ごあいさつ


 新年、あけましておめでとうございます。

  黒部河川事務所は、黒部川の堤防整備から始まり、上流部での砂防施設整備、宇奈月ダムの管理ならびに下新川海岸の保全施設整備までを担当しており、この下新川地域を洪水や高波などの自然災害から守るという仕事をしています。

 この内、河川については黒部川自体の治水安全度は、まだ十分な安全が確保されているとはいえないので、これからも護岸などの整備を行っていく必要があります。

 砂防については、黒部川上流部の崩壊地から、年間で東京ドーム一杯にも収まりきれない量の土砂が流れ出しているといわれており、砂防えん堤の整備を行っていますが、あまりにも土砂の量が多いため、近年では、大出水時には土砂を一時的に貯め、洪水後に少しずつ土砂を下流に流すことができるよう、スリット型(切り欠きのある)の砂防えん堤を整備しています。

 さらに、地域の治水安全度を格段に向上させるうえで宇奈月ダムの役割は非常に大きいものですが、黒部川においてはダムを造ったとしてもすぐに土砂で一杯となってしまいます。このため、ダム機能の維持のために宇奈月ダムと出し平ダムでは排砂と通砂を行っています。

 黒部川は、黒部大橋から上流では、河床(川底の高さ)が次第に下がっており、これを放置すると洪水時に堤防の護岸が流されやすくなり、堤防が決壊してしまうという危険性があります。そこで、土砂をダムから下流に供給することにより、河床の低下を防ぐという役割が排砂と通砂にはあります。

 また、黒部大橋から下流では、土砂は堆積傾向にありますので、今後土砂の掘削を行うことにより、洪水を流す能力を向上させるほか、掘削した土砂は侵食傾向にある下新川海岸に運び、海岸保全施設の整備と併せて浜の復元に活用したいとも考えています。

  このように、上流から流れ出てくる大量の土砂を、上流部では砂防えん堤で安全に貯めつつ少しずつ下流に流し、宇奈月ダムでは洪水とともに通過させて、黒部川の河床が低下している場所には土砂を供給し、土砂の堆積傾向にある場所からは掘削して、海岸浜の復活に活用するという考え方、これを総合土砂管理といいますが、 この総合土砂管理計画を今年中には是非立案したいと考えています。

  これらにより、さらにこの地域が洪水や高波などの自然災害に対して強い地域となるよう、微力ながら貢献できればと考えていますので、今年も皆様方のご理解とご協力を賜りますようお願い致しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
  黒部川扇状地


黒部河川事務所マーク
国土交通省 北陸地方整備局 黒部河川事務所
事 務 所 長    中 村  伸 也