平成17年3月30日(水)14:00〜15:30
名鉄トヤマホテル 4階「瑞雲の間」
1.黒部川ダム排砂評価委員会規約(改正案)
2.平成17年度連携排砂計画(案)について
3.平成17年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について



評価委員会



[評価]
 平成17年度連携排砂計画(案)及び連携排砂に伴う環境調査計画(案)については、了承する。
 なお、環境調査の実施にあたっては、各委員から出された意見を踏まえ、実施すること。
 
○平成17年度連携排砂計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−1 平成17年度連携排砂計画(案)について
 
[主な意見]
○平成17年度連携排砂前の出し平ダム堆砂形状について
(委 員)
出し平ダム目標排砂量には、平成16年度の出水後に黒部川第二発電所放流口付近の堆積土砂を掘削移動した範囲は含まれているのか。
(事務局)
目標排砂量は、平成16年7月連携排砂・通砂後の8月と12月に実施した出し平ダム貯水池の測量結果から算出している。測量区間は、出し平ダムから約3,100mまでの貯水池内としており、黒部川第二発電所の放水口付近に堆積した土砂を発電所の機能維持のために人為的に掘削移動した箇所も測量区間に入っている。
○平成17年度宇奈月ダムにおける「排砂・通砂後の措置」の試行運用について
(委 員)
河口から宇奈月ダム間の河道内に土砂が局部的に堆積することを防止するために、宇奈月ダムから300m3/sの流量を3時間放流する排砂後の措置を計画しているが、自然流下中に堆積した土砂量及び排砂後の措置実施により掃流された堆積土砂量を予測・調査する方法はないか。
(委 員)
環境面からみた場合、排砂後の措置の実施により宇奈月ダム下流河道内に堆積した土砂を早急に掃流した方が良いとする考え方と、排砂後の措置を実施せず、堆積した土砂に混入した有機質等が酸素等により分解され、ゆっくり流下させた方が良いとの考え方もある。よって、排砂後の措置により、土砂が海域に流下する土砂量を、推定できればよい。
(事務局)
土砂移動を把握するためのシミュレーションは、入力条件及びシミュレーション結果と排砂中、洪水中の土砂モニタリングによる実測値との検証が重要であるが、その測定技術の向上に努めているものの、現在の技術では、一定の精度をもって洪水時等の移動土砂量を実測できない状況にある。
アユの生息環境調査の一環で行う河床堆積土砂表面の土砂分布変化を調査する土砂の堆積調査で、排砂前、排砂後の措置前後の土砂堆積状況を写真撮影や現地踏査により確認することとしている。この調査により排砂後の措置前後における河道内の土砂堆積状況の変化を見ていきたいと考えている。
(委 員)
土砂収支の概算値は、採水によるSS値が、排砂中及び排砂後の措置中等に移動する土砂の代表性を持っているかという課題はあるが、採水によるSS値と流量データから算出することは可能である。
土砂が海に流下せずに河床にとどまることが、環境面でマイナスとなるならば、排砂後の措置により、早期に掃流することは意義がある。このため、土砂収支により評価することが重要である。
今後は、宇奈月ダムの堆砂が進み、宇奈月ダムが建設される前の様な粒径の粗い土砂が宇奈月ダムから下流に流下するようになるが、この様な変化に対し、宇奈月ダムより下流の河川での河床の粒径やアユ産卵床などの環境がどう変わっていくか、把握することが重要である。
(事務局)
河道内の粒径分布の変化については、これまでも行っている底質調査の粒度組成の調査で経年的な変化を見ていきたいと考えている。
 
 
○平成17年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−2 平成17年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
 
[主な意見]
○アユの生息実態・生息環境調査について
(委 員)
アユの産卵場所や産卵条件などは調査できるものなのか。
(委 員)
産卵場所や産卵条件などは、河床の底質状況等を見れば概ね判断できる。しかし、黒部川の河床の状況は、正確に把握されておらず、平成17年度から実施するアユの産卵床調査により、基礎データを収集することが重要である。また、調査に際しては、黒部川に詳しい内水面漁協の協力を得て進める必要がある。
(事務局)
アユの産卵床調査等の実施にあたっては、専門家および内水面漁協と相談し、協力を得ながら進めたい。
(委 員)
平成16年度のアユの採捕調査手法は、漁獲努力量を同一とするために同じ網目の網で採捕する方法としたが、採捕調査の目的が黒部川のアユの生息数を正確に把握することであれば、河川の状況やアユの成長状況に応じて網目を変えるなど、採捕方法を工夫した方が良い。
(事務局)
平成16年度の採捕調査は、専門家および内水面漁協と相談し、アユの成長に伴い網の網目を変えるなどの工夫をして行ったが、平成17年度も引き続き専門家および内水面漁協と相談し、調査を進めていきたい。
(委 員)
耳石調査により、排砂や出水等で海域に降ったアユが川に再遡上したかを確認するためには、海域での生息期間及び塩分濃度と耳石のストロンチウム・カルシウム比の変化量を調査・確認する必要がある。
そのための飼育試験を富山県水産試験場で実施することは可能であり、排砂実施機関から要請があれば、試験場として協力したい。
(委 員)
耳石に関する研究が最も進んでいるのはウナギであり、最近ではアナゴも進んでいる。アユの耳石調査に、これらの研究成果や専門家の意見を取り入れることが必要と思う。
(事務局)
飼育試験については、富山県水産試験場や専門家のご指導を得ながら進めていきたい。また、アユの耳石調査については、ウナギなどの他の魚種の研究成果や専門家の意見等を取り入れて実施したい。
○セジメントトラップ調査について
(委 員)
排砂後の措置の効果を確認する一つの手法として、排砂後の措置前後でセジメントトラップを回収し、採取された土砂の量と性質を分析・比較することはできないか。
(事務局)
排砂後の措置前後の比較は、排砂を行うこととなった出・洪水に伴い河川から海域に大量の水が流出しており、黒部川河口前面にあるトラップの回収作業が危険なことや、短時間での回収作業が求められることから、現時点では困難と考えている。
(委 員)
セジメントトラップ調査は、トラップが波に流され、トラップと黒部川河口との距離が回収の都度大きく変化すると河川から海域に流出する土砂の量や性質を適正に採取・分析することが出来なくなる。このためトラップが波に流されないように漁業へ影響を与えない範囲でおもりを重くするなどの工夫をする必要がある。
(事務局)
トラップのおもりの重さ等については、漁業者と調整の上、検討したい。
○黒部川以東海域の濁りの影響調査について
(委 員)
河川から海域に流出した濁りの拡散状況を見るには航空写真から判断することが最も正確だと考える。無機元素分析による調査を行う必要性はなにか。
(事務局)
これまでも黒部川から海域に流出した濁りの拡散状況を航空写真により確認している。航空写真から確認した濁りの拡散状況からは、小川河口沖に堆積している土砂は黒部川から供給された土砂の影響は小さく、小川から流下したものが主であると推測される。
しかし、実際に小川河口沖に堆積した土砂が小川から流下した土砂なのかといった疑問が漁業者にあり、黒部川から供給された土砂ではないことを定量的に評価する方法として、無機元分析の調査を実施するものである。
(委 員)
海域で拡散する濁りは、河川等の発生源から河川を流下し、海域で拡散するが、この発生から流下過程で濁りや堆積土砂の底質の性質が大きく変化すると考えられる。また、濁りや底質の採取時の流量などの条件によっても、物質の構成比が変わると思う。よって、底質を採取するときの条件の変化をどう評価するかが重要である。
また、黒部川の濁りの性質は、小川や笹川とは異なり、排砂を行う出し平ダムや宇奈月ダムの底質の影響が大きいと予想されることから、両ダムの底質も無機元素分析を行う必要があると思われる。
(委員長)
河川から海域に流下する底質は、河道を流下する過程で底質の差異が淘汰され、相違点が小さくなると考えられることから、両ダムの底質無機元素分析を実施することが望ましい。
また、平成17年度から調査を予定している笹川は、上流域の地質が黒部川や小川と異なることから、笹川の分析結果と黒部川や小川を比較することにより、分析結果の妥当性が確認できると思う。
(委 員)
河川から海域に到達する濁りは、浮遊状態の細粒分と考えられ、河川に堆積する土砂と成分が一致しない可能性がある。
河川を流下する細粒分と河口に溜まった土砂の性質の違いを比較するため、水質調査の採水によるSS成分についても分析してはどうか。
(事務局)
平成16年度は、黒部川と小川の河口沖底質のみを分析したが、平成17年度は、河川部まで調査範囲を拡大し、底質の調査・分析を行うものである。
調査地点、調査時期等については、各委員から頂いた意見を踏まえ決定したい。






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