秋が深まる11月、姫川の河口にサケ(シロザケ)の群れがもどってくる。稚魚の姿で海へ下り、数多くの苦難をのり越えて、数年間にわたって1万kmにもおよぶ長い旅をおえて自分が生まれ育った川にたどりついたのだ。これからのサケは放流した人工ふ化の魚。昔、発電ダムのなかったころはたくさんのサケが姫川の上流に遡上していたんだよ。

 サケの生態や習性は、まだまだわかっていないことが多い。その中では、自分の川をどうやって発見するかというメカニズムの研究はかなり進められてきた。

秋から冬、姫川の源流で川をさかのぼるサケが見られるよ
●姫川ふ化場を見学しよう。

 
まず、はるか遠い日本をめざすことができるのは、サケが太陽の位置、地磁気、海流などを知覚しながら泳いでいるからなんだね。  そして目的地に近付いてからは、サケは生まれた川のにおいを覚えていて、間違いなく探し当てる。これは、サケが稚魚のときに過ごした川の水を記憶していて、川のちがいがわかるんだ。

 カナダの化学者の実験によれば、川にのぼってくるサケをつかまえて鼻から脳への神経にサケがのぼっていこうとした川の水を流してみると強く反応した。だけど、すぐとなりの川の水を流しても反応はゼロ。そこで2種類の川の水を現代の科学で調べてみたけど、そのちがいはわからなかった。これはもう、超能力としかいいようがないよね。
●採卵からふ化、飼育、放流まで、みんなで力をあわせてやりとげた!!
(糸魚川市立大和川小学校 人口ふ化挑戦の記録)
@教室に飼育用の水そうを用意。水そうは玉石を敷きつめ、上部にはカゴを置いた。水は毎日1/4ずつ変え、1週間に1回消毒する。水温は13〜14℃。
Aふ化場からもらった受精卵をカゴに入れてふ化を待つ。黒い目がはっきり見え、からの中でくるくる動く。誕生はもうすぐだ。(1月20日)
Bからから飛び出したばかりの稚魚。おなかのオレンジ色の卵黄が重たそう。みんな暗い所に頭をつっこんで、よりそっている。体長は約2cm。(1月25日)
     
Cおなかの卵黄はなくなって、自由に泳ぎ回るエサは魚粉などの配合飼料で1日5〜6回与える。体長は2.5〜3cm。(2月20日)
D親ザケのようにからだ全体が銀色になる。体長は約3.5cm。(3月2日)
E体重を測定、1.85g。りっぱに育った。いよいよ放流だ。元気に旅をして帰ってこいよ。(3月25日)