第5回活動は、岐阜県の神通川水系砂防事務所管内の砂防施設を見学しました。
神通川水系砂防事務所は、大正8年(1919)から神通川流域で、古くから直轄砂防事業を実施し、今日に至るまで地域の安全確保に大きな役割を果たしてきました。
今回見学した施設では、景観に配慮した美しい堰堤が印象的で、奥飛騨の美しい自然に溶け込みながらも、土砂災害から地域を守っていることに感動しました。
★参加人数★
16名
★見学箇所メモ★
1.地獄平砂防堰堤
地獄平砂防堰堤は、大暗渠砂防堰堤として建設されました。
大暗渠砂防堰堤は、堰堤本体に1個〜複数個の暗渠を有する堰堤で、比較的川幅が広く、川の勾配が緩い本川筋で効果が期待されます。
平時には水や土砂を暗渠を通して下流に流すことで大規模な土砂流出に備えて上流での堆砂容量を確保しておくことができ、さらに暗渠があるために河道の連続性を阻害することが無く、魚・水生昆虫の往来を妨げることもありません。
2.新穂高渓流保全工(左俣谷)
新穂高ロープウェイには年間45万人の観光客が訪れ、新穂高地区の観光拠点となっています。
平成19年6月には左俣谷支渓からの土砂流出により、河道が半分閉塞され、緊急的に土砂の撤去を行い、下流域への被害を防ぎました。
地元の意見を伺いながら、地域の山岳景観や山岳渓流のイメージを持たせることで観光拠点を維持し、土砂災害からの安全を確保する渓流保全工の整備を計画しています。
3.奥飛騨さぼう塾
「奥飛騨さぼう塾」は、土砂災害と砂防の歴史を観光客の皆さんに紹介する資料館として誕生しました。また、情報誌の発行や子どもたちの総合的な学習の時間での利用、地域情報の発信基地としての役割を果たしています。
4.しのぶ砂防堰堤
しのぶ砂防えん堤は、平湯川の洪水や土砂災害を防止する目的で造られた平湯川最下流に位置する砂防堰堤です。堰堤の中には監査廊があり、堰堤内部に入ることができるのが大きな特徴です。
しのぶ砂防堰堤の名前の由来は、奥飛騨における砂防事業に多大な功績を残した元村長(最後の村長の一代前)の今井嗣延(しのぶ)氏をたたえる意味を込めて名付けられました。
5.日影第1号砂防堰堤
平成18年1月20日、文化庁文化審議会において、神通川水系砂防事務所が昭和初期に施工した管内にある砂防堰堤5施設が「登録有形文化財」に答申され、登録されました。日影第1号砂防堰堤は、その1つです。