平成16年度 記者発表資料
 
  手取川上流別当谷で発生した土石流について(第三報)
 
平成16年5月28日

1.概要

 本日、学識経験者からなる現地調査団が、別当谷での土石流発生現場を調査し、これまでに収集された資料とあわせて検討を実施し、土石流の発生原因・発生条件、土石流の状況と砂防堰堤群の効果、及び今後の対策の考え方についてとりまとめた。

2.発生原因・発生条件

 今回の土石流は降雨ピークから約8時間以内に発生しており、連続雨量も216mmに達していた。また、別当谷では平成11年に、1時間に40mm以上の降雨が2時間以上継続して連続雨量が140mm以上に達した最中に泥流が発生したと推定されている。これらのことから、今回の別当谷の土石流発生の主な原因は大雨と推定される。また、積雪があったことから、融雪も関与した可能性がある。

3.土石流の状況と砂防堰堤群の効果

 崩壊地の斜面長は約170m、幅約90m、最大鉛直深さは約30m、崩壊土砂の総量は約17万6千m3と推定される。このうち下流に土石流として流出したのは約9万7千m3、別当出合までの砂防堰堤群によって捕捉された土砂量は約3万4千m3、別当出合付近に堆積している土砂量は約5万1千m3と推定される。砂防堰堤群があったことで、土石流先頭部の到達範囲も細谷第10号付近までに留められ、下流域の被害軽減に大きな効果があった。また、砂防堰堤群によって相当の土砂量が捕捉され、渓流の侵食も抑制されたことで、土石流の総量が砂防堰堤群がなかった場合に比べて半分以下に抑えられたと考えられる。
なお、土砂量については速報値であり、今後の調査によって変更することがある。

4.今後の対策

 別当谷は狭隘かつ急勾配な渓流であることから、復旧対策工の実施には多くの困難が伴うが、別当出合付近及び下流域の保全のために、一部損傷している砂防堰堤の機能回復を順次実施すべきである。

5.現地調査団メンバー

川村 國夫 金沢工業大学土木工学科 教授(リーダー)
小山内 信智 国土技術政策総合研究所危機管理技術研究センター砂防研究室 室長
内田 太郎 国土技術政策総合研究所危機管理技術研究センター砂防研究室 研究官
丸山 清輝 独立行政法人土木研究所新潟試験所 主任研究員
添付資料 《参考資料》手取川上流別当谷で発生した土石流について
  状況写真
  状況図
  降雨量グラフ


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