金沢河川国道事務所

 第3回活動--令和5年7月31日(月)

 令和5年度第3回活動は、牛首川流域にて白山砂防施設研修を実施し、旧白峰砂防出張所建物内や地すべり対策施設の施工現場等を見学しました。
 天候にも恵まれ、活動日和となった今回の活動では、普段は一般の方の立ち入りが禁止されているエリアの見学が多く、第11号排水トンネルの施工状況や別当谷上流崩落箇所での無人化施工状況などについて各現場の監理技術者から直接お話を伺いました。
 また、現在施工中の現場までモノレールに乗車して移動するなど、貴重な経験と濃い学びが得られた活動となりました。

★参加人数★
  8名

★白山砂防施設メモ★

《旧白峰砂防出張所》
 旧白峰砂防出張所は、昭和29年完成の市ノ瀬砂防堰堤施工の際に当時の最前線となった出張所である。
 現在は、牛首川上流域への通信や車両の中継地としての役割を担っている。

《甚之助雨量観測所》
 甚之助雨量観測所は、昭和41年に設置された雨量観測所である。各種観測拠点が集約されている。

《第2号集水井》
 甚之助谷地区は大きく分けて5つの地すべりブロックがある。そのうちの一つである左岸ブロックに設置された第2号集水井は、平成12年完成の鉛直方向45.0mの立坑である。上流からの地下水を集め、下流に排水する役割を担っている。

《第11号排水トンネル》
 甚之助谷地区の5つの地すべりブロックのうち、右岸上流ブロックの移動が明瞭に観測されたため、令和3年度より第11号排水トンネルの施工が進められている。
 トンネル入口から約45mの地点にボーリング室を設置し、ボーリング室から集水ボーリングを扇状に配置することにより、地すべりの原因となる地下水の排除を図るものである。

《別当谷上流崩落》
 別当谷上流域は土砂生産が激しく、平成16年5月には大規模な土石流によって、別当出合の登山用吊橋の流出等の被害が発生した。
 度重なる土砂流出により、別当谷の既設砂防堰堤の損傷や老朽化が進行しているため、補修・補強等を行って機能保全を図っている。
 現場は斜面からの落石が多く、施工の際は大きな危険が伴うことなどから、遠隔で工事車両を操作する無人化施工を推進している。

  • 第3回活動状況
  ★旧白峰砂防出張所★
 
旧白峰砂防出張所を見学する特派員   旧白峰砂防出張所銘板
 
執務室を見学する特派員   通信室を見学する特派員
    
  ★甚之助雨量観測所★
 
甚之助雨量観測所を見学する特派員   流域対策課専門官から各種観測拠点
が集約されていることを学ぶ特派員
    
  ★第2号集水井★
 
第2号集水井の解説を受ける特派員   周辺の集水状況を観察する特派員
    
  ★第11号排水トンネル★
 
施工現場までモノレールで出発!   モノレール乗車中
 
もうすぐ到着!   第11号排水トンネル施工状況
    
  ★別当谷上流崩落★
 
工事概要の解説を受ける特派員   現場の監理技術者から
解説を受ける特派員
 
無人化施工車両について学ぶ特派員   無人化施工の難しさを学ぶ特派員
 
活動報告  女性特派員の代表的な感想

【R.K】
 市ノ瀬ビジターセンターでは、以前そこで寝泊りで仕事をされていた事務所を見学。
 第11号排水トンネルを作っているところ、その先には20本以上の管を通し、地下水を集水していると言う。それでも甚之助谷の崩壊が進み、何もしなかったらどうなっている事やら。とにかく大変な工事だと言う事がわかりました。
 別当谷の34号・33号堰堤の補修や補強工事の無人化も、測量し、データ作成し、無人化と言っても機械を操作する人の技量もともなっての事。その機器が高く稼働時間も伴わない事など、コスト面でも大変と言う事がおぼろげながらも解りました。
 年に10cmの移動が0に近くなる様願うだけである。
 お世話下さり、ありがとうございます。

【C.S】
 今回の活動は、現場見学ができて楽しかったです。 旧の監督官詰所や雨量観測所など絶対に入れないところまで見学させてもらいました。
 現場では、モノレールに乗ったり、無人化施工の機械を近くで見させてもらったりと濃い内容だったと思います。
 工事をされている方々の大変さも知ることができて、ただただ感謝だな〜と思いました。

【T.S】
 白山源流部にある砂防施設を見学しました。別当出合から中飯場へ、手取川上流部の監視施設を見学したあと、甚之助谷を少し遡ったところにある工事現場に到着。ここでは、甚之助谷地すべりの要因の一つである地下水を排出するために、トンネルや集水井を張り巡らす工事が行われています。そこへなんと「モノレール」で連れて行ってもらえるとのこと!嬉しいサプライズ!見える景色に酔う♪甚之助谷の対岸の崖には、第5号、新第5号、第3号排水トンネルの坑口が見えていて、第3号からは水が(谷に)落ちていました。今、工事中の(第11号)排水トンネルも同じ働きをするんだ…。工事は、昭和37年から始まったとのこと。これらの施設がなければ、今、避難小屋から見ている景色も変わっていたのだろう。谷の崩壊ももっと進んでいたに違いない、と思うと感動もひとしお。
 別当谷では、人が立ち入ることが危険な場所で作業を行う「無人ICT建機」をまぢかで見せてもらい、迫力に圧倒されました。そして、このような重機を使わなければいけないほど、白山砂防の現場は危険な箇所が多いことがわかりました。これからも安全に作業が行われることを祈ります。

【S.N】
 山が崩れることと山が動くと言うことは違うだろうし、砂防新道の尾根は動いていると言われても中々理解できず、本当のこと?と半信半疑でいたが今回の活動で少し理解が進んだように感じました。
 融雪、梅雨、台風の時期には雨量計、水位計、地震計、伸縮計、地下水位計その他諸々の監視通報体制により土砂災害、洪水被害が軽減されるのだろうと思いました。
 標高1600mを超える急峻な崖地での無人ICT施工の困難さも想像できて、工事に携わる方々の日々の安全を願いました。
 設備の機能の低下と保全、避けては通れないことだろうし、治山治水は終わりのない事業だと思いました。

【Y.B】
 久しぶりの現場研修で牛首川流域方面に向かった。天気は良好、気分が上がった。最初に市ノ瀬の旧出張所の内部を見学させてもらった。以前実際に活躍していた建物で、当時の面影があった。3階部分は、当時の宿直していた部屋がそのままで、想像よりきれいな状態だった。普段入れないところを見学することができ、砂防出張所の意義を再認識できた。
 別当出合では、今から白山に登る人、また反対に降りてきた人が賑やかに談笑していた。私たちもそこに混じって、昼食を済ませ、しばしの自由時間で、散策をした。登山口の鳥居をくぐり、吊り橋へ。吊り橋の手前に、2004年に発生した土石流によって、旧吊り橋が流されたという、案内板がある。当時の惨状を知ることができる。かなり大きいので、登山される方も目にして、大いに知って欲しい事項だと思う。新しい吊り橋は本当に美しくて、白山登山の最初と最後に通る儀式のような存在だと感じた。 その後、バスでさらに上に行き、甚之助雨量観測所を見せてもらった。昭和41年に設置されてから、気象庁の地震観測をはじめ、いろいろな観測をしていて、日々データを収集して地すべり対策に貢献している重要な観測所だということがわかった。
 第11号排水トンネルへは、工事用モノレールに乗車して現場を目の前で見せてもらえた。かなりの勾配をゴトゴトと運んでくれた。掘削と地すべりの主要な要因である融雪等の地下水を排出して、災害を未然に防ぐ工事を実際に施工している方から説明を聞き、限られた工事期間で懸命に作業をされている苦労に感謝しきり。
 最後に別当谷土石流崩落現場。ICTへの取組みとして、無人化施工区間の説明を現場の方から直接伺った。リモコン操作での作業の難しさ、経済的な問題、天候で左右される作業などの話を聞き、山の奥の谷を守る仕事がいかに大変かを改めて知った。
 今回は天候にも恵まれ、また昨年とは違う場所を見せていただけて、大変有意義でした。知らないことばかりで、感心ばかりの現場研修となった。

【M.M】
 今回の砂防施設研修はお天気にも恵まれ、3か所の現場見学と説明をしていただきました。昨年、見学をさせていただいた現場は完成した姿を見ることができましたし、毎年変わる砂防の姿というのも実感できました。
 排水トンネルが完成しても長い年月の間に目詰まりを起こし、その対策のための工事もまた行われています。そして排水トンネルは昔ながらの在来工法で、トンネル内のプレートも人の手で1枚ずつ張っている現場を見て、こんな大きな山に地道な作業を日々行なっていることに感動しました。
 別当出合では2004年5月に土石流によって流された吊橋の説明プレートがありました。7月の白山山開きまでのわずか2ヶ月で、設計から完成までというのはびっくりです。
 登山に来た時と、全然違う視点で白山を眺め山を守ってくださる方々に改めて感謝の気持ちを持ちました。白山を守ることが麓の土砂災害被害を最小限にするのだと感じられた研修でした。登山の時、仲間にそういったことも伝えられるといいなと思いました。
 今回は盛りだくさんの見学や、合間のビデオ視聴をさせていただき、感想文に書ききれませんが、資料を読み返して現場を思い出したいです。

【N.Y】
 今回の活動は、白峰管内の現場見学会ということで@「R3・4・5甚之助谷地下水排除工事」A「R4赤岩砂防堰堤改築他工事」の2つの現場を見学させていただきました。
@ 「R3・4・5甚之助谷地下水排除工事」について
 この工事の施工場所は、標高も高く、実際の工事期間も限定される(降雪・通行止め等により冬期間の休止期間が長い)上、通勤にも時間がかかるので、工期が3年あっても実際の施工期間は短く、43mのトンネル工の施工は大変だろうなと感じました。掘削に発破の準備もされていたとのことでしたが、実際の岩質で柔らかい部分があり、発破では逆に崩れてしまう危険があるということで機械掘削に変更したりと、現状に合わせて工法を変えるなどご苦労も多かったと思います。このトンネル工が地下水の排水に役立ち少しでも地すべり移動ブロックの抑制につながればと思いました。今年が施工最終年ということで、無事に完成されることをお祈りしています。
A 「R4赤岩砂防堰堤改築他工事」について
 この工事では、砂防堰堤改築工事の他に施工する工事用道路工及び工事用道路盛土工の現場を見学させていただきました。平成16年に土石流が発生した流域でもあるため、有人施工区間と無人施工区間に分けて施工が進められていました。一番困ることとして、14時頃になると雨が降ることがあり、雨が降ると土工事は難しくなるので作業時間の予定が立たなくなるということ、また、標高も高いため、霧が出やすくその時は、目視ができなくなるため施工もできなくなるので、視界がきく間に機械を移動したり片付を行わなければいけないことをあげていました。このように、自然条件が工事の施工に大きな影響を及ぼしていることがわかりました。無人ICT施工は、離れた場所から、カメラによる画像で確認しながらの施工となるため、体感がなく、感覚がつかみにくいので、多少機体が傾いていてもそのまま進んでいってしまうそうで、有人機械施工の経験が豊富な作業員でないと施工は難しいというお話しでした。
 短い時間でしたが、お忙しい中、つたない質問にも丁寧に答えていただき、それぞれ貴重なお話しを聞くことができました。関係者の方々にお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

【A.Y】
 甚之助谷・別当谷の現場見学を行いました。
 甚之助谷地区地すべり対策として排水トンネルの役割や必要性についてわかりやすく説明していただきました。また、トロッコに乗車して実際に工事を行っている現場の見学が行われ、すてきなサプライズに感謝でした。
 赤岩砂防の無人化工事は無人ICT建機の操作時の難しさなど具体的な話しを交えての説明でとても興味を持ちました。無人ICT建機が実際動いている現場を見てみたいと思いました。また、地すべり対策で使われる石等は現地のものを使用していると聞き、環境対策も行っていることを知りました。