荷を運ぶ荷しても、旅をするにしても、いくつもの川を越えなければならない。橋のない時代には舟が使われていたけれど、急流の姫川を渡るのは大変危険なことだった。だけど、昔の人々は知恵と工夫をいかして川の渡しを行っていたんだ。
●両綱渡し
 渡し舟の初めのころは、舟に綱をつけて川上へ数百m引き上げて、そこから川下へ流しながら渡した。それが改良されて、渡し舟の前に綱をつけて岸にいる一方が引き、もう片方がゆるめる。そして舟にのっている水主(かこ)と呼ばれる人がその綱をあやつる両綱渡しになった。
●繰り綱渡し

 寛政6年(一七九四)ころになると、一方の綱を三つ又の丸太を組んで固定し、舟の前の綱に車をつけて水主が操り、一方が引くようになった。
●繰り越し舟

 ワイヤーロープを両岸に固定。水主が1人であやつり、舟を往復させるようになった。
●舟橋

 明治11年(一八七八)には、舟を何そうもならべて木の足場板を組んだ舟橋がかかった。そして、明治(一八九六)、やっと木の橋がかけられた。