平成27年度ガールズトーク

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石割さん、矢杉さん、堀内さん、谷本さん、桒原さん
清水さん、宮成さん、福井さん

日時
平成27年8月27日(木)13:45~15:15
場所
黒部河川事務所 会議室
参加者
8名

対談をはじめるにあたって・・・

本日コーディネーターを努めます、黒部河川事務所の桒原です。今回こういう機会を設けた趣旨を説明させてもらいます。
「建設業」では、今、労働者がすごく減っていて、人手不足から工事の工期が遅れたり、工事そのものを行ってくれるような会社が見つからなかったりと、いろいろと苦労があります。また、実際に働いている人が高齢化していて技術を伝承できない、優秀な人材がなかなか確保できなといった問題も発生しています。
今回、大学生3人と高校生3人が一緒に集まる機会が持てましたので、現役の女性技術者を交えて対談を行うことにしました。建設業では、働く女性が少ないですが、もっと活性化して若手の技術者を確保するためにはどうしたら良いのか、女性の視点からいろいろな意見を聞いて参考にしていきたいと思います。
そして、皆さんにも建設業に将来携わっていただけたらうれしいなと思っています。

「建設業」に対するイメージは?

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谷本重機を扱ったり、力仕事をしたり「大変そうだな」というイメージがあります。
キャンプ砂防で現場を見学させていただき、山奥の現場では機械を運ぶだけでも労力が必要ですし、泊まり込みで作業を行うことが、大変そうだなと思いました。

堀内力仕事がメインで、本当に「男の人がやる仕事」の感じがします。
現場を回ってみて、若い人より、ちょっと年上の方が多く働いていました。

矢杉今回キャンプ砂防に参加してガラッとイメージが変わりました。
今まではビルや家など真四角な建物を造る「男の人の現場」「力仕事」のイメージが強かったのですが、今回いろいろ見学して、ダム建設も「建設」で、建設業には幅広い分野があるのだと思いました。

清水「大変そう」「男の人がやる仕事」「難しそう」なイメージが強いです。

宮成今まで「男の人の仕事」「大変そう」と言うイメージがありました。
土木部に入部したら、建築や土木などは女性が行っても楽しいですし、男性だけが行うイメージではないと感じました。

福井今まで建設とは「家を造る」ことだと思っていましたが、ダムのような大きい物を造ることもあると最近知りビックリしました。
「力仕事」で「頭も使う」。頭と体の両方を使い大変だなと思いました。

石割父親も土木技術者で、私の幼い頃の父親の記憶と言えば「父親は家にいない」「帰ってこない」「建設業=忙しい」と言うイメージでした。
大学時代には砂防現場の見学に行きましたし、講義で構造物の役割や測量の方法などを学んではいましたが、将来自分が携わるという思いはなかったです。「山で仕事をしたい」「森が好きだから、森の中で仕事がしたい」という思いで建設業を選びました。

桒原私も学生時代に建設業と言うと「土木業」「作業員」、昔のマンガでは無いですが「ツルハシを持って」のようなイメージでした。

学生時代の「建設業」に対するイメージと実際はどうですか?

石割「こんなはずじゃなかった」と言う面もありますが、自分が思っていたよりも「良い仕事」「個性的な楽しい仕事」ができたことも沢山ありました。
私は作業員や工事を管理する現場管理人と言う仕事を行っていましたが、過去にダム湖の中を船に乗って流木を回収する作業がありました。そんな仕事があるとは思ってもいませんでした。
測量を行い、土木構造物を造るのも建設業ですし、きれいにする「除雪」や「草刈り」と言う仕事もあり、小さい仕事からダムを建設する大きい仕事まで、多岐にわたる種類の仕事があることを入社して初めて知りました。

桒原私は公務員として建設業界に関わっていますが、地域の安全を守る構造物などを造る場合、調査を行い、計画や予算を立て、県や市長村、地域の方との調整を行い、実際に建設を行います。建設が始まれば、工事の監督や安全確認を行います。
作業するだけではなく、このような仕事も「建設業」で、最初のイメージには無かったと思います。

石割建設業は決して力仕事だけでは無く、女性が働ける業界であると思います。「体力勝負」などの理由で敬遠しなくても大丈夫だよ!とアピールしておきます。

清水さん、「土木科」を志望した理由は?

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清水土木にすごい興味があったわけではないですが、桜井高校に入学したいと思い、土木科と生活環境科で迷いましたが、土木に対する興味があったので選びました。

桒原授業は楽しいですか?好きな授業はありますか?

清水授業より、測量実習が楽しいです。

桒原土木科には他に女性はいますか?

清水昨年は3年生にいたのですが、卒業されたので、今は私一人です。

土木構造物を見学してどの様に感じましたか?

桒原大学生は8月25〜26日にかけて黒部ダム、宇奈月ダム、砂防堰堤を見学し、高校生の普通科の二人は、部活が「土木部」で、8月3日に宇奈月ダムと黒部川を見学したのですよね。

矢杉砂防堰堤は、洪水時に土砂が下流へ流れないように堰き止める施設ですが、授業では渓流にだいたい1〜2基程度しかない例で習っていましたので、祖母谷を見学した時、下流から1号・2号・・・と順番に10基まであり、砂防堰堤が無い時代にはどのぐらいの被害があったのか?その貢献度は大きいものだと感じました。

堀内今までは土木というものを知らず、家の近くで建築現場を見る程度でした。今回、工事現場で話を聞き、構造物を造るのにすごい時間と労力が掛かっていることを知りました。
構造物を造るのに時間がかかるうえ、調査から始めて測量を行い、基礎を造り、やっと本体の建設を行うと聞き、長い目で見なければいけないし、本当にすごいことだと思いました。

谷本砂防堰堤を造る時に、土砂に負けないための安定計算を行ったり、摩耗に耐えるように弾性板を設置したり、どんどん新しいものに改良されており、すごいなと感動しました。
都会であれば、大きなカッコイイ建物の横に建設過程の説明書きがあれば、来た人に知らせることができますが、山奥の場合、どれだけすごいものを造っても人に知ってもらえない。もっと知って欲しいと思いました。

福井今まで川の洪水を防ぐために何をしているのか、ぼんやりとしか知りませんでした。宇奈月ダムから海まで見学し、川ではいろいろな工夫がされており、ビックリしました。

宮成今までダムの役割は、発電するためのものだと思っていましたが、宇奈月ダムを見学し、改めてダムの重要さを感じ、私たちの生活に大切なものだと思いました。

桒原石割さんは、どうですか?

石割大高建設に入社し、宇奈月ダムから愛本堰堤、下流の方まで仕事でいろいろ見ていくと、構造物を造るために、それまで積み重ねてきた人々の技術の工夫や知恵が集合され、最終的に形になっていることがすごいなと感じました。

今の職業に就くきっかけは何ですか?

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石割就職を考えた時に、大学時代に森林や動植物関係の研究を行っていましたので、コンサルタント関係に就きたいと思いましたが、希望者が多く早々に諦めました。測量や砂防も学んでいましたので、活かせる職業は建設業だと思い就職活動を行い、大高建設に就職し、もう14年になります。
大高建設では、総務や軽作業員には女性がいましたが、私が初めて女性技術者として入社しました。多分、上司も扱いに困っただろうと思います。それでも楽しいですし、私に合っている仕事も沢山あり、働き続けています。

桒原進学する時に、元々大きなビルなどに興味があり、建物を設計するような仕事に就きたいと考え、大学に進学しました。大学では建築系と土木系のどちらも勉強でき、橋の建設現場などを見学に行くうちに、人の生活を豊かにするような仕事をしたいなと考え、今の公務員という仕事を選びました。

仕事のやりがい、不満に思うことはありますか?

石割私は、もの造りの部署の経験が少ないのですが、維持管理作業をしていると綺麗になることはすごいやりがいがありますし、喜んでくれる方がいることは、やはり嬉しいことです。
もちろん造る方に回れば、出来上がった時の達成感はすごいし、顔は見えないけど誰かの幸福に繋がる仕事だと思いますので、そういうところは建設業のやりがいだと思います。
不満や困ったことと言えば、山奥や不便な場所で仕事をする事が多いのでトイレに困ります。また、トイレに行くタイミングを考えなければいけない苦労はあります。
体力的な面はどうしようもないので、「できないのでお願いします」と言えるように、普段からコミュニケーションを取る。こっちから歩み寄ることが必要だと思います。
自分のお願いばかりする分けにはいかないので、周りを見て困っている方を助けたり、手伝いをする心がけをしていました。そういう心がけは、女性が得意だと思うので、自分の不利なところを補えるような能力を皆さん身につけてください。

桒原地域のためになる仕事ですので、やりがいはすごくありますし、頑張れる力になります。地域の方が喜んでくれると、頑張って良かったなと思いますね。
不満に思うことは、石割さんと一緒でトイレが無いとか、更衣室がないとか・・・。なかなか言いづらい部分もあるのですが、言えるような環境がもっと増えてくると思うので、だんだん当たり前になったら良いなと思います。

石割ぜひ、女性技術者になっていただいて、女子比率が増えれば増えるほど、発言権は増すのかな・・・。建設業界に飛び込んできて欲しいと思います。

建設業界で多くの女性が働くためには何が必要だと思いますか?また、やってみたいと思うことを教えてください。

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清水事務や現場代理人であれば女性でも働けると思います。いま学んでいる測量などを活かせる仕事をしてみたいと思います。

宮成確かに綺麗な環境とかも大事だと思うのですが、それよりは自分が働いて「楽しい」と思えれば良いかなと思います。

福井人間関係がギスギスしていなければ・・・。「一人で勝手にやってくれ」みたいな職場はイヤだなと思います。

桒原確かに仕事の内容も大切ですが、「助け合える環境」人間関係が築けていないと難しいですよね。

石割どうしてもやりたい仕事があれば良いのですが、もしそうでなかったら「あ、ここ楽しそう」「皆さん楽しそうに仕事してる」とかで職場を選ぶのも良い気がします。
建設業は割と大きなプロジェクトになると本当に「チーム」のような感じで仕事をしますね。

桒原向かっている目標やゴールが一緒なので、みんなで団結・協力して仕事をするという面があり、チームの様な感じかも知れないですね。

矢杉今回、詳しく仕事内容を教えて頂き、みんなで一つのものを造りあげる楽しさは男女一緒だと思います。もの造りの楽しさを共有しながら、男性の方にはできないけど、女性の立場で貢献できることを見つけられたら良いなと思います。

石割男性の苦手な事でも女性が得意な事はあるので、そこを上手に見つけると良いと思います。

堀内最近、土木の現場では、大型の機械などを使うことが多いと聞き、機械を使うのであれば女性でもできますし、力仕事ではない現場代理人ならできるかなと思います。
実習で山に行くと、トイレが「トイレじゃなく、ただの穴じゃん」の様な所があり、女性の人数を増やしていくことによって環境を変えていきたいですね。

谷本私も環境を変えた方が良いと思います。施設を女性でも使い易い様に工夫して、きれいにするなどすると、女性も踏み込み易いと思いました。

桒原やっぱり、きれいな方が、みんな入りやすい感じですかね。

石割今回、黒部の奥の工事現場で、宿舎やトイレなどを見てきましたか?

谷本宿舎は、すごく綺麗でした。

矢杉整理整頓がされていて、イメージと違いました。

桒原そういう環境であれば働いてみたいですか?

谷本そういう事をもっと伝えていけば良いと思います。

今回の対談について、感想を聞かせてください。

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清水イメージしていたより女性が働きやすそうですし、建設の仕事などもこれから考えていけたら良いなと思いました。

宮成楽しかったです。
土木部に入部する前は、土木と触れあうことが無かったので、こういう機会があっても内容が分からず、楽しくなかったと思います。
将来のことはまだ決めていないですが、部活や今回のお話しを聞いて、働き易い面や努力して変えて行かなければならない面もありますが、楽しそうだなと思いました。

福井今回の話を聞いて、みんなで大きな一つのものを造り上げる事が楽しそうだと思いました。自分で造り上げた時の感動を味わってみたいと思います。

矢杉私は男性が多い環境は苦手で、建設業にもそういうイメージがあったのですが、今回の話を聞いて、皆さんと土木の授業ができたらと思いました。楽しそうなので・・・。

堀内キャンプ砂防に来た時に女性は私一人かと思っていましたが、女性が3人いたことにビックリしました。(参加者4人中3人が女性)
私が高校生の時は、土木についてあまり知りませんでしたが、土木に興味を持つ女子高校生や女性技術者の方の話を聞き、現場で女性も活躍しているのだなと思いました。
女性が現場で働きやすいように、私にできることがあれば頑張りたいと思いました。

谷本最初、土木科と土木部の女子高校生が来ると聞いた時、筋肉があり、いかつい子が来るんだと思っていたら、かわいい女子高校生が土木に興味を持つんだと思いビックリしました。
石割さんが現場で働いておられると聞いていたので、大学でも専門を勉強されていたのだと思っていたら、私と似た様な勉強をされており、それでも建設業界に飛び込めるのだと思いました。
元々、土木は男の人の仕事だと思っていましたが、石割さんのような普通の女性でもできる仕事だと思い、ちょっと壁みたいなものが取れました。

学生の皆さん、最後に何か質問はありますか?

堀内大高建設には何人の女性技術者がいますか?

石割私の他に3人の女性技術者がいます。(運送担当1名、今年入社1名、産休中1名)
なかなか厳しい環境の仕事で、女性には子供のことや家庭の事情などがあったりしますが、工夫次第で乗り切れると思います。現在は制度が良くなり、育児休暇なども取らせてもらえる環境になりました。しかし、自分で無理と思うと長く続かないこともあります。
若い女性技術者がどんどん入ってくれれば良いなと思います。皆さん、どうぞ大高建設にいらっしゃいませ。ニホンカモシカとか見られるよ!あとはサルとか・・・。

谷本クマとかっているんですか?

石割私は遭ったことがないけど、クマもいるらしいよ。

石割さん、学生の皆さんへアドバイスをお願いします。

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石割建設業は、資格を取る勉強をしないといけません。私も一級土木施工管理技士を持っています。資格を持つと仕事の幅も広がりますし、やれることも増えます。もし建設業界に入ったら頑張ってください。
女性は書類整理や安全管理、段取りの仕方など男性よりも向いていると思います。会社に入ってつまずいた時があっても、自分には自分のやれる仕事があると信じ、自分らしく仕事をして欲しいと思います。

桒原まだまだ男性ばかりの環境ですが、女性ならではの視点が必ずあり、得意・不得意な部分を補い合って、同じ目的に向かっていけば女性も活躍できる職場だと思いますので、将来の参考の一つにしていただければと思います。
本日はみなさん、ありがとうございました。

参加者の紹介

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石割 美央 いしわり みお
新潟大学大学院 自然科学研究科(環境システム科学専攻)卒
勤務先:大高建設(株)

勤続年数:14年
経歴:現場代理人を歴任(宇奈月ダム流木処理等作業・北陸電力関連維持管理作業など)し、現在は営業所で事務担当。既婚で子供2人。

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桒原 美里 くわはら みさと
金沢大学 工学部 土木建設工学科卒
勤務先:黒部河川事務所 黒部川出張所

勤続年数:7年
経歴:千曲川河川事務所で維持工事の積算、立山砂防事務所で施設設計や調査業務積算などを担当し、今年の4月から出張所係長として工事監督や維持管理を担当。今回の対談でコーディネーターを務める。

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谷本 直緒子 たにもと なおこ
京都府立大学 生命環境学部 森林科学科
学年:3年
「キャンプ砂防2015in黒部」に参加し、黒部ダム、宇奈月ダム、砂防堰堤などを見学。

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堀内 桜 ほりうち さくら
静岡大学 農学部 環境森林科学科
学年:3年
「キャンプ砂防2015in黒部」に参加し、黒部ダム、宇奈月ダム、砂防堰堤などを見学。

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矢杉 瑠美 やすぎ るみ
鹿児島大学 農学部 生物環境学科
学年:3年
「キャンプ砂防2015in黒部」に参加し、黒部ダム、宇奈月ダム、砂防堰堤などを見学。

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宮成 彩乃 みやなり あやの
桜井高校 普通科
学年:1年、部活:土木部
8月3日に土木部の活動で宇奈月ダムや黒部川などを見学。

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福井 菜月 ふくい なつき
桜井高校 普通科
学年:1年、部活:土木部
8月3日に土木部の活動で宇奈月ダムや黒部川などを見学。

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清水 結衣 しみず ゆい
桜井高校 土木科
学年:1年
土木科唯一の女性で測量が得意。