月)PMから23日(火)にかけて全国治水砂防協会の皆さん5名が松本砂防事務所管内の砂防施設などについて見学されました。
  全国治水砂防協会は、災害のない安全で豊かな国土を造るために、大きな役割を持つ砂防事業が発展、推進するよう、種々の公益事業を実施しておられます。
  初日は、松本駅で合流し、明治の初年頃には、濫伐、山火事などで荒廃地となり土砂流出の多く大正5年よりフランス式階段流路工などを施工し今では、緑多き地域となりキャンプ場や砂防学習ゾーンとして地域に親しまれている牛伏川を案内しました。
  この地は、全国治水砂防協会の平成5年の研究結果で北アメリカ産のニセアカシア(ハリエンジュ)の樹木で占められ問題ある樹種として指摘され平成8年より牛伏川林相転換事業を上流域32haを長野県で整備しています。
  その後、上高地に案内し、有形登録文化財に指定されている釜ヶ渕砂防えん堤の補修箇所や焼岳の火山対策としての砂防施設、五千尺砂防えん堤箇所などを見てもらいました。
  又、上高地は、3,000m級の北アルプスに囲まれ焼岳など火山性噴出物の堆積した脆弱な地質な上に多雨多雪、とも相成って一気に流出土砂が流下し、大正4年に焼岳の噴火によって形成された大正池も現在では、面積が1/4、水深が1/3に減少するほど流出土砂が多いため、この優美な自然環境を維持、持続していくためには砂防事業などの流出土砂の抑制や上高地全体が氾濫域とならないよう流路の固定や堆積している不安定土砂の再移動防止対策の必要性などについて説明しました。上高地は、国有林野内でしかも中部山岳国立公園の特別保護地区(昭和9年)、文化庁の特別名勝・特別天然記念物(昭和3年)となって年間150万人強の観光客が自然環境を楽しみに訪れることより、工事に当たっては、他官庁と綿密な協議が必要な上に観光客や登山者のいなくなる閉山を待っての観光シズ−ンを避けて厳冬期となる気温-25℃、積雪2.0m弱という厳しい気象条件の中で実施している苦労なども話しました。
  翌日の23日は、姫川の景観形成推進事業費により整備している平川渓流再生工や白馬村の発展につながる「はじめに砂防ありき」の記念碑のある源太郎砂防えん堤や明治44年に1億5千万m3もの大崩壊を起こした浦川の稗田山の砂防施設の現在の様子や崩壊をつぶさに見て貰いました。最後には、平成8年12月6日に発生した蒲原沢災害の現場も案内しました。
  今回、二日間にわたり全国治水砂防協会の皆さんを案内しましたが、松本砂防事務所を含めて全国より土砂災害が少なくなり安全で安心できる美しい地域が増えていくよう活動していって貰いたいと感じました。
荒廃地が自然豊かな自然環になっている牛伏川
活火山「焼岳」噴火により形成された大正池
はじめに砂防ありきの記念碑と源太郎砂防えん堤
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