梓川本川上流床固工群
梓川流域・奈川村

施設の場所 上高地河童橋より南西へ約5km
施設の概要・特徴 梓川には、焼岳からの大量の土砂が絶えることなく流入し続けています。砂防対策の一つとして、梓川本川の上流では床固工群が整備されています。整備にあたっては、上高地が国立公園内にあり、また年間200万人もの観光客が訪れる景勝地であるため、自然景観に配慮しています。
河道に設置された帯工は、コンクリートがむき出しにならないよう、表面に川原の石をはっているので目立ちません。さらに護岸工の表面は蛇籠で覆うなど、周辺の景観と違和感がないように配慮しています。景観への配慮だけでなく、工事も観光シーズンでない冬期に行っています。
付帯施設の有無 トイレ・休憩など上高地での利用
学習のポイント 梓川にある大正池は人気の観光地。大正4年に焼岳が大爆発を起こし、梓川がせ き止められてできた池です。美しい景観とともに、それを生んだ自然の猛威、大地が今も地下深く息づいていることを学習できる場所です。場所によっては百メートル以上もの土砂が堆積しているとも言われ、梓川をせき止めた土石の多さを知れば自然の力の大きさが実感できます。
上高地から正面に望む谷の氷河期にできたカール地形、U字谷も貴重な教材ですが、そこから山の岩くずが今も大正池へ流入し続けています。
現在も続く流入土石を取り除いたり、止めたりする工事が冬期に行われていますが、普段知られることのない人々の努力を知ることができます。また、国立公園の自然景観を損なわないように配慮した砂防施設も観察できます。
付近の見学コース
梓川と河岸段丘
上高地線の波田駅付近の高台からは河岸段丘がよく観察できます。扇状地の形成と川の侵食など自然が作り出した地形です。
ケショウヤナギ
上高地に自生していますが、波田町の梓川の川原でも群落が見られます。
波田堰
扇状地の農業用水確保のため明治時代に作られました。現在、水の取り入れは違う場所から行われていますが、その跡や用水路は今も残っています。

焼岳の崩壊しやすい山腹からは大量の土砂が出ています。
工事は景観にも配慮。
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