平成20年3月28日(金)14:00〜16:00
名鉄トヤマホテル  4F「瑞雲の間」
1.平成20年度連携排砂計画(案)について
2.平成20年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
3.その他




評価委員会





第29回黒部川ダム排砂評価委員会における評価
 平成20年度連携排砂計画(案)及び連携排砂に伴う環境調査計画(案)については、了承する。
 なお、連携排砂及び環境調査の実施にあたっては、各委員から出された意見を踏まえ、実施すること。


@平成20年度連携排砂計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−1 平成20年度連携排砂計画(案)について
 
[主な意見]
(委員A) 排砂量の考え方について、前回の委員会では、目標と実績に差異が出ていることに対し、原因が何であるかを議論するとともに、本来自然現象であるため、いろいろな要素が絡んでいることから、ある程度の変動はあることを発言した。
  今後、排砂量の定義、位置づけを改めて整理したほうが良いと思う。目標というのはあくまでも堆砂測量の結果として出てくる数字で、これを排出するために実際のルールを決めて排砂を実施することになる。これに対して、実際に想定される排砂量というのは20万mから30万mぐらいの変動が出る可能性をある程度予測して、実際に臨むことになる。
  言葉の呼び方については事務局で検討していただきたいと思うが、例えば目標排砂量というのは26万mで、実際に排砂を実施すると、おおよそ20万mから30万mの排砂量の変動幅が想定される、というような2つの数字を用いて排砂操作を説明していくことが望ましいと思う。
(委員長) 資料−1の4ページにおいては、表現を逆にして、例えば目標排砂量を26万mとして、それには幅があるというような表現の仕方のほうがわかりやすいと思う。
(委員B) 資料−1について、目標排砂量という表現をもう少し検討したほうが良いかと思う。そのことと関連して、資料−1の7ページと5ページで表現の仕方が違っているので、間違いをなくする意味でも、表現を同じにしていただきたい。
  要は、しっかり把握できているのは測量結果で堆積している部分だけだということである。
(委員C) 目標排砂量の呼称については、26万mは目標排砂量、20万mから30万mは計画排砂量、あるいは予定排砂量、想定排砂量という文言が考えられる。
(委員長) 一般の方々にも理解しやすい言葉が良いと思うため、目標排砂量、それには幅があるという表現が一番受け取りやすいと思う。
(事務局) 今回、初めて目標排砂量について幅を持たせるという取り組みをしたが、その表現方法については、実施機関の中で検討させていただき、今年の排砂期間が始まるまでに、その表現方法を決定したいと考えている。
 
A平成20年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−2 平成20年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
 
[主な意見]
(委員長) 環境調査については、過去の評価委員会においても、いろいろな意見が出ており、調査項目が増加する傾向にあった。その結果、環境状況がより良く把握できたが、おおよそ、その傾向がわかってきた時期でもあることから、今回、適切な調査項目だけに絞っていこうということである。
(委員D) 特に水質と底質の調査項目について、おおよそ類似性があるということで削減したことについては、特に問題ないと思う。ただ、調査地点については、底質に関して、今までの調査結果からも、かなりいろいろなところで多様性がある。底質の調査地点は減らさないということになっているので、その点は今後ともお願いしたいと思う。
(委員A) 今回の調査内容の精査・見直しについては、かなりデータが蓄積されてきて類似性が確認できたということで合理化を行うことは結構であると思う。
  排砂に伴う環境調査の考え方に関しては、従来、土砂を排出することで環境的にどのようなリスクがあるのかという観点での、いわゆるアセスメント的な調査と、もともと流れていた土砂を河道に戻すという観点では、これはリスクというよりもむしろ排砂効果という面で、土砂環境がどのように変わっていくのかという調査の大きく2つがあると考えられる。後者は、例えば、河床材料の変化であるとか、付着藻類や底生動物の種構成がどのように変わっていくのかを把握していくという観点での調査が該当する。
  前者のアセスメント的な調査に関しては、ある程度精査を行い合理化した中でも、リスクがあるかどうかについては十分チェックできるということで今回合理化することで良いと思う。後者については、地点を精査すると同時に、1カ所当たりどのような調査を実施することで、環境変化が把握できるのかについて、引き続き十分議論していく必要がある。
  必ずしも縮小ということではなくて、環境変化を把握するための調査方法の考え方については、引き続き議論したほうが良いと思う。
(委員E) 水生生物に関しては、現状での調査頻度では把握しきれていないという感じを持っている。ただ、調査方法の限界や費用の問題もあるため、現状では仕方ないものと思っている。
(委員A) 排砂を実施することによるリスク評価という観点では、機動的に行わなければならないので、現状での定期的に行う排砂前の5月と排砂後の9月の調査は毎年最低限、実施していく必要がある。
  環境変化を把握するという観点に関しては、必ずしも毎年調査しなくても良いのではないか。例えば5年に1回ぐらいの期間でどのように変化していくかをデータ蓄積していくということでも十分環境変化を把握できると思うので、排砂に関する調査だけに特化せず、例えば水辺の国勢調査等は国土交通省でも調査しているデータがあることから、そのようなものも含めて見ていくことも当然あって良いと思う。
(委員E) 水位の変動が激しい黒部川では、よほど地点を上手に選んで調査しなければならないし、河床の状況などを考慮して実施することは非常に難しいと思う。
  水辺の国勢調査のように、河川を全体的なとらえ方で把握していくような考えもあるが、私としては、黒部川のどこか1カ所について、毎日の状況変化を把握していくような方法が良いと思う。いろいろな調査を行うよりも、例えば付着藻類だけを同じ場所で、状況の変化に応じて河川の中央から河岸まで漏れなく観察するという方法が良いと思っている。
(委員長) 排砂の一つの影響監視という面においては、環境調査計画とは別にして、他で調査しているデータを調べるという考えもある。
  例えば、北陸地方整備局所管のダムに関して、フォローアップ委員会という会議の中でも、水生生物調査を実施しているので、それらの調査が非常に有効なデータとして参考になるかもしれない。
(委員F) 海域については、今年2月末の高波についてどのように考えたら良いのか。例えば今年5月の定期調査について、従来のような定期調査と同じように位置づけられるのかどうかであり、高波の影響が海域の底質、水質に影響を及ぼしているのかどうか、5月の定期調査をこれまでと同様に扱って良いのか検討が必要だと思う。
  仮に何か影響があったと考えると、5月の定期調査の前に臨時のサンプリングを実施する必要があり、その上で高波の影響はほとんどなかったということであれば5月の定期調査は従来の定期調査の位置付けで考えることができる。
  波浪の影響のあるところ、特に水深の浅いところでは、砂や泥の移動が考えられるため、実施機関ではどのように考えているのかを聞かせていただきたい。また平成20年度の環境調査に関して、簡略化していくことは結構だと思うが、今回、一つの自然現象として高波の現象があったため、海域に対して高波の影響がどのようなものであったかを評価しないと、平成20年度の排砂に関する評価に多少とも影響があると思う。
(委員長) 2月の高波からは時間が経過しているが、5月の定期調査の以前に何か調査しておくことは考えられる。
(委員F) 海域についても、この委員会で特に新しく高波に関する影響調査をする必要はないと思うが、国土交通省や富山県において調査を実施しているのであればその結果を参考にすることも考えられると思う。
(事務局) 今年2月の高波被害に対して、被災された方々にはお見舞い申し上げます。
  今回高波被害に関する海域の調査に関しては、特段計画はしていない。5月に定期調査として実施したいと考えている。ただし、前年度との比較とか従来からのデータとの比較という意味で、何か違ったデータが出てくるかどうかという観点で確認したいと考えている。
  必要があれば、富山県など他の行政機関のデータがあるものであれば提供をお願いしていくことも考えている。
(委員F) 懸念されることは、例えば底質を測定したときに何か異常があった場合に、それは排砂の影響なのか高波の影響なのか、それを評価しなければならない。平成20年度の環境調査に関しては、その点を考慮しておく必要があると思う。
(事務局) 海域では何らかの変化があるとは思うが、調査データの連続性を考えると、まずは同じ地点でのデータを確認して、そのデータに変化がなければ、去年と同様の扱いをさせていただきたい。もし水深の変化や底質が変わっている場合は、調査ポイントの移動も含めて相談させていただきたい。
(委員C) 用水路の調査については、今までの調査結果から考えると、粒度組成の項目を省くことについては問題ないと考える。
 
B出し平ダム湛水池内ボーリング調査結果について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
その他 出し平ダム湛水池内ボーリング調査結果
 
[主な意見]
(委員G) 資料12ページの臭気強度はどのように測定するのか、また、12ページの測線No.1のボーリングでは腐敗臭と表記しているが、13ページには微臭と表記している。この違いは何か。
  もうひとつ、測線No.1ボーリングの表層の腐敗臭は、そこで腐敗したものなのか、他の場所で腐敗したものがそこへ堆積したのか、3点について伺いたい。
(事務局) においについては、環境測定士の指導を受け、一人の作業員で鑑定している。臭いの強さは5段階あるが、今回の調査からは一番大きなものでも5段階の内の2つ目であった。腐敗臭と微臭の違いについては、腐敗臭は臭いの種類として表記し、微臭は臭気強度2を表すものとして表記している。
  また、測線No.1ボーリングの表層については、シルト質となっているが、これは昨年の排砂後、8月22日及び9月7日の比較的大きな出水により流入してきたものであると考えている。
(委員B) 今までは平成6年12月の河床高を下回らないようにということを随分注意してきたが、今回の結果を見れば、少しくらい下回っても心配することはないと、少し安心した。今後、排砂を実施した結果、少しぐらい河床が下がってもそれほど気にしなくても良いという判断が得られ、大変参考になった。
(委員E) 20年度の排砂では、測線No.1の試料番号1の部分が排出されることになるが、そうすると多少は腐敗臭を持ったシルトや粘土が流出し、下流の河川敷や海へ流れ出ていくことになる。
  今でも、腐敗臭がほとんどないが下流の河床の礫の下面には、前年度の排砂によって堆積したシルトが付着している状態である。
  例えば付着藻類の付着にどの程度影響を与えるのかというように、別の観点から見ていく必要があると思う。融雪洪水で一旦なくなり、また次の排砂のときに貯まるということを繰り返すのかどうかを、一度調査していただきたいと思う。
(事務局) 融雪出水の前後となるが、5月に底質調査を行い確認したいと思う。
(委員F) 資料の7ページについて、測線No.1のボーリングコアにおける5mから6mの間に存在するシルト混り粘土は、平成3年の排砂後以降にたまったものと考えているのか。
(事務局) 測量結果として、平成3年12月の排砂が終了した時点では、河床の表面は砂礫となっていたので、平成3年12月以降にたまったものであると考えている。
(委員F) 平成3年の排砂時では、その当時、出し平ダムの貯水池内において、排砂する以前から堆積していた土砂が流れ出たものと思うが、今回の測線No.1ボーリングで得られた5mから5.5mの間のシルト混りの土砂は、排砂後にたまったものであると考えると、土臭程度の腐敗臭という説明が妥当であると思う。
(委員A) 資料の12ページにおいて、今回の測線No.1の一番表層の細粒分の土砂は、当然、昨年の排砂後にたまったものであり、昨年8月末の出水で堆積したものと考えることができる。
  堆積厚にして1m相当の量で細粒分土砂が堆積しており、平成20年度の排砂時に下流へ排出されることから、資料−1の9ページにあるSS値の予測でも、ある意味反映されている。
  8月の出水形態を考慮した場合、通砂が現実的に実施できるか疑問があるため、今後、このような出水が発生した場合、どのようにダムの操作を行うのが良いのかを検討する必要がある。今回のボーリング調査データからも、ある程度の規模の8月の出水により、細粒分土砂が堆積することが確認できた。その堆積土砂が翌年の排砂時にまとまって排出されることになり、ある意味、少し宿題を残した形で翌年の春を迎えてしまうことになる。従って、もう少し宿題を軽くするような操作が、8月の出水時点において実施できないものかと思う。
  現在決められている通砂の操作ではなく、例えば貯水位を低下させずに細粒分の土砂だけをダムを通過させるような放流操作を検討する必要がある。そのような操作が翌年の排砂時において、環境的なインパクトを軽くする意味で非常に有効であると思う。
  現段階で、実施機関で何か考えがあればお聞かせいただきたいし、また、平成20年度にいろいろ検討した上で、平成21年度に向けての検討を進めていただきたい。具体的には、細粒分土砂はダムの直上にたまりやすく、かなり密度が重い濁り水として貯水池内を流れていると考えられる。これを河川工学では密度流と称しているが、それら細粒分土砂をため込むのではなく、洪水・出水中に貯水位を低下させずに、流速を落さず細粒分土砂が沈降する前にダムから放流するような操作について、検討していただきたいと思う。
(委員B) 過去に1度、貯水位を低下させずにゲートだけ開けて、堆砂表面のものを流す操作を実施している。そのような考えも加味して検討すれば、より良くなると感じる。
(委員長) 過去には土砂変質抑制策を実施し、効果があったものと評価しているが、その辺を応用して実施する方法もあるのではないか。
(事務局) 排砂が実施できなかった平成12年には、排砂期間が終わった直後の抑制措置として、貯水位を完全に低下させないで、排砂ゲートだけを開けて、貯水池の底層に新鮮な水を循環させる措置を実施している。
  そのような状態の細粒分土砂が、移動するのかどうかも含め検討させていただきたい。
(委員A) 堆積したものを排出するのではなくて、まさに今の洪水で流入してきた流動している土砂を、そのまま流動し続けるような状態をつくり出す操作であることから、誤解のないようにしていただきたい。
(事務局) わかりました。
(委員E) 下流へ排出される土砂量は出し平ダムに加えて、宇奈月ダムに堆積している土砂も考えなければならない。
(事務局) 出し平ダムからウォッシュロードとか浮遊砂のような状態のものを流すと、宇奈月ダムの貯水位が低下していない場合、ダム貯水池が成層化していると、どの水深部分に流入していくかによっては、宇奈月ダムに堆積してしまう可能性もある。よって、出し平ダムから流れてきたものをそのまま宇奈月ダムに堆積させずに通過させる必要があるため、もう少し検討を要すると思う。
(委員A) 洪水中に上流から流入してきた土砂については、流速と沈降速度の関係でダムにたどり着くかどうかが決まる。
  また、出し平ダムと宇奈月ダムの両方を土砂が沈降せずに通過してくれるかという2段階の制約があり、両ダムで流速を確保するためにゲート操作をどのようにすれば良いのかを検討する必要がある。当然、洪水中であるため、両ダムとも何がしかの水は放流しているが、問題は放流する高さである。高い位置から放流すると、貯水池の底部は流速が落ちるので土砂が沈降しやすくなる。底部の流速を確保することで、ある程度、土砂が沈降しつつも堆積する前に排出できるのではないかと考えている。両ダムの貯水池の特性、距離、深さも違うことから、出し平ダムで通過しても、宇奈月ダムで全部通過するかどうかは、検討が必要な部分である。連携操作として、どのような操作が効果的であるかを検討していただきたい。
(委員長) 今回の評価委員会では、目標排砂量等に関する件、調査地点・調査項目等についての見直しの件、出し平ダムにおけるボーリング調査の件と重要な3点を審議した。それぞれについて、各委員の方々に専門的立場からご意見をいただいた点を踏まえ、実施機関にて今後の取り扱いをお願いする。
−以 上−


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