金沢河川国道事務所

第5回活動--平成25年9月10日(火)

 第5回活動は、岐阜県の神通川水系砂防事務所管内の砂防施設を見学しました。
 神通川水系砂防事務所は、大正8年(1919)から神通川流域で、古くから直轄砂防事業を実施し、今日に至るまで地域の安全確保に大きな役割を果たしてきました。
 今回見学した施設では、景観に配慮した美しい堰堤が印象的で、奥飛騨の美しい自然に溶け込みながらも、土砂災害から地域を守っていることに感動しました。

★参加人数★
 16名

★見学箇所メモ★
1.地獄平砂防堰堤
 地獄平砂防堰堤は、大暗渠砂防堰堤として建設されました。
 大暗渠砂防堰堤は、堰堤本体に1個〜複数個の暗渠を有する堰堤で、比較的川幅が広く、川の勾配が緩い本川筋で効果が期待されます。
 平時には水や土砂を暗渠を通して下流に流すことで大規模な土砂流出に備えて上流での堆砂容量を確保しておくことができ、さらに暗渠があるために河道の連続性を阻害することが無く、魚・水生昆虫の往来を妨げることもありません。

2.新穂高渓流保全工(左俣谷)
 新穂高ロープウェイには年間45万人の観光客が訪れ、新穂高地区の観光拠点となっています。
 平成19年6月には左俣谷支渓からの土砂流出により、河道が半分閉塞され、緊急的に土砂の撤去を行い、下流域への被害を防ぎました。
 地元の意見を伺いながら、地域の山岳景観や山岳渓流のイメージを持たせることで観光拠点を維持し、土砂災害からの安全を確保する渓流保全工の整備を計画しています。

3.奥飛騨さぼう塾
 「奥飛騨さぼう塾」は、土砂災害と砂防の歴史を観光客の皆さんに紹介する資料館として誕生しました。また、情報誌の発行や子どもたちの総合的な学習の時間での利用、地域情報の発信基地としての役割を果たしています。

4.しのぶ砂防堰堤
 しのぶ砂防えん堤は、平湯川の洪水や土砂災害を防止する目的で造られた平湯川最下流に位置する砂防堰堤です。堰堤の中には監査廊があり、堰堤内部に入ることができるのが大きな特徴です。
 しのぶ砂防堰堤の名前の由来は、奥飛騨における砂防事業に多大な功績を残した元村長(最後の村長の一代前)の今井嗣延(しのぶ)氏をたたえる意味を込めて名付けられました。

5.日影第1号砂防堰堤
 平成18年1月20日、文化庁文化審議会において、神通川水系砂防事務所が昭和初期に施工した管内にある砂防堰堤5施設が「登録有形文化財」に答申され、登録されました。日影第1号砂防堰堤は、その1つです。
  

  • 地獄平砂防堰堤
 

  • 新穂高渓流保全工(左俣谷)
 

  • 奥飛騨さぼう塾
 

  • しのぶ砂防堰堤
 

  • 日影第1号砂防堰堤
 

  • 平湯大滝
 
活動報告

山岸】【松本】【國田】【西村】【伊藤(真)】【小林】【餅井】【道脇】【坂本】【米山】【】【田渕】【畠田

山岸
 今回の活動は盛りだくさんでしたが、時間の関係で「白谷」を見学できなかったのは残念でした。 神通川水系砂防事務所管内へは白山砂防女性特派員活動として何回かお邪魔させていただいていますが、今回初めて訪れたのは「左俣谷」と「日影1号砂防堰堤」でした。 なつかしい浅井さんのご案内で有意義な時間を過ごすことができました。
 左俣谷では、普通、河川は下流に向って右側が右岸、左側が左岸と呼ばれていますが、 二股に分かれた左俣谷・右俣谷は上流に向かって左側を「左俣谷」右側を「右俣谷」と 呼ばれていることを知りました。 実際の施工状況を見ることはできませんでしたが、締切状況や機械(重機)が運行する為の 道路を確認することができました。 工事ではただ構築物をつくるだけではなく、現場へ行く為の道路や締切などそれに付随した施工が 多々あるのだと改めて思いました。
 日影1号砂防堰堤をはじめ岩坪谷堰堤各号など昭和の初めに施工された数々の登録有形文化財が あることを知りました。日影1号砂防堰堤ではかなり流量がありましたが、昭和の初めに堰堤の下部にどのように暗渠をつくったのか、 その当時の苦労が偲ばれました。
 いろんなタイプの堰堤を見学させていただきましたが、全体的にスリットや暗渠が多いような気がしました。 石川県にあてはめると尾添川流域に見られる堰堤と似ているのかなと素人ながら思った次第です。
 多くの方々のおかげで無事第5回の活動を無事終えることができました。 どうもありがとうございました。

松本
 神通川流域は崩壊しやすい地質なので土砂災害が多く、1日ではとても足りない砂防現場見学でした。
 防災だけの機能の現場だけかなとの重いとは全然かけはなれた自然との調和を考えつつ、かつ観光にも魅力的な堰堤が次から次へと続きました。特に地獄平の5つの大暗渠の美しいたたずまいとしのぶ堰堤の日本庭園と間違えそうな遊歩道と地下トンネルからの流水の景色にはとても新鮮で感動しました。
 日本の建築技術は本当に世界に誇れるものです。
 多角的な面からの砂防堰堤が造られることを期待します。

國田
 神通川水系砂防事務所の事業概要を見ながら、今回の活動行程を振り返っています。案内される参加はなかなか位置関係がつかめないので事務所管内図がとてもわかりやすいと思います。
 スーパー暗渠と言われる地獄平砂防堰堤は、自然を損なわない好感の持てるものでした。観光の足を止めること間違いないと思います。しのぶ砂防堰堤にも驚かされました。堰堤の外観だけでなく、設備そのものが憩いの施設になっていたと思います。ライトアップも見てみたいです。両方とも奥飛騨の環境を損なわない配慮がされて地域の活性化につなげているのは凄いことです。また、登録有形文化財に5施設が指定されたものの他数多い堰堤や、現在も行われている山腹工事、護岸工事、渓流保全工事等で安全安心がもたらされ、奥飛騨の温泉郷が観光地として、美しい大自然として観光客を集めている現在があることを実感しました。
 北アルプスの高山の麓は蒲田川、平湯川、高原川の土砂災害から住民の命と財産、生活を守る砂防事業の取り組みが行われて、守られていることを確認した思いでした。
    
西村
 今回は岐阜県の神通川水系砂防工事現場を案内して戴きました。
 個人的に蒲田川沿いの新穂高温泉郷露天風呂に通い詰めた事が有りました。 その時に発見したのが地獄平砂防堰堤です。この恐ろしい名前とは裏腹に五門の暗渠を有する美しい大暗渠砂防堰堤に魅せられブログに掲載しました。景観に配慮した曲線形状、その場所から見える槍ヶ岳、もう何とも言えません。今は、豊かな温泉街になり、地獄が地獄でなくなった土地ですが、豊かになった事への感謝を忘れず、長い間砂防事業に携わった先人の苦労を称え、この“地獄平砂防堰堤”と名付けたと言う事で 平成16年度に5年間の工期を経て完成しています。
 又、新穂高ロープウェイ乗り場付近の左俣谷の渓流保全工の現場を見学しました。 左俣谷・右俣谷の両方の渓流は急峻な高山性崩壊地形と言う事で土砂流出が多く発生する危険な 地域なのです。そこの地域の山岳景観(槍ヶ岳・笠が岳・西穂高等の登山口)や親水性等に配慮しつつ土砂災害に対する安全確保を図り、上流域の流出土砂の抑制を図るべく土砂災害防止施設の整備は必要な事なのです。
 自然を残した美しい景観の蒲田川の露天風呂に又、ゆっくりと浸かりたいと思いました。
 今回、ご案内いただきました、浅井副所長はじめ、皆様にお礼申し上げます。

伊藤(真)
 神通川流域砂防施設を見学して
 5門の穴を開けた景観をデザインした地獄平堰堤、庭園風にしたしのぶ堰堤。散策しながら、堰堤の機能や状況を学習出来る所がいいですね。こだわりがあったのでしょうか?通常上に架かる橋が堰堤の下に通路を作ったのが凄かったです。
 岩坪谷流域の日影第1号上流堰堤など、白山砂防とまた違う様々な砂防堰堤を見ることが出来ました。山々に囲まれ活火山地域であるが故に災害時に備え、新しい工事、整備に対策され、防災に取り組んでいるのが感じられました。
 今まで、穂高、平湯、上高地とかはよく遊びに出かけ何気なく通っていた所でしたが砂防活動のおかげで、いろんな所の再発見が出来ました。有難うございました。  今度、家族で廃線後のレールマウンテンバイクに乗りに遊びに行こうと思っています。

小林
 まず地獄平ら砂防堰堤見学。なんと芸術的・・・・きれいすぎる。 長さが166.8mもあり、暗渠の5個の形がなんとも美しい。
 歴史をたどると大正9年6月に発生した土石流は蒲田集落を全滅させたとか。雨・雪多く多湿、急流と大変危険度の高いところ。そんな川にこんな素晴らしい堰堤が造られ、洪水時の土砂をおさえ、平時は土砂・魚・その他の生物の往来を妨げない。そして景観名所に。
 これからも地域住民の安全を守り、堰堤が破壊されることがない様、焼岳の静かさを願います。

餅井
 神通川水系砂防事務所から始まり、フル回転で8箇所見学させて頂きました。
 166.5mのスーパー大暗渠の地獄平砂防堰堤の見学は、5つからなるミニトンネルの様なスッキリとしたデザインで名称とは一致しがたい堰堤でした。周囲に雑草が覆っていたため、4つしか見えなかったです。
 左俣谷は山に向かって左側に、右俣谷は山に向かって右側とのことで、普通と違っているとの説明を受けました。
 しのぶ堰堤では、水流落差音の内部と外部の違いを知りました。内部を初めて間近で見聞きしたからでしょうか、とっても激しい水流音でした。
 落差64mの平湯大滝には、圧倒されて見とれてしまいました。マイナスイオンもいっぱい浴びて幸せなひとときを過ごすことができました。ありがとうございました。

道脇
 神通川水系砂防は乗鞍連邦・焼岳の噴火が何度もあり、その火山灰や溶岩が堆積して地盤がもろくなっているところに、6月〜7月の梅雨の集中豪雨と10月〜4月に山に降った雪の雪解けが一緒になり、富山湾に流れ出すのを防ぐためのものです。  地獄平砂防堰堤は始めてみた曲線形状で5個の穴が開いていて、その上を歩け新しい観光スポットになっている。
 左俣谷は新穂高ロープウェイや温泉の観光拠点なので、恵橋からの景観を考慮した堰堤。
 奥飛騨砂防塾の清水さんの説明は解りやすかったです。
 しのぶ堰堤は村長さんの名前で堰堤の後ろがイルミネーションの輝くトンネルになっていて、堰堤から流れ落ちる水の後ろにいるという初めての体験に興奮した!ここも村人の協力で観光スポットになっている。
 平湯大滝も大滝周辺で砂防事業を行いスムーズに水が流れるようにしているのです。
 奥飛騨は温泉郷なので、皆景観に配慮した堰堤だった。

坂本
 神通川砂防事務所で浅井氏より今日の視察地の説明を受けて、神通川源流の一つ蒲田川地獄平砂防堰堤を見学、ここは大暗渠砂防堰堤、堰堤に5個の暗渠が設けられていて、まわりの景観に合うモダンな感じの砂防堰堤でした。こんな堰堤は初めて見ました。
 次の新穂高ロープウェイ駅裏に流れる左俣谷、右俣谷の渓流地帯の保全工事見学、ここは北アルプス樅沢岳(2756m)より流れ落ちた澄んだ水が、急流を下り温泉郷の景観をなしている。観光と保全を考えた砂防工事現場でした。
 奥飛騨砂防塾、土砂災害と砂防のすべてを【見て、触れて、学べる】施設でした。望遠鏡から槍ヶ岳を登る人が見えると言われ覗いたが見えなかった。  午後は、しのぶ砂防堰堤、平湯川の砂防に貢献された村長さんを讃えた砂防堰堤の見学でした。堰堤の下がトンネルになっていて中に入るとイルミネーションがきらきら輝き足下が明るく歩きやすく、ダムの内側から見る流水の落ちる迫力に驚きでした。
 次に、日影1号砂防堰堤を見学、焼岳から岩坪谷へ流れる地形は、焼岳火山活動でできた脆くて崩れやすい地層に、この地域の人々が災害と戦った歴史を知りました。
 最後に神通川急流河川の砂防事業見学は、主に岐阜県奥飛騨地域内で300mの急峻な山と工法が激しい火山地質の砂防事業であり、下流の富山県民は、砂防工事の恩恵を受けていることを知りました。

米山
 15年程前に、この奥飛騨にきたのは、懐かしくもあり、変わったなあ、、、、、
しのぶ砂防堰堤   人の名前だと知り、それを名付けた人もすごいとおもいました。石の曲線がとても素晴らしいダム、その周りの風景も、沢山の石でできていました。 堰堤の管理用通路を歩くこともできるそうです。 それ以上にびっくりしたことが、ダムの内部に入れることでした。 迫力ある滝が流れ落ちる音、水量に恐怖をいだきましたが、もう1回みてしまいました。 それのそれ以上がありましたのが、青、白の豆電球が光っていることでした。
平湯の大滝    マイナスイオンをあびました。 冬は滝が凍り、なおかつライトアップされるそうです。 砂防が大切なのだと、この奥飛騨の自然と暮らしをまもっているからだとおもいます。


 今回の神通川水系砂防の事業現場は、お天気にも恵まれ、自然との調和がとても美しく感じられました。とくに地獄平砂防堰堤はアーチも美しくヨーロッパの水道橋のようだと思いました。
 国土交通省、林野庁、文化庁といろんな表示板も見られ、協力しながら自然の景観を大事に保っていることもわかりました。
 10数年前に旅行した事があったのですが、下水処理が悪くてバスターミナル付近は景観にくらべ悪臭があったように思いましたが、今回はずいぶん良くなったと思います。
 大滝も水量もあり、すばらしかったです。個人でぜひもう一度旅行に行きたくなりました。
 皆さん、これからも管理保全よろしくお願いします。ありがとうございました。

田渕
・上流高原側流域災害事業費、今年度20億 見当もつかない
・地獄平砂防堰堤、生き物の行き来を妨げない、景観の良い作りになっていました。 ・左俣谷は新穂高ロープウェイの下着工中、別所の予定図を見ると必ずおとすみたく。
・奥飛騨砂防塾により、今までの災害の被害を見聞きして、険しい山々が並ぶ下では土石流被害も最大 ・しのぶ砂防堰堤は宝くじ事業で、堰堤下をくぐって楽しかった。
・日影1号砂防堰堤、真ん中に水抜きの大きな穴があいてて形もいろいろ
・平湯大滝にてマイナスイオンを浴びて、天候にも恵まれ、1日良い日を過ごさせて頂いて、観光パンフも才っている事ですし、また行きたいです。

畠田
 今回の見学先砂防堰堤は個性的な?きれいな形・作り方の所が多い様な!!観光地仕様?なの?か?楽しそうな小学生達、夏休み自由研究にピッタリ!!
 残念なのは時間が足りなくて周辺も含めじっくり見れなかった事(白谷も行けなかった)。もっともこの見学活動が無かったらその事にも気づかなかったので個人的にもすごく良かったです。活火山をかかえていて観光地なだけに人口が多いところでの砂防事業は白山砂防とは又違う視点で河川管理をしているんだなと・・・。
@地獄平砂防堰堤・・・めがね橋のようなすてきな形。全国でも4箇所のめずらしい形。
A左俣谷・・・整備中だったが水遊びに使えそうな感じになる予定(ロープウェイで上から見てみたい)
Bしのぶ砂防堰堤・・・中に入れる形(3箇所でれる窓有り)
C日影1号・・・堰堤真ん中に窓がある。どこに行けるのか?
D平湯大滝・・・これも古いもの。冬は氷るのか?