金沢河川国道事務所

第3回活動--令和3年11月5日(金)

 第3回活動は、尾添川流域で行われている砂防事業の工事現場や災害現場の見学です。
 当日は晴天に恵まれ、一日かけて瀬戸砂防堰堤、中ノ川流域、ホワイトロードにある姥ヶ滝(親谷の湯)、猿花(さるばな)上流砂防堰堤を見学しました。
 現場では、金沢河川国道事務所流域対策課長、流域対策係長、尾口砂防出張所長、猿花砂防堰堤工事現場代理人による解説は、特派員の皆さんの興味を引きました。

★参加人数★
 6名

★白山砂防施設メモ★

《瀬戸砂防堰堤》
 昭和17年5月から着工し、昭和27年3月に竣工、平成20年9月から透過型(コンクリートスリット)に改築し平成26年に完成した尾添川下流の透過型砂防堰堤です。
 
《猿花上流砂防堰堤》
 昭和56年11月に完成した不透過型砂防堰堤です。
 現在は堰堤上流側に、異形コンクリートブロック積による土砂堆積工を施工しています。

★中ノ川流域現場メモ★

 中ノ川崩壊斜面
 令和3年度4月15日、砂防工事用資材運搬道路として使用している県道の除雪の事前調査時に確認されました。
 斜面の崩壊は、県道に埋設してある岩間温泉の引湯管を巻き込んでおり、多大な被害が発生しています。
 空撮や踏査の結果、幅約190m・高さ約300mの崩壊であることが判明しました。
 現在は白山砂防ライブカメラを使用し、状況を監視し続けています。

  • ★瀬戸砂防堰堤堰堤★
 
 
瀬戸砂防堰堤を見学。
ここでは、瀬戸砂防堰堤を始めとした
尾添川流域砂防堰堤の解説を行いました。
 
当日の川の流れは穏やかでしたが、
台風によって増水した瀬戸砂防堰堤の写真を見た特派員たちは、
衝撃的な光景に驚いていました。

  • ★中ノ川斜面崩壊現場★
中ノ川斜面崩壊現場を見学。
特派員たちは災害の恐ろしさを実感していました。  
 
斜面崩壊の影響により、砂防工事用道路として使用していた
県道とともに埋設されていた岩間温泉の引湯管や光ケーブルを寸断。
崩壊現場直下にあった中ノ川下流第2号砂防堰堤が埋まりました。

  • ★蛇谷上流の状況 姥ヶ滝など★
蛇谷公園駐車場に到着。
ここから、姥ヶ滝を目指します。
 
片道20分の険しい道を絶景に囲まれながら進み、姥ヶ滝に到着。

  • ★猿花上流砂防堰堤 土砂堆積工(異形コンクリートブロック積)工事現場★
異形コンクリートブロックを用いた
土砂堆積工について解説が行われました。
 
尾口砂防出張所長と現場代理人による解説を
皆さん真剣な表情でメモをとり、質問もされていました。
活動報告【特派員@】
 晴天に恵まれ、まさに紅葉時。久しぶりの現地見学がうれしい。
 瀬戸砂防堰堤は形にびっくり。角がなく丸くなっている。造るのは、大変だっただろうが、見た目にやさしい。2017年から3回も改築のこと。
 次の中ノ川斜面崩落現場へ行くまでが、ハラハラドキドキ。岩間一里野線の道は空中回路の様。運転手さんの腕と度胸。
 この道は元に戻せるかしらと思うほど、巾は190m、長さは300mも、それも急斜面、これが復活しないと噴水塔にもいけないし一里野温泉のお湯も枯れたままなのだ。二次的な事故がおきないで工事を終えてほしいと願うばかり。
 最後の猿花上流砂防堰堤もびっくり。石や土砂でえぐられ、削りとられ、なんという形になってしまって。セメントで作らずブロックを重ねて行うやり方だ時間・コストもかからずに行えるとの頃こと。
 自然との戦いにどう折り合いをつけて、私達の安全を守ってくれている事か。ありがとございます。

【特派員A】
 待ちに待った現地見学会、とても楽しみにしていました。

 初めに訪れた【瀬戸砂防堰堤】では、大きな石は止め、小さな砂は流すという「(部分)透過型砂防堰堤」のお手本を見せていただき、説明を受け、尾添川流域の砂防方針を理解しました。スリットが入った独特なフォルム、角を切った滑らかな曲線は、耐衝撃性が高そう、と同時に見た目も美しい。既設の石組みが活かされたことにも設計者のこだわりが感じられ、台風9号のときには、堤体全体を越流してくる勢いにびくともしなかったことにも感動しました。

 次に訪れた【中ノ川斜面崩落現場】は、今年、いちばん気がかりな場所でした。法面の荒々しさ、切断されたケーブル管や引湯管も驚愕に値しましたが、直下の「中ノ川下流堰堤」の下流側が、崩落後ほぼ埋まっている(袖部分天端に迫る高さ)ことも衝撃的な光景でした。「鋼製砂防堰堤」が、それ以前にも土砂を堰き止め、本来の役割を果たしていたこと。そのおかげで最小限の被害であったことがわかりました。このあと降る雪の影響が心配ですね。地盤への浸水、融雪による雪崩等、私たちが立っていたあの県道の先端は、来春存在しているのかどうか…。

 最後に訪れた【猿花砂防堰堤】は、その崩落によって流れ出た土砂対策のために計画された「仮設」の堰堤だと説明を受けました。仮設とはいえ、半年もの時間をかけて造られる大掛かりなモノ。生の現場を見てきたあとだったので、その危機感は十分に共有できました。コンクリートブロックの型枠をあんなに間近で見たのも初めてでしたし、一個6トンを1,000個=6,000トンも積上げなければ(水の勢いに)負けてしまうのかと思うと侮れないですね。既設堰堤の一部が破壊されているようすが、生々しかったです。

 たったひとつの斜面崩壊が引き起こす、2次的、3次的な影響の可能性、それを予測し、対応されてる現状を目の当たりにできてよかったです。

 全体を通して思うことは、水を利用することと制御すること、砂防事業がこのバランスを考えながら行われていることがよくわかりました。私たちの暮らしはその上に成り立っています。関係者の皆さんには感謝しかありません。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

【特派員B】
 天気にも恵まれ、2年ぶりの現地見学に参加しました。
 関係者でなければ目にすることのない現場を実際見て想像以上の砂防堰堤の大きさに圧倒されました。
 また、現場での説明もわかりやすく、砂防堰堤の役割や必要性を理解することができました。特に印象に残ったのは、中ノ川斜面崩壊地の様子やその堆積土の流下への影響等の説明、堆積土砂応用としてコンクリートブロック積み上げの砂防堰堤の現場でした。これ以上の崩壊・被害のでない様にと思いました。
 山々の木々の紅葉が見頃で、とても楽しい1日でした。
 ありがとございました。

【特派員C】
 2年ぶりの現場見学ということでとても楽しみにしてこの日を迎えました。
 コロナウイルスの感染者は減っているものの、まだまだ油断を許さない状況の中、第3回の活動を実施していただき、心から感謝しております。
 盛りだくさんすぎて少し省略されてしまった行程もありましたが、日頃なかなか行くことが出来ない場所へ連れて行っていただき、中身の濃い活動となりました。
 中ノ川の霞滝の現場へは特派員の活動で行ったことがありましたが、その手前で土砂崩れが起きたと聞き、びっくりしました。その土砂崩れの状況を間近で見させていただき、自然の驚異を感じました。今後の復旧作業もどのようになるのか・・・作業を安全により良く進めるにはお金も時間も係ると思われます。温泉管や光ケーブルが寸断されており、早めの復旧が望まれるところでしょうが、工法やルートなどの検討も慎重に行われなければならないと思います。私なりに今後も興味を持ちながら見守っていきたいと思います。
 ホワイトロードからの帰りにバスの窓から蛇谷の堰堤が見えました。瀬戸砂防堰堤や猿花上流砂防堰堤をイメージしていると、蛇谷の堰堤は本当にこれが堰堤ですかというぐらい自然で周囲とマッチしていて、この堰堤はどんな役割を担っているのかなという疑問も生まれてくるくらいです。今度機会があれば、行かれたことが無い特派員の方にもぜひ見て欲しい堰堤です。
 今回は透過型の堰堤をいくつか見学し、河川の状況に応じた堰堤が施工されるのだなと改めて感じました。
 ホワイトロードは仕事以外で通ったことが無かったので、行き帰りが大変でしたが、珍しい形状の姥が滝を見学できたことも貴重な思い出の一つとなりました。
 お天気にも恵まれ、皆さんと楽しい、充実した時間を過ごすことができ、本当にありがとうございました。
 次回の活動を楽しみに、今後ともよろしくお願いいたします。