黒部川Field Reports No.215
 
 
 平成13年3月に完成した、国土交通省宇奈月ダムの「排砂ゲート設備工事」が、平成14年度ダム工学会の「技術賞」を受賞し、5月27日(火)東京永田町の星陵会館で表彰式が行われました。
 ダム工学会「技術賞」は、ダム技術の向上・発展と研究成果の社会への還元に寄与しうる優秀な成果を残した事業(工事)に対して送られるものです。
 今回の技術賞は、厳正な審査の結果、本工事を含め、6事業(工事)が受賞しました。
 
★表彰式日時:平成15年5月27日(火)13時〜15時30分
 
★表彰式場所:東京永田町「星陵会館」
 
★受賞者
賞の名称 対象 対象者
技術賞 宇奈月ダム排砂設備
ゲート工事
国土交通省北陸地方整備局黒部河川事務所
石川島播磨重工業(株) 日立造船(株)
三菱重工業(株) (株)栗本鐵工所
 
 
★宇奈月ダム排砂設備ゲート工事とは:
 宇奈月ダムは黒部川下流扇状地の洪水防御と発電及び水道用水の確保を目的として黒部川に建設された多目的ダムです。
 黒部川は土砂流出が激しく、下流にはきれいな臨海型の扇状地が形成されています。この黒部川に宇奈月ダムを建設すると流出土砂が宇奈月ダムによって遮断され、下流河川の河床低下や下新川海岸の侵食及び生態系への影響が考えられることから、国土交通省のダムとしては初めて排砂設備ゲートを設けました。
 排砂設備ゲートの施工実績は、黒部川上流の出し平ダム(関西電力)に次ぐ2番目であり、排砂設備ゲートには土砂流出に伴うゲート周りの摩耗対策として、ステンレス(SUS630・SUS304)や鋼材(SS400)を採用し、水路部には愛知県出来山鉱床の段戸石(石英片岩)をコンクリートに埋め込む等の工法を採用しています。また、ゲートの戸溝に入った土砂を水圧で除去する装置など日本で初めての技術を採用しています。
 宇奈月ダムの完成後、平成13年6月〜7月に2回、平成14年7月に1回の排砂を行っていますが、ダム下流の環境に悪影響を与えることなく、排砂設備ゲートが機能しています。
 
 
★ダム工学会とは: ダム技術の向上・発展と研究成果の社会への還元を目的とした、学・官・民の技術者の横断的な研究組織。
 

03/06/09
報告 :  調査課 澤原