さて、そのような、いいことばかりではありません。非常に心配の種もあります。いちばん心配なのが、まず河床上昇です。一目瞭然です。もし仮に連続で300mmの雨が降ったら、上高地は全部流れてしまいはしないかということで心配しています。これはずっと、昭和50年代から歴代の村長も心配してきて、国へお願いしてきました。ようやく手をつけていただいて、河床上昇を防いでいただいています。しかもお客さんが年間200万人も入っていただける訳ですから、重機が置いてあれば投書があったりしますので、お客さんが入らない時期に工事をしていただき、シーズン中は止めていただいているのが現状です。
昭和20年に村内の島々というところでは未曾有の大水害を受けまして、死者も出ました。ほとんどのところが半分ぐらい流れてしまったというような災害があり、砂防について本当に真剣にやらなければいけないと、昭和20年代からお願いをしてきました。今ではほとんど大きな災害の起こらない村になっていますが、さらに安全を願って砂防関係者の皆様に、お世話になりながら守っていただいているという現状です。
村民はそういう願いを抱きながら、観光事業を進めているということです。

それから環境省の関係です。こちらも自然保護法の関係でお世話になっていますが、平成7年から「緑のダイヤモンド構想」ということで、着々と施設整備の改良をしていただいています。まず、河童橋の架け替えをはじめに、非常にお金をかけていただきました。平成14年ぐらいまでには100億円という計画があったようですが、それまではかけられなかったようです。それでも立派な、あちこちの遊歩道、橋の類、ビジターセンターが完成しました。
もう一つ林野の関係、特に治山です。沢から押し寄せてくる土石流が溜まって大きな災害が起きる心配が出ます。それは林野にお願いして逐次やっていただいています。
このように国に大変お世話になり、国立公園である上高地を守っていただいているのが現状です。
私ども安曇村は2300人という少ない人口ですが、村民一丸となって、この上高地を守り抜かなければならないという意気込みでやっています。どうぞひとつ、皆様方も安曇村をご贔屓(ひいき)いただきますようにお願い申し上げたいと思います。