旅行に関する一考察

総務課  堀永 浩二


 皆さんこんにちは。総務課の経理係におります堀永と申します。
 今回の私の発表は旅行について、しかも鉄道旅行にスポットを当ててお話ししたいと思います。まず最初に時刻表の話からさせていただきます。旅行に出かけるにはまず計画を立てて行かねばなりません。カバン一つでパッと出掛けてしまうのはちょっと心細い。すこしでも下調べをしておけば後悔する事も少なくなります。そこで、時刻表が登場することになります。最近は大・中・小様々なものが発売されていますが、もっとも愛用するのが大判の時刻表です。この大判の時刻表はJRとJTBから発売されていますが、私は国鉄監修交通公社の時刻表の流れを汲むJTB版を愛用しています。大判の時刻表ならばJRをはじめ私鉄も昔に比べ充実していますし、高速バスに国内線の飛行機・長距離フェリーと日本の主要交通網が網羅されています。ついでに言えば国際線の飛行機も掲載されています。また、日本全国のホテル・旅館の情報も掲載されています。日本国内の旅行はこの1冊でとりあえず計画を立てることが出来ます。あとはタクシーの欄があれば完璧だと思います。
この大判時刻表を旅行に持っていくことも私のような鉄道旅行を愛する者の中では珍しくはありません。日程が長期化する程、必需品に近い物と言っても言い過ぎではないでしょう。文庫本サイズのポケット時刻表でも良さそうなものですが、旅に関する情報の多さが
旅をしている安心感(充実感?)と途中の暇つぶしの材料を与えてくれるのです。今すれ違った列車はなんだろうと探してみる、今どの辺を走っているのか確認してみる、旅の予定をもう一度練り直してみるなど。しかし、大判の時刻表が旅で重宝すると言ってもいつも持ち歩くとなるとその大きさと重さが気になります。そこでせっかく持ち歩くのだから他の利用法を考えるのです。空いている車内でちょいと横になりたい時にはマクラ代わりにもなりますし、混雑した車内でデッキで過ごさなければならない時にはザブトン代わりにもなります。また、ページを切り離せば焚き付けにもなりますし、ちり紙の代わりにもなります。まして、友達などというさして珍しくもない人物より時として旅を同伴する相手として、はるかに頼りがいがあるときがあるのです。
 それでは次にJRの運賃の話をしたいと思います。まずは比較的有名な割引で往復割引についての話からです。往復割引とは行きと帰りが同一区間、同一の経由の乗車券で片道の営業キロが601キロ以上の場合、往復一緒に購入すると行きと帰りの運賃がそれぞれ1割引になります。(10円未満は切り捨て)割引になるのは片道601キロ以上ですが、実際は片道541キロ以上あればうま味があります。541〜560キロの片道運賃は8510円です。松本からならば名古屋経由で岡山までが555キロなのでこの運賃に該当します。 この場合往復同時に購入しても割引はありません。それでは目的地をちょっと先の福山にしてみると松本から613.3キロになり、601〜640キロの片道運賃9350円に該当します。この場合は往復割引の摘要がありますので9350円を1割引にして8415円端数を切り捨てて8410円で541〜560キロの8510円に比べ100円お得になります。行きは途中下車して、帰りは途中から乗ってしまう訳です。目的地が600キロにちょっと足りないときに少し先の駅まで往復購入して割引にしてしまうのです。なお、実際に切符を購入した区間より短い区間を乗る、つまり権利の過少行使は問題ありません。
 次に無名ながら便利な切符、連続乗車券いついて話をしたいと思います。時刻表を見ると乗車券の種類に片道乗車券、往復乗車券の外に連続乗車券というものがあります。この連続乗車券とは乗車区間が1周を超える場合、又は乗車区間の一部が重複するなどで片道、往復乗車券にならない場合片道乗車券を2枚組み合わせて発売する乗車券です。なぜ、便利なのかと言えば有効日数が双方の切符の有効期間を足したものになるのです。例えば松本を出発して名古屋、米原を経由していったん福井に立ち寄り、その後大阪に行く場合が連続切符の例に当てはまります。1枚目の切符松本→福井の有効期間が3日、2枚目の切符福井→大阪の有効期間が2日なので、3日と2日を足して1,2枚目とも有効期間が5日になるのです。金額が高くなるのかと言えばそんなことはなく、片道切符を2枚足したものになります。また、2枚の切符を同時に買っているのでいちいち切符売り場に並ぶ必要がありません。また、万一払い戻すことになっても手数料が1枚分で済みます。
 それでは次に鉄道旅行のマメ知識をひとつご紹介しましょう。ゴールデンウィークや夏休み、年末年始など指定席が取れなかった時やフラッと出掛けて指定券を用意しなかった時などは自由席を利用することになります。そんなとき席を確保する確率を少しでも高くするコツをひとつ。これは新幹線の場合なのですが座席定員の多い車両を狙います。具体的に言うと先頭車以外の偶数車両の列に並ぶのです。なぜかと言えば、奇数車両にはトイレ・洗面所が設置してある関係で偶数車両に比べ10人程度定員が少なくなっているのです。長野新幹線の場合8両編成の内1号車から3号車が自由席ですので偶数の2号車の列に並ぶ訳です。各車両の列が同じくらいならば席を確保できるチャンスが幾分か多くなります。この法則は長野新幹線以外にも東海道・山陽・東北・上越の各新幹線で利用できますが、東北上越新幹線で走っている2階建て車両MAXでは当てはまりませんのでご注意下さい。しかしMAXは従来の車両の1.5倍位定員がありますので、始めからMAXで運転されている列車を狙う事も考えられます。また2階の方が混む傾向があるので確実に座りたければ最初から1階を狙ってみるのも良いと思います。
 私からのお薦めの列車の話をしようと思います。どの列車を紹介しようかいろいろと考えてみたのですが、東京から九州へ向かって走る寝台特急ブルートレインの話をしようと思います。
現在東京から九州行きのブルートレインは長崎行きの「さくら」熊本行きの「はやぶさ」大分行きの「富士」の3本が運転されています。93年まではこれに加え「みずほ」「あさかぜ」も運転されていました。かつてはこれらの列車の寝台券は発売直後に売り切れ、今から20年ほど前にはブルートレインブームがあり当時の国鉄の看板列車であった時代もありました。しかし、飛行機網の整備と大衆化・身内でもある新幹線の高速化などにより年を大事に追うごとに利用者は減少していきました。その間も手をこまねいていた訳ではなく、個室寝台の連結やロビーカーの連結などの手を打ち、札幌行き北斗星人気で九州行きブルートレインに目が向けられた時期もあったのですが根本的手が打たれなかったためその後も減少に続け、ついに本数の整理が行われたのです。今では各列車とも寝台券が売り切れることは皆無でゴールデンウィークやお盆でも当日予約が可能なようです。食堂車も外され、車内販売もありません。東京に行ったときには時々夕方5時から6時にかけて東京駅を出発する列車を見に行ったりするのですが10両以上つないでいる列車に誰も乗っていない車両が何両も有り、乗客は50人乗っているかどうかといった状況です。東京を出発するのが夕方、ちょうどラッシュ時と重なり通勤客をたくさん乗せた電車や西へ急ぐ乗客を満載した新幹線としばし併走しますが、カーテン1枚で区切られた寝台の並ぶ車内は別世界のようです。車両の内と外では流れる時間の早さが違うようにも感じられます。車窓に移りゆく町の灯りを眺め静かに時の流れに身を任せるこれはもう贅沢といってもいいのではないでしょうか?有り余る時間を思い思いに過ごし、現実社会と切り離されたような素敵な退屈な時間を過ごしてみる。こんな優雅な時間の使い方もあるのだなと再認識してみる。ベットに入りいつの間にか眠りに落ち、ふと目が覚めると不思議なことに駅に停車していることが多い。そしてまた眠りに落ちる。朝、目覚めると列車は何事もなかったかのように走り続けている。しかし、その間何百キロも運ばれているのです。徐々に明るくなる外の景色を眺め朝のこんな時間に光の移ろいを眺める贅沢はブルートレインを利用した者に与えられる権利のようにも感じることが出来ます。東京から九州へ移動し地理的な距離を実感できるはずでもあります。身体だけではなく、心も忘れずについてきてくれるのにブルートレインのスピードはちょうどいいのではないかと思います。
 こんなブルートレインもダイヤ改正の度に廃止縮小がささやかれており、首の皮1枚つながっているというのが現実で、いつ過去の遺物になってもおかしくない状況です。もし、ちょっと遠くへ行く機会があれば片道だけでもブルートレインを使ってみるのはいかがでしょうか?ご利用の際には食べ物、飲み物を準備して乗車することをお薦めします。
 以上旅行の中でも鉄道旅行についてお話ししてきたわけですが、この発表をすることが決まりあれこれテーマを考え、比較的しゃべれそうなこのテーマで行こうと考えたのですが、実際原稿を作ってみると意外と難しかったです。鉄道旅行は奥が深いとあらためて思いました。現在経理係で職員のみなさんの旅費の請求書を見る立場におりますが、鉄道利用の請求書は特に丹念に見ておりますのでご安心下さい。
これから夏にかけて旅行を考えている方も多いと思いますが、その時は鉄道旅行を計画されてはいかがでしょうか?新幹線が特急急行が普通列車があなたが乗車するのを待っているはずです。