平成16年8月18日(水)13:00〜16:00
名鉄トヤマホテル 4階「瑞雲の間」
1.平成16年7月連携排砂及び連携通砂の実施経過について
2.平成16年7月連携排砂及び連携通砂に伴う環境調査結果(速報)について



評価委員会



[評価]
今年の連携排砂は、排砂実施中に例年以上の大きな洪水が発生したことから、初めて排砂と通砂が連続して実施されている。そのため、排砂時と通砂時のそれぞれの段階に分けて調査データを見ていく必要がある。
排砂時の調査データについては、過去の排砂時の調査データと大きな差は見られなかった。
通砂時の調査データについては、排砂中に大きな洪水が発生し通砂が連続して実施されたことから、過去の排砂や通砂時の傾向と異なる調査データが出た部分もあるが、全体としては過去の排砂時や通砂時と比較して大きな差は見られなかった。
各委員から出された意見を踏まえ今回の調査データを整理し、それと併せ今後得られる生物調査等の調査データを含め、次回の評価委員会で検討することとする。
 
○平成16年7月連携排砂及び連携通砂の実施経過について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−1-(1/2) 平成16年7月連携排砂及び連携通砂の実施経過について
資料−1-(2/2) 平成16年7月連携排砂及び連携通砂の実施経過について
参考資料 平成16年7月連携排砂連携通砂中に発生した流木状況について
参考資料 連携排砂により大量の流木が入善漁港へ流入したとの指摘について
参考資料 近隣河川との比較(SS及び流量)
 
[主な意見]
(委 員)
出し平ダムは排砂中に洪水処理を実施しているが、自然流下中断および開始の時刻はどのように決めたのか。
(事務局)
洪水の発生が連携排砂の自然流下中であったことから排砂ゲートは全開のまま洪水処理を行っている。自然流下中断の時刻はダムへの流入量が増加しダム貯水位の上昇に伴い排砂路天頂部が見えなくなった時点、自然流下再開の時刻は逆にダム貯水位の下降に伴い排砂路の天頂部が見えるようになった時点としている。
(委 員)
今回は連携排砂、洪水調節(処理)及び連携通砂と一連の操作を長時間連続して実施したことから、農業用水の取水停止時間も長引いたのではないか。農業用水の取水停止に関して、関係者からの問い合わせや苦情等は無かったか。
(事務局)
農業用水の取水停止時間をできるだけ短くするため、6月20日までは宇奈月ダムでは水位低下時間を短くするために貯水位を低めに抑えたり、排砂実施中には取水再開に関する関係者との調整や現地立ち会いを迅速に行い、また、排砂実施前や排砂実施中には農業用水の取水再開の見込みについて、関係者への広報にも務めたことから、関係者からの苦情は無かった。
(委 員)
今回の流木は連携排砂実施中の18日に発生した洪水により、ダム上流域から流出してきたものか。また、黒薙川と本川のどちらから流出した流木が多かったのか。
(事務局)
連携排砂実施中の18日に発生した大きな洪水の前にはダム貯水池内の流木は確認できていないことから、18日からの洪水によりダム上流域から流出してきたものと考えている。また、黒薙川と本川のどの河川から発生した流木かは把握できていない。
(委 員)
今回の排砂から洪水処理(調節)、そして通砂という一連の操作により、次のような経験や教訓が得られたのではないか。
排砂中に洪水が発生した場合には土砂の問題と流木の問題が同時に発生するが、それらを同時に解決することは難しいこと。
洪水中に同時に流下する土砂と流木を排砂ゲートにより安全に流下させることが可能であるということ。
出し平ダムは洪水調節の機能が無い発電ダムであるが、ダム貯水池が空の状態で洪水を迎えたために結果的に自然調節方式のダムと同じような洪水調節を行ったこと。
 
○平成16年7月連携排砂及び連携通砂に伴う環境調査結果(速報)について
詳しくは以下の資料をご覧下さい
資料−2−@ 平成16年7月連携排砂及び連携通砂に伴う環境調査結果(速報)
資料−2−A 平成16年7月連携排砂及び連携通砂に伴う環境調査結果(速報)データ集
 
[主な意見]
○臭気
(委 員)
新聞報道等で排砂中の臭いが強かったと書かれていたが、どうだったのか。
(事務局)
18日に宇奈月温泉街で黒部川からの臭いがあったことから、今後宇奈月町長が臭いの調査を土砂管理協議会で要望していく旨の新聞報道はあった。
排砂時の臭いについては、これまでも硫化水素臭がするとの指摘があったことから、昨年の排砂時に臭気判定士による調査を行った結果、臭いの種類は土臭であるとの調査結果がでており、その結果を評価委員会に報告している。
(委 員)
富山県水産試験場では、7月18日に黒部川河口付近の海域調査を実施した。担当の研究員は、現場海域では河口方向から泥臭が漂っていたが、硫化水素臭は認めなかったと報告した。
○ダム湖底質
(委 員)
出し平ダムの底質のCOD等が排砂前より通砂後が上昇しているが、原因としては何が考えられるのか。
また、通砂後にダム貯水池の水質調査を実施した際の浮泥層の厚さはどのくらいだったのか。
(事務局)
7月26日に通砂後の調査を実施したが、通砂時のピーク流量が大きかったこと、調査前日の25日に大きな出水があったことから、上流域から有機物を含む多くの土壌が河川に流出堆積し、その土砂が25日の出水により出し平ダムに流入堆積したことが原因と考えている。また、2年前にも出し平ダム直上流のbP測線で排砂後の底質で大きなCOD値を観測したことから、評価委員会で審議していただき、bP測線において横断方向に調査地点を増やし6点で底質調査を行ったが、調査データのバラツキが大きかった。このバラツキの原因としては出し平ダム貯水池の湾曲により砂の溜まり方が均一でなく、落ち葉のくずのような有機物が局所的に多く溜まる地点ができると評価委員会で評価をいただいている。
浮泥層の厚さは、7月26日時点で約5m、8月7日時点で約1.5mであった。
(委 員)
今回の排砂は砂分のような土砂を排出できたということは底質を変化させないという効果があったと思われる。通砂後にダムに溜まった細粒土砂に含まれる有機物が今後どう変化するのかを把握し、評価していきたい。
(事務局)
今回の排砂後の底質調査は、洪水の翌日に行ったが、今後は調査日を考え直したい。また、出し平ダムの底質調査については、調査地点の追加を検討し、定期的な調査データの推移を見ていきたい。
(委 員)
ダム底質のバラツキを調査するため調査地点を増やす場合は、これまでのデータとの比較検討のため、現調査地点は変更せずに残すべきである。
(委 員)
出し平ダムは排砂が繰り返し行われてきたことから、貯水池の堆積形状は安定化しており、細粒土砂の堆積が増加していくことは考え難い。従って、バラツキのある底泥データのみで議論するのではなく、排砂中の水質データと合わせて評価していくことが大事である。
一方、宇奈月ダムは土砂がまだ堆積する過程にあることから、堆積形状や堆積土砂の粒径の変化を注視していくべきである。
○河川および海域水質
(委 員)
宇奈月ダム下流河川では、宇奈月ダム直下よりSSが大きくなっているが、原因として考えられることは何か。
(事務局)
これらの原因としては、宇奈月ダムから流出した土砂に加え、下流河川に堆積した土砂が巻き上げられ下流に流れ出たことや残流域からの濁水の流出が考えられる。
(委 員)
今回の海域の水質調査データについては、過去の排砂中及び通砂中の調査データと比べ、大きな差はないと見られる。濁度のピークが三回あるが、それぞれのピークが今回の一連の排砂から通砂までのどのタイミングになっているのか。
(委 員)
下流河川の水質で見ると、一つ目の山は自然流下中に洪水が発生したときにダム湖の細粒土砂が巻き上げられ、これがダムから流出したとき、二つ目の山は洪水調節の後に排砂ゲートを開けたときにダムの直上流に堆積した細粒土砂がダムから流出したとき、三つ目の山が通砂の自然流下中のときと考えられ、この三つの山が平行移動して三つのピークが出たものと考えればよい。
○流木の流出
(委 員)
洪水とともに出てくる流木は昭和40年代頃までは下流域の住民の燃料であったことや山の手入れもよく流木の発生も少なかったことから問題視されることはなかったが、近年は流木被害が注目されるようになってきた。これまでダムは流木を止めることを目的に含んではいなかったが、今後は洪水時のダムにおける流木対策として、連携通砂を途中で中止するようなことを検討すべきである。
(事務局)
黒部川流域は国立公園に指定されている地域が多く、今も昔も山の手入れの状況はそう変わっていないと考える。また、連携通砂を途中で中止して流木をダムに貯めるということに関しては、崩壊の著しい黒部川流域からの土砂流出を考えた場合、洪水時にダムに大量の土砂が溜まりダムの洪水調節機能が維持できなくなることから、連携通砂により確実に土砂を通過させる必要がある。
なお、今回の洪水時には、宇奈月ダムでは排砂を行っていたため、通常の常用洪水吐からの自然越流による放流となる洪水調節を行った場合に比べて、ダム下流域への流木の流出は少なかったと考えている。
○漁業補償
(委 員)
新聞報道では関西電力が黒部川内水面漁業協同組合に対して、排砂に伴う漁業補償を行っていたと報じているが、当委員会として排砂により特に問題となる現象は見られないと評価していることに対して、別の場で異なる評価がなされているのであれば疑問である。
(委員長)
関西電力の漁業補償については、当委員会として扱うことは難しい問題である。当委員会は排砂が環境に与える影響を科学的に検討・評価する場である。
(委 員)
我々は、当委員会により検討された環境調査計画に基づいて調査された結果について評価しているものであるが、漁業補償は当委員会で審議評価している調査結果に現れない被害に対して行われたものだと思っている。
(事務局)
排砂実施機関としては、排砂による環境への影響が全く無いとは考えていない。表現についても、「大きな影響は見られない」、「影響は小さい」などと絶対的な表現を避けているところである。今後は当委員会から指導をいただきながら、排砂による環境への影響を極力小さくしていきたいと考えている。
(顧 問)
補償問題に関しては、当委員会は関与すべきではない。当委員会は排砂に伴う環境調査計画及び環境調査結果について、科学的・客観的に審議・評価しているものである。
(事務局)
補償の問題は基本的には当事者間の問題であり、当委員会の場で議論していただく問題ではないと認識している。本件に関する情報を各委員の方々へどのように提供できるかについて、委員長と相談させていただきたい。
(委員長)
漁業補償に関する情報については、各委員への提供方法について委員長として事務局と相談する。
 
− 以 上 −







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