黒部川Field Reports No.007

緑雨の回廊


 妻が面白いサスペンス小説だよ、とこの本を持ってきました。
 俺はほとんど推理小説やサスペンスモノは読まないんだけどな・・・・と内容を聞いてみると舞台は立山黒部周辺でどう考えても我が事務所の宇奈月ダムとしか思えない記述があるという。
 う〜む、これはウチのダム部門に教えてあげよう!と話したら、作者は既に取材に来てたので知ってるそうです。ちぇっ!
 先日、妻が読み終わったのでやっと読み始めました。
 今のところ、だいたい半分くらい読んだところですが、確かに内容はこの地域ダム、砂防についての詳しい記述があって思わずうなってしまいます。
 黒部工事事務所の技官が大阪電力(笑)の施設に大雨で避難しているってくだりは思わずニヤリとしてしまいますし、排砂で水位低下したダムの貯水池法面で財宝を探す!というのもおおっ!って感じです。
 主人公?の仕事もグラウト技術者だってのも親しみがあって良かったですね。
 余談ですが、主人公の奥さんが富山に嫁に来て、富山の風土と人々に馴染めないというくだりは、俺もわが身に当てはめて思わず同情しました・・・と思ったら、作者も俺と同じ県の出身でしたね。う〜ん。他県の人にとってはキツイんですよ、富山県人。

 ところで、最近、織田裕二さんがダムを爆破しようとするテロリストと戦うダム職員に扮する「ホワイトアウト」という映画も封切りになるみたいだし(ロケ地は冬の黒部ダムだそうです)、土木分野ってゆうか、まあ、俺らの仕事分野が注目されて来てるのかなあと感じます。
 いままで、警官とか消防士とか他分野の職業の人は小説や映画やマンガになったりしてましたが土木の分野が取り上げられることは少なかった気がするので良いことだと思っています。さらに、仕事のフィールドが舞台として取り上げられてるんだからなおさら楽しいことです。

 さて、帰ったら残りの半分を読もうか。

『緑雨の回廊』中央公論新社 樋口京輔 著

報告 : 調査課 Y