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11月7日より、大正池の浚渫作業を始めるべく、今年も浚渫船が持ち込まれました。
大正池を守るために必要な作業なので、ご理解ください。
散策コースから見たときに、大正池に美しい影を投じる焼岳には四つの沢があります。梓川の上流(写真の右側)から順に、上々堀沢、上堀沢、中堀沢、下堀沢(まとめて、「四堀沢」)と呼ばれています。
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このうち上堀沢と上々堀沢は、雨が降るたびに大正池に土砂を運び込みます。
下の写真は、上々堀沢に設置されているリングネット砂防堰堤と底面スクリー堰堤が平成17年までに止めた土砂です。約16,000m3 あります。これはあくまでリングネット砂防堰堤と底面スクリーン堰堤が止めた土砂なので、ここで止められないでそのまま大正池に流れ込んでいる土砂もあります。
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上々堀沢以外の三つの沢からも土砂が流れ込み、さらに梓川からたくさんの土砂が流れ込んでくるので、これら全部の土砂を大正池に流れ込むがままにしておけば大正池は10年くらいで埋まってしまうでしょう。
自然を守るために必要な工事もあるのです。
なお、上々堀沢のスクリーン堰堤が実際に土砂を止める様子は、トップページ(下のボタンをクリックするとそのページにジャンプします。)からご覧いただけます。
特に今年は、7月に長野県中部と南部を襲った「平成18年7月豪雨」などにより、たくさんの土砂が大正池に流れ込みました。
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今年7月の豪雨で、黄色い線のところまで土砂がたまりました(撮影は観光シーズンまっただ中の8月16日です)。
黄色い破線の手前と向こうとで水の色が違うのがおわかりいただけるでしょうか。向こう側は土砂がなければ、手前側と同じような、もっときれいな水色(というか、緑色?)をしています。
大正池は、自然にできた池ですが、自然のなすがままにしておけばいずれは完全に埋まって、堆積した土砂だけが残り、いわゆる「賽の河原」になってしまいます。
そういうわけで、毎年、この時期に大正池にたまった土砂を運び出す作業を行っています(本格的な作業は、寒さも厳しくなる紅葉シーズンが終了してからです)。この時期に行っているのは、観光客が少なくなるからです。観光客が少ないという意味では、閉山してから作業をすれば観光客はいないので、理想的です。しかし、上高地は冬になると氷点下25度にもなり、池が凍ってしまうので、それまでに作業を終了しなければなりません。それで、この時期に浚渫船を持ち込まざるを得ないのです。浚渫される土砂の量は、毎年ダンプトラック3,000台にものぼり、これにより大正池の景観は守られているのです。
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大正池と焼岳をバックに作業をする浚渫船が、写真撮影などに邪魔になってしまいますが、来年以降もこの大正池と焼岳の美しい景色を撮影できるよう、ご理解をお願いします。
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