黒部川Field Reports No.014

色おどる季節「黒部峡谷とダム」



 石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」。
 公開当時は、世紀の難工事とうたわれた「黒部ダム」が全国的に脚光を浴びました。しかし悲しい哉、いささか古い── 。その偉業も時代の流れとともに風化し、黒部ダムを訪れる観光客も減少しているようです。

 そこに、久しぶりの超大作。はたして黒部ダムを舞台に撮影された織田裕二主演の映画「ホワイトアウト」がロングラン上映中です。「日本最大のダムをテロリストが襲撃。ダムの職員や下流域の住民20万世帯を人質にとり、−ダムの爆破を切札として−政府に50億円を要求する。そのとき、たった一人の男がテロリストに戦いを挑んだ…」というストーリーが展開されます。

 原作は、吉川英治文学新人賞をとった気鋭、真保裕一の同名小説。600ページ強。文庫のくせにやたら厚い本ですが、圧倒的な描写力とストーリー展開の妙味で一気に読破してしまいます。また、参考文献をめくると、「ダムの管理例規集」などの専門書が並び、資料に基づく構成の緻密さを含めて、ダムに携わる者をも納得させるのです

 が、そこは冒険小説でしょう── 。「主人公が毎秒300トンの水で放水路から押し流され、厳冬期の雪山で何の装備も持たずに行動する」というくだりには、ホンマかいな!と突っ込みたくなります。小説でいう「日本一のダム運転員」を超え、ランボーばりの活躍を彷彿とさせます。 

 さて、ダムは人類が造り上げた最も大きな構造物。その中でも黒部ダムは、高さ186m、堤頂長492m。7年の歳月と延べ1,000万人を超える労働力により1963年に完成し、日本最大を誇るとともに世界最大級のアーチダムです。黒部峡谷の雄大な自然と融合して、美しい景観を創りだすダムは、エメラルドグリーンの水を満々とたたえ静かにたたずみます。

 いま、黒部峡谷は色おどる季節です。
 巨大ダムに圧倒される!もよし。赤や黄色の大自然の"キャンバス"を楽しむ!もよし。立山黒部観光のハイライトとして堪能できるはずです。
 また、ことダムに関していえば黒部峡谷は先進地域。峡谷の玄関口には、新たな観光拠点として「宇奈月ダム」があります。黒部峡谷鉄道、通称「トロッコ電車」に匹敵する観光資源として期待されています。
 荒削りの自然と調和したダムたち─── 。
 ダムからの大パノラマは”まぎれもなく一級品”です。

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報告 : 開発調査課 H