梯川のあらまし

河川状況

 梯(かけはし)川は、白山山系大日山連峰の鈴ヶ岳(標高1,175m)に源を発し、大杉谷と通称される山間部を北流して能美・江沼丘陵に入り、金野町で東より郷谷(ごうだに)川、軽海町で同じく東より滓上(かすかみ)川、仏大寺(ぶったいじ)川を合流しながら流れを西に転じて平野部に入ります。

 下って、千代町で北から鍋谷(なべたに)川、平面(ひらおもて)町で八丁(はっちょう)川が合流、河口に近い浮柳(うきやなぎ)町で木場潟から流れ出る前川が南より合流して、「勧進帳」で名高い安宅の関近くで日本海に注ぎます。

 幹線流路延長は42km、流域面積は271.2km²の一級河川で、流域の大半は小松市ですが、鍋谷川、八丁川の流域の一部には能美市と白山市も含まれ、流域面積の76%の205.2km²が山地で占められており、平地面積は62.0km²、水路面積は4.0km²です。

流域の位置

流域の位置

流域市町

流域市町

流域面積
項目 面積(km²) 割合(%)
流域面積
271.2km²
山地面積 205.2 75.7
平地面積 62.0 22.8
水路面積 4.0 1.8
幹線流路延長
項目 延長(km) 割合(%)
幹線流路
延長
42km
山地延長 30 71.4
平地延長 12 28.6

 

地形・地質

 上流部は白山山系の大日山に続く壮年期の山地地形を作り、河谷は急峻なV字谷を形成していますが、能美丘陵の大杉谷下流部などでは河岸段丘もみられ水田としても利用されています。

 平野部では低湿な沖積平野が広がり、梯川は典型的な緩流河川となっています。

 その沖積平野の南西部には海跡湖である木場潟、柴山潟、今江潟の加賀三湖(柴山潟の半分と今江潟は干拓事業で水田となった)があり、北は手取川扇状地と接します。

 また、海岸沿いには高さが10~20mの海岸砂丘が発達しています。

 地質は、平野部では砂やシルトを主体として礫を含んだ未固結堆積物からなる沖積層が広がり、中上流地域の能美丘陵では、砂礫を主体とする後期洪積層からなる段丘堆積物及び新第三紀層の火山性岩石である緑色凝灰石と流紋岩類が広く分布し、上流地域では火山性岩石が多く、安山岩も見られます。

 また中流から上流にかけての流紋岩はその一部が変質して陶石鉱床を作り、各所で採掘されてきました。

気象

 梯川流域は、日本海に面して広がる平野と白山山系に続く山地とに大別され、このことが四季を通じて気候に影響を与えており、日本海側特有の冬季に降水の多い気候となっていますが、7月の梅雨末期、9月の秋雨と台風時期も降水が多くなっています。

 平野部での年平均気温は14~16℃の範囲となっており、年平均降水量は約2,100~約2,600mmと年によって変動しており、年間の傾向としては、12月~2月の降雪によるものが最も多いです。

 山間部では、平野部に比べ気温は2~5℃低く、降水量は2,500~3,000mm、地域によっては5,000mmにも達し、全国でも有数の多雨地帯です。

水利用

 梯川の水は、古くから農業用水として利用されており、発電用水、工業用水および水道用水としての利用は行われていません。

 また、手取川水系の大日川ダム(県)から滓上川への導水が行われており、麦口町の大日川第二発電所での発電や下流域のかんがいに利用されています。

水利用状況
区間名 発電 上水道 鉱工業用水 かんがい用水 その他
件数 最大取水量 使用水量 件数 最大取水量 給水人口 件数 最大取水量 許可 慣行 件数 最大取水量
常時 最大 件数 最大取水量 かんがい 届出件数 最大取水 かんがい面
件数 取水量 件数 面積
指定区間外 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 4.086 2,234 2 2 0.179 2 28 0 0
指定区間 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 0 0 0 0 0 1 0.04
0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 4.086 0 2 2 0.179 2 28 1 0.04