黒部川Field Reports No.045

      


 7月26日、平成12年一級河川の水質状況が発表されました。
 平成10年の黒部川水質ランキング(BOD平均値による)は全国109の一級水系中、1位でした。昨年より BOD の集計手法の変更により報告下限値を 0.5mg/l と変更したため平成11年の結果は33位という結果となってしまいました。 今年度は、昨年の33位から若干上がり19位になりました。平成10年の全国1位と比べると残念な結果ですが、12年の BOD の平均値は 0.7mg/l と環境基準の 1.0mg/l を満足しており、全国でも有数の清流であることに変わりはありません。

※BOD(生物化学的酸素要求量)
 水中にある有機物をバクテリアが分解するのに必要な酸素の量を言い、この値により水中にある生物化学的な分解を受ける有機物の量を示します。BODは最も広く使われている汚濁の指標です。


平成12年 水質ランキング表


■黒部川水質ランキング転落の原因
 黒部川水質ランキングの転落の原因としては以下のことが考えられます。

 1)BOD0.5mg/l未満の切り捨て
 水質ランキングでは平成12年度から環境庁・都道府県の評価基準に合わせ BOD 0.5mg/l 未満の測定値は、以下の表のように無条件に 0.5mg/l と評価することとなりました。

BOD0.5mg/l 未満を評価しない場合の結果(H12)

 黒部川の場合、しばしば一時的に水質が悪化することがあります。平成10年、第1位となった年もした黒部橋で基準値を超える 1.3mg/l が8月に記録されています。このような場合でも、黒部川では例年は濁水期以外の BOD 値が 0.2〜0.4mg/l と極めて低いため、平均値の評価においてはかなり回復される結果となっていました。しかし、平成11年度から 0.5mg/l 未満の測定結果は 0.5mg/l と評価されてしまうこととなり、平均値はさほど下がっていません。

 2)同じ数値の河川が多く存在する
 黒部川は、平均値で 0.7mg/l 、75%値で 0.7mg/l であり数字上のうえでは、いづれも3位ですが、同じ数値の河川が数多く存在しているため19位という結果になっています。順位は19位ですが、1位と2位が18河川もあり順位的には大差がないということです。

 3)宇奈月地点より下流部に要因が存在?
 黒部川の数字の内訳をみると、上流の宇奈月地点では、平成11年、平成12年とも 0.4mg/l と清浄を維持しています。しかし、愛本地点、下黒部橋で6月、7月、9月、10月等に環境基準値を上回る場合がしばしば生じ平均値を押し上げています。よって宇奈月地点より下流に原因があると考えられ、観測項目や観測地点を増やすなど調査が必要です。しかし、水質が汚濁する要因を把握するためには、環境基準を上回るデータを蓄積する必要があり現時点では要因を確定するに至っておらず調査・検討していきたいと考えています。

 今回平成12年は19位という結果に終わりました。これまでの河川清掃などの状況をみると、河川へのゴミのポイ捨てなどもまだまだ多いようです。再び1位にランクアップするために、黒部川流域の人々の協力が必要になってきます。流域の人々皆が協力し合いながら、黒部川の清流を維持していけるよう願いたいものです。

黒部川


01/08/02
報告 : 調査課 K . I