金沢河川国道事務所

 第3回活動--令和7年7月24日(木)

 令和7年度第3回活動は、牛首川流域にて白山砂防現場研修を実施し、砂防堰堤の改築工事現場や地すべり対策施設の施工現場等を見学しました。
 天候にも恵まれ、活動日和となった今回は、普段は一般の方の立ち入りが禁止されているエリアの見学が多く、甚之助谷地区の地すべり対策における索道撤去工事や第1号大口径集排水工の施工状況などについて各現場の監理技術者から直接お話をお伺いし、貴重な経験と濃い学びが得られた活動となりました。

★参加人数★
  5名

★白山砂防施設メモ★


《猿壁砂防堰堤改築工事》
 猿壁砂防堰堤は昭和38年に完成し、60年余りが経過していることから、著しい老朽化や損傷を受けている。このため、土石流や大規模土砂流出に備え、洗掘などの機能低下を抑え、嵩上げによる機能向上を図る。
 土石流や大規模土砂流出などの災害に対する下流域の白峰集落や、迂回路のない生活・観光道路である県道白山公園線などへの安全度の向上を図る。


《第1号大口径集排水工》
 甚之助谷地すべりの問題を解決する大口径集排水工の特徴として、従来の重機や設備が不要となったことによるコストの削減や、排水効果の早期発現による安全率の上昇、動き続ける地すべりによる変形・せん断に強く、大口径による高い集水能力を有するという点がある。


《別当谷上流砂防堰堤》
 別当谷上流域は土砂生産が激しく、平成16年5月には大規模な土石流によって、別当出合の登山用吊橋の流出等の被害が発生した。
 度重なる土砂流出により、別当谷の既設砂防堰堤の損傷や老朽化が進行しているため、補修・補強等を行って機能保全を図っている。
 現場は斜面からの落石が多く、施工の際は大きな危険が伴うことなどから、遠隔で工事車両を操作する無人化施工を推進している。

《索道撤去工事》
 本工事は、万才谷排水トンネルの施工のために建設し、資機材等の運搬に使用した索道施設(山麓停留所・第1号支柱・第2号支柱・山頂停留所)及び設備基礎・構台等を撤去し、跡地の復旧を図っている。

《柳谷導流落差工》
 流出する洪水や土石流を谷中心部に流れるように導くと同時に洪水や土石流のエネルギーを落差工で減少させて渓床や渓岸斜面の浸食や崩壊を防ぐために作られた構造物で、柳谷の河床を階段状に水叩き型式の落差工で固定して山脚の固定・安定化を図り、上流部の河床堆積土の扞止を行うものである。

  • 第4回活動状況
  
  ★猿壁砂防堰堤改築工事★
 
猿壁砂防堰堤を見学する特派員   施工状況や工事の概要について
学ぶ特派員
    

  ★索道撤去工事★
 
現場の監理技術者から
解説を受ける特派員
  周辺状況を観察する特派員
    

  ★別当谷上流砂防堰堤★
 
工事概要の解説を受ける特派員   別当谷上流砂防堰堤を見学する
特派員
 
  ★柳谷導流落差工★
 
工事概要の解説を受ける特派員   柳谷導流落差工を見学する
特派員
 
活動報告 特派員の代表的な感想

【Y.B】
今年は連日猛暑となり、山方面に行くと少しは涼しいかもしれないという期待と、一年ぶ りに行く現場なので、現場の進捗状況も気になり、活動に参加させていただいた。 昨年も訪れた猿壁砂防堰堤改築工事現場へ。だいぶ工事が進んでいることにびっくり。 現場の作業員の方々のおかげだとつくづく思った。昨年は工事用の道路を作っていて、今 自分が立っているところはなかった場所。景観にも配慮をしながら、古くなった堰堤を改善 していく作業は、まだまだ続くとのこと、安全に進めていって欲しい。現場入り口のミスト は気持ちよかった。実はコンクリートミキサー車を冷やすためとは知らなかった。それにし ても暑い日には気持ち良い。川のそばの現場なので、ミストの水は冷たくて、風も心なしか 涼しく感じた。 その後、別当出合まで行き昼食。夏休みということもあり、平日なのに駐車場はほぼ満車 で、道路脇の路上駐車もかなり下の方まで埋まっていた。白山登山の人気ぶりが窺われる。 別当出合まで行ったら、吊り橋を渡らずにはいられない。すっかり登山してきたかのように 吊り橋を歩くと、谷を吹く風がとても心地よい。それから、別当谷へ。ICT無人化施工の現 場。昨年と比較しても、また新たに崩れてきた箇所があるという、繰り返される土砂崩れと ともに施工をし続ける困難さがよくわかった。 続いて、索道撤去工事現場では、昨年に引き続きの索道施設の撤去工事を行なっていた。 雪が多く、作業可能な時期が限られているにもかかわらず着々と進んでいるようだった。仮 の支柱を建ててからの撤去していく、かなり手間暇がかかるのがわかる。せっかく建てた索 道なのに、本当にもったいない。撤去工事は令和9年までぐらいかかるとのこと。 不動谷を上の方に眺める柳谷導流落差工は、いつ見ても自然の力の強さとそれと対峙して いる砂防事業を見せてくれる。土石流のエネルギーを落差工で減少させているのがよくわ かり、それが侵食や崩壊を防いでいることが理解できる現場だった。どうか新たな地すべり や、出水がないことを祈るばかり。 一昨年、及び昨年に参加した時に見学した工事現場を引き続き今年も見学出来、進捗が目 に見えてわかり理解が深まった。改めて、この大きな事業と、それに携わっている現場の 方々に。お疲れ様でした、そして、ありがとうございました。

【T.S】
昨年に引き続き「猿壁砂防堰堤」の改築工事現場を訪れました。完成から60年、老朽化や損傷が激しい堤体の機能を改善すべく、今年度は右岸側に着手されていました。コンクリートの厚みを増すため掻き込んだ既存壁があまりにも美しく、職人技に感動!とても丁寧に作業されてるのに好感がもてました。 おもしろかったのが、右岸へ渡るための仮設橋の上部設けられたアーチの管。スイッチを入れるとミストが降り注ぎ、砂防特派員の歓声が響いた。人のための暑さ対策かと思いきや、生コン車を冷やすためと聞き、再度、大笑い。 もとより自然相手の仕事だが、昨今の暑さは異常すぎる。人と地球のガマン比べに見えてきて、消耗戦にならなければよいのにと心配になる。 そのあとは、別当谷の上流部、甚之助谷地すべり対策工事現場、柳谷導流落差工を見学、豪雪が残した新たな爪痕をまえに、前向きに復旧に取り組む皆さんの気概がまぶしかったです。 ありがとうございました。