金沢河川国道事務所

白山砂防における無人化施工
(遠隔操縦建設機械による施工)

開発の目的

 手取川上流域の柳谷、別当谷は、急峻な河床勾配と脆弱な地質条件から、山腹崩壊や土石流が頻発する危険な区域となっている。
 平成9年度から被災の激しい柳谷第3号砂防堰堤を補強するため、導流落差工工事に着手した。その際、土石流や落石等から作業員の安全を確保することを目的に既存無人化施工技術の活用と新たな無人化技術の開発を行い安全性及び作業性の向上を図ってきた。

開発の経緯

平成 9年

既存無人化施工技術で堰堤の無人化施工に着手
 外部型枠としてコンクリートを詰めた大型土のうを使用し、内部コンクリートは、バケット打設及びクレーンで吊ったバイブレータ装置で締め固めを行う。
 ただし、クレーンは安全な領域に設置しての有人操作。
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無人BHによる掘削
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コンクリート締固め状況
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平成11年

 型枠ブロックを開発し、既設堰堤の嵩上げ時の外部型枠として使用。

平成13年

 円形型枠を開発し、大型土のう外部型枠に替わる工法として据付、出来型精度の向上を図る。
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円形外部型枠とCo打設
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クレーン(有人)の作業半径(約30メートル)の制約により、落石や斜面崩壊の危険性が高い左岸側の施工が困難なため、新たな技術開発が必要。

平成14年6月

 遠隔操縦大型クレーンの開発に着手
無人化施工技術検討委員会を本局に設置
第1回(H14.6.14)
第2回(H14.9. 6)
第3回(H15.2.27)
事務局:金沢河川国道事務所等
災害時にも活用可能なクレーン性能や対象工種、施工マニュアルなどを検討。

平成15年2月

 遠隔操縦大型クレーンの改造(試作)に着手

平成15年9月

 遠隔操縦大型クレーンの現地試運転開始

平成16年7月

 遠隔操縦大型クレーンの本格稼働
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無人クレーンによる円形型枠設置状況
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無人化施工技術・遠隔操縦大型クレーンの活用

○ 落石や斜面崩壊の危険性が高い現場
○堤防決壊や土石流等災害時の応急復旧
○ 火山噴火に伴う火砕流等の危険性が高い現場での活用
○急峻な山腹での活用
 等、人が近寄ることが不可能な現場において活用を図っていく。

柳谷導流落差工における無人化施工

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柳谷全景
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無人化施工模式図
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