平成16年3月24日(水)10:00〜12:00
名鉄トヤマホテル 3階「清風の間」
1.平成15年6月連携排砂に伴う環境調査結果について
2.平成16年連携排砂計画(案)について
3.平成16年連携排砂に伴う環境調査計画(案)について



評価委員会



[評価]
 平成16年度連携排砂計画(案)及び平成16年度連携排砂に伴う環境調査計 画(案)について了承した。
 
○平成16年度連携排砂計画(案)について
【連携排砂計画(案)についての概要】
◆目標排砂量: 出し平ダム 目標排砂量約17万m3、宇奈月ダム 目標排砂量0万m3
◆時    期: 6〜8月で流入量が、出し平ダムで300m3/s、宇奈月ダムで400m3/s のいずれかを上回る最初の出洪水時に連携排砂を実施。
ただし、融雪や梅雨等により流量の大きい時期に限り、出し平ダム流入量が250m3/sに達した場合においても実施する。
◆排砂・通砂後の措置:
  宇奈月ダムの排砂・通砂後の措置については、下流河道のより一層の土砂の局部堆積防止を図るため、排砂・通砂末期に宇奈月ダムの容量を活用し、濁りの少ない水で小規模出水をダム下流の河川に試行的に流下させることとし、排砂(通砂)後、宇奈月ダムから300m3/s程度を一定時間(最低3時間)放流する。
排砂(通砂)後の措置の試行については、海面漁業関係団体から排砂評価委員会に提案することは了解を得られた。なお、平成16年度連携排砂計画(案)を説明するなかで「従来の方法で問題がなかったことから変更する必要はないのではないか、河川に堆積したものはその後の出水で海に流出するのが自然の流れではないのか。」との意見と、また一方で「方法を変更したほうが海の濁りが早く引くというメリットがあるのではないか。」との意見を頂いた旨を合わせて報告した。
◆土砂変質進行抑制策:
  排砂条件を満足する出洪水の発生がない場合は、9月1日から9月2日の間に土砂変質進行抑制策を実施する。
詳しくは資料−2をご覧下さい
 
[主な意見]
○平成16年度連携排砂計画(案)について
(委 員)
河道の局所的な土砂の堆積を防止するために、自然流下中の流量より多い300m3/s程度の流量を排砂後の措置として宇奈月ダムから放流するが、その効果を把握するための調査を実施し、評価する必要がある。この調査については、河川全体を現地計測により定量的に把握することは難しいため、過去の排砂実績から特に細かな土砂が貯まりやすいところに重点をおいて、目視や写真撮影による観察調査を行うことが有効である。
排砂時のダム下流におけるSSの予測計算の精度を向上させるためには、予測計算値と実測値との検証を積み重ねていくことが重要である。
また、宇奈月ダム貯水池の河床が年々上昇していくことにより、上流から入ってくる細かな土砂が通過しやすくなっていることも考えられ、今後は宇奈月ダムから出ていく土砂の濃度と粒径の変化を評価していく必要がある。
(事務局)
排砂後の措置実施による効果の把握については、ご意見を参考に調査方法を検討し平成16年度から実施していく。
排砂時に宇奈月ダムから流れ出る土砂については、今後も水質調査のための採水によりSSおよび粒度分布の測定を継続し、流出土砂の濃度と粒径の変化を調査していく。
(委 員)
土砂変質進行抑制策は排砂とは異なり土砂排出を伴わないことから、排砂のように出水に合わせて実施するのではなく、計画(案)のとおり予め実施日を定めておくほうが地域の方々にとっては望ましい。
 
○平成16年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)について
【環境調査計画(案)についての概要】
◆調査項目: 平成8年から継続的に実施している水質、底質、水生生物、測量等の調査を精査し実施
◆調査時期: 定期(排砂・通砂の前・後の平常時)および排砂・通砂中に調査を実施
詳しくは資料−3をご覧下さい
 
[主な意見]
○平成16年度連携排砂計画(案)について
(委 員)
水生生物調査に関連して、黒部川全川における瀬や淵の分布状況を把握整理すべきである。
アユの生息実態を調べるために投網による捕獲調査を計画しているが、投網による捕獲効率はそれほど高くないと思われるので、潜水観察調査を合わせておこなう必要がある。
(事務局)
瀬・淵の分布状況については過去に宇奈月ダム下流で調査をしている。黒部川の瀬・淵は洪水により変動していると予想されるため、河道の変遷状況と合わせて整理をおこない、必要があれば再調査を検討したい。
黒部川での潜水観察については瀬では水深が浅く、また深みの部分でも流水の流れが早いことから実施は難しい状況である。今年度行った瀬・淵調査の際に潜水による河床観察を試みたが、流水の流れが速くまた濁りもあったことから、観察ができなかった。アユの生息に関する調査については、専門家や内水面漁協のご意見も伺いながら実施することとしている。
(委 員)
海藻の群落である藻場の状況を今後モニタリングすることにより、排砂の影響を評価していくことを考えてはどうか。藻場は沿岸漁業の基盤となる環境資源であることから、藻場の評価は漁場環境の健全性を示す一つの指標になるのではないか。
(委 員)
藻場は沿岸漁業にとって大変重要な環境資源であることから、これまでも富山県水産試験場で調査を行ってきている。藻場環境については富山湾全体や時間的変化を広くみていかないと、その評価は難しいものと思われる。
(委 員)
富山湾全体の藻場環境の調査については、富山県の漁民のために必要な調査であり、富山県が実施すべき項目ではないのか。
(事務局)
国土交通省が海岸事業の中で進めている大きな柱の1つに自然共生型海岸づくりがあり、その一環として黒部川周辺の海岸においても生物調査をおこなっている。富山県が実施している富山湾全体の調査と自然共生型海岸づくりで実施している黒部川周辺の海岸での調査をどのように連携して実施するかについては、専門家の意見を聞いて進めていきたいと考えている。藻場についても、その中で検討していきたい。
(委 員)
排砂時に黒部川から海域に流れでた土砂が、海流によってどのように拡散し海底にどう堆積していくのかを調査するために、従来の採泥による底質調査に加えセジメントトラップ調査や海底にマーカーを設置した観察調査などを排砂前後に調査し比較を行ってみてはどうか。
(委 員)
セジメントトラップ調査やマーカーによる調査方法などについては、委員より指導をいただきながら今後検討していくこととしたい。
(委 員)
土砂が流れることの効果と影響を評価するうえで、環境に与える影響というのは必ずプラスとマイナスと両方があり、マイナスの影響をできるだけ小さくする方策を考えることはもちろんであるが、土砂が流れることによるプラスの効果も評価していく必要があるのではないかと思う。
(委 員)
本委員会はこれまで排砂に伴う影響に関する環境調査を行ってきたが、今後はプラス効果に関する調査も非常に重要なことから、排砂実施機関としてもこの効果に関する項目の調査を考えて行く必要がある。
排砂実施機関から各専門の委員の方々に今後指導を受けることが出てくると思われるが、本委員会としては平成16年度連携排砂計画(案)及び平成16年度連携排砂に伴う環境調査計画(案)を了承する。

− 以 上 −



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