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第4回活動
--令和6年7月24日(水)
令和6年度第4回活動は、牛首川流域にて白山砂防現場研修を実施し、砂防堰堤の改築工事現場や地すべり対策施設の施工現場等を見学しました。
普段は一般の方の立ち入りが禁止されているエリアの見学が多く、第11号排水トンネルの施工状況や第1号大口径集排水工の施工状況などについて各現場の監理技術者から直接お話をお伺いし、貴重な経験と濃い学びが得られた活動となりました。
★参加人数★
7名
★白山砂防施設メモ★
《百万貫の岩》
百万貫の岩は、昭和9年(1934年)7月に起きた「手取川大洪水」により誕生した。梅雨前線による記録的豪雨と残雪に伴う融水により、手取川と合流する宮谷川から、土石流によって約3km流れてきたと言われている。この付近には当時流されてきた巨石がたくさん点在している。
《猿壁砂防堰堤改築工事》
猿壁砂防堰堤は昭和38年に完成し、60年余りが経過していることから、著しい老朽化や損傷を受けている。このため、土石流や大規模土砂流出に備え、洗掘などの機能低下を抑え、嵩上げによる機能向上を図る。
土石流や大規模土砂流出などの災害に対する下流域の白峰集落や、迂回路のない生活・観光道路である県道白山公園線などへの安全度の向上を図る。
《第6号排水トンネル》
第6号排水トンネルは、左岸ブロックの地下水を排除するために、昭和62年から平成7年にかけて施工されている。
この排水トンネルは294.4mあり、甚ノ助谷の排水トンネル内でも最も長いトンネルとなっている。
近年では、地すべりの影響からトンネルが変状し、今後の施設の維持管理については考慮する必要がある。
《第1号大口径集排水工》
甚之助谷地すべりの問題を解決する大口径集排水工の特徴として、従来の重機や設備が不要となったことによるコストの削減や、排水効果の早期発現による安全率の上昇、動き続ける地すべりによる変形・せん断に強く、大口径による高い集水能力を有するという点がある。
《第11号排水トンネル》
甚之助谷地区の5つの地すべりブロックのうち、右岸上流ブロックの移動が明瞭に観測されたため、令和3年度より第11号排水トンネルの施工が進められている。
トンネル入口から約45mの地点にボーリング室を設置し、ボーリング室から集水ボーリングを扇状に配置することにより、地すべりの原因となる地下水の排除を図るものである。
《別当谷上流砂防堰堤》
別当谷上流域は土砂生産が激しく、平成16年5月には大規模な土石流によって、別当出合の登山用吊橋の流出等の被害が発生した。
度重なる土砂流出により、別当谷の既設砂防堰堤の損傷や老朽化が進行しているため、補修・補強等を行って機能保全を図っている。
現場は斜面からの落石が多く、施工の際は大きな危険が伴うことなどから、遠隔で工事車両を操作する無人化施工を推進している。
第4回活動状況
★百万貫の岩★
百万貫の岩について説明を受ける
特派員
周辺状況を観察する特派員
★猿壁砂防堰堤改築工事★
猿壁砂防堰堤を見学する特派員
施工状況や工事の概要について
学ぶ特派員
★第6号排水トンネル★
第6号排水トンネルの解説を
受ける特派員
トンネル内の状況を観察する特派員
★索道撤去工事・第1号大口径集排水工★
現場の監理技術者から
解説を受ける特派員
周辺状況を観察する特派員
★第11号排水トンネル★
施工現場までモノレールで出発!
モノレール乗車中
現場の監理技術者から
解説を受ける特派員
現場周辺を見学する特派員
★別当谷上流砂防堰堤★
工事概要の解説を受ける特派員
別当谷上流砂防堰堤を見学する
特派員
活動報告
特派員の代表的な感想
【Y.B】
第4回の活動は現場研修で天気が心配だったが、途中小雨が降った程度で催行できてよかった。まずは、百万貫の岩、前日の雨で水量が多く、渡れそうにない。何度見ても大きくて、90年前の水害で流れてきたと思うと、土石流のパワーに改めて怖さを感じた。次に、猿壁 砂防堰堤改築工事現場へ。既存の堰堤の老朽化を改善、修繕しながら機能維持更には向上を 図る事業が進められていることは、ここに来るまで全く知らなかった。工事用の道路を作る ところから始まり、工事完了にはまだ時間がかかる。現場の方の生の声も聞けて、安全に工事が進んでくれることを願うばかり。続いて、甚之助谷第6号排水トンネル内の現状を見 学させてもらった。不動谷を横目に作業用の階段を登って、トンネル入り口に。そこからトンネル内に入っていく。真っ暗で少しひんやりしていて、水の音がする。これだけ地中の水 が出ていることに驚いたのと同時に、排水トンネルの必要性を認識できた。そのあとに行った索道撤去工事現場では、昨年の工事完了に伴って、ワイヤーを外す作業が行われていた。 せっかく建てた索道なのに、なんだかもったいない気がする。別の活用する方法とかがあればよかったのだが、なかなかそうもいかないようで残念。次に作業用モノレールに乗って、 第11号排水トンネルへ。昨年も見学させてもらったので、進捗状況が理解しやすかった。 昨年はトンネルに入り口で説明を伺ったが、今回はトンネル内に入らせてもらえた。こんなに工事が進んだということで、なんだか嬉しい気持ちになった。でも、トンネルの突き当た りのトンネルの水質の影響で、ライナープレートがやられてしまい、もう一度貼り直す作業 をするとのこと、本当に自然と隣り合わせの事業は想定外のことも起こり得ることを知っ た。続いて、現在工事真っ只中の第一号大口径集排水工の見学へ。作業用の組まれた階段を 何段も登り、工事状況が見える場所に行く。山を削り、土台を作っていた。限られた工事期 間もあり、完成には時間がかかりそう。現場は高地で涼しいとはいえ、熱中症対策の表示板 も設置され、作業員の安全対策もしっかりされていた。最後に訪れたのは、別当谷上流砂防 堰堤の現状見学。昨年の見学では、ICT無人化施工の遠隔操作バックホウを見せてもらったが、今年はその工事後の状況ということになる。天気が悪く、雲が立ち込めていて全貌は見 られなかったが、繰り返される土砂崩れの様子がところどころ垣間見えて、自然の脅威を再 認識した。二枚貝の化石?があったのも驚きだった。ここにある大地が生きていた、そして、今も生きている、と思った一瞬だった。 今回の研修は、昨年参加した時に見学した工事現場の進捗が目に見えてわかって嬉しく 感じた。改めて、この大きな事業と、それに携わっている現場の方々に頭が下がった。お疲れ様でした、そして、ありがとうございました。
【M.Y】
7月24日は楽しみにしていた白山砂防管内の現場視察でした。 当日は、朝方の土砂降りも上がりよい天気となり一安心で、まずは竹腰永井建設さんの猿壁現場、堰堤補修の作業道を作ってました。 大量の土砂を運んで上の堰堤までの道を作るとの説明で、本工事までには大変な作業なのだと思いました。 その後は甚之助6号排水トンネルを見て山が動いている現実を目の当たりにしました。トンネルの壁がゆがんでいて強い力がかかっていることがわかりました。次に大口径集排水工見学では、雨が降ってきて工事の過酷さもわかる状況でした。お話を聞いて、過酷な状況と工期までの雪の状況を考えての工事になるので大変だとおっしゃってましたが、工事の方は順調に進んでいるとのことでした。 その後モノレールに乗せていただき11号排水トンネルの中での工事を見学させていただき、昨年終了した工事で、トンネルの壁の腐食が見つかり工事の補修をしてました。予期せぬことが起きて腐食したとのことで、工事のご苦労がわかりました。 土砂災害を防ぐうえで必要な工事、我々の安全のために日夜努力をなさって安全に注意し仕事をされていることに感謝しました。 今後もいろいろな現場を見たいと思いました。 ありがとうございました。
【T.N】
今年度3回目の活動は、白山砂防管内牛首川流域の現場研修です。昨年度は流行病で参加することができず、今年は参加を楽しみにしていました。昨年と今年を比較すると、現場の工事の進み方(変化)もよく分かったのだろうなと思います。 まず、猿壁砂防堰堤を見学しました。設置後60年余り、川の流れや積雪、自然条件の厳しいこともあり、やはり老朽化は避けられず、機能向上のための改築工事が始まっていました。堰堤の改築といっても、すぐに本体に取りかかれるわけではなく、まず改築工事をするための資材等を運ぶための道路や資材や機材を置く整地されたスペースもつくるなど、事前準備にも時間がかかります。特派員の中にこの業務に携わっておられる方もおられ、実際の作業のお話も聞くことができました。 本工事に取りかかるまでに時間がかかるというのは、午後に見学した甚之助谷周辺も同様で、今年度は本工事前の土台を作っているなど、実際に排水工を設置稼働させるまでにはまだまだ時間がかかります。そもそも崩れやすい急峻な場所であること、雪が降り始めると、雪溶けまでは工事ができないこと、一番地盤が動きやすいのは雪解けの水がたくさんあるときであることなど、いろいろ厳しい条件が重なっていますが、そんな中でも、これからを見すえ、計画に沿った息の長い施工をされておられました。 甚之助谷の排水トンネルの中は地すべりの進行によるトンネルの変形を見たり、トンネル内のあちこちのたくさんの管から水が流れていること、一部水の酸性度が高いらしく、トンネル内部の工事のやり直しがあることなど、工事の方にお話を伺う。制御されているとはいえ、ものすごい土塊と水の力を感じました。外の山の斜面を見ていても、しみ出す水、湧き出す水、本当に、沢山の水がありした。 ここはジオパークで言う、水の旅石の旅のはじまりの場所でもあり、一歩間違えば大災害につながりかねない大きなパワーを制御しながら、下流の安全や生活のめぐみにつなげているんだなということも実感しました。 そして登山などの観光資源と砂防という防災が隣り合わせにある地域、砂防に出会うまでは、言葉としては知っていてもあまり意識したことのなかった「地すべり」ということを学べる地域であり、これからもたくさんの方に知ってもらいたいところだと思っています。 今回、参加直前にいろいろとたてこんでいて、やや寝不足の状態での参加となったのですが、お昼ごはんを食べたあと胃痛にみまわれ、雨の中、足もつったりなどもあり、何とか見学はできましたが、今後、特に現場に行かせてもらうときには、体調管理にもよくよく気を付けての臨まなければと反省も多々です。