黒部川Field Reports No.155

 下新川海岸 (朝日町〜黒部市) では、現在海岸の侵食 (波により陸地が削られること) 対策事業として色々な構造物を施工しています。今回はその中でもポピュラーで、下新川海岸に最も多く存在する 「離岸堤」 について紹介をしたいと思います。離岸堤は、冬季風浪等による波を弱め、海岸線の侵食を防ぐ目的で施工されます。
 
(1) 外見
 皆さんは、海に出かけた際にこのような構造物を見かけた覚えがありませんか?
 これが、 「離岸堤」 です。一般的に皆さんは 「テトラポット」 あるいは 「防波堤」 と言っているかもしれませんね。
 
(2) 構造
 離岸堤の構造は比較的単純です。下新川海岸の標準的な離岸堤の構造は、下図のようにブロックを載せる基礎として、1個5p以下の砂利を海底に捲き、その上に1個200s〜1000sの岩石を捲き、最後に異形ブロックを3段に積んで完成となります。ちなみに異形ブロックの重さは離岸堤の場合なんと1個16tもあります。
 
(3) 施工方法
 まずは写真左のように船上から砂利を捲きます。その後、潜水士によってある程度平らに均します。
5p以下砕石投入 砕石均し状況
(ホースからの水のジェット噴射により均します)
投入は船上から行います
 
次に、200〜1000sの岩石を投入、均しを行います。
200〜1000s岩石投入 潜水士の手作業による均し
 
最後に、船上より異形ブロックを据付け、完成です。
ブロック据付け状況
 
(4) 離岸堤の効果
 離岸堤の主目的は波を弱めることですが、付随効果として海岸線の砂が沖に流れないようにする・あるいは流れてきた砂を海岸線に定着させ、砂浜の造成を図ることができます。 (箇所によって効果は異なります)
波を弱めます 砂浜を形成します
 
 【 あとがき 】

 海岸の仕事をもっと皆さんに知ってもらいたいと思い、今回のフィールドレポートを作成しました。海岸の構造物としては、他にも人工リーフ、緩傾斜堤など、まだまだあります。下新川海岸ではその箇所の特徴によりこれらを使い分け、効果的に侵食対策を行っています。その中でも今回は離岸堤についてご説明させて頂きました。
 

2002/11/07
報告 : 工務課 H.I