中学生の部 銅賞作品 「ホタル」 鷹野 舞 上田市立丸子北中学校

 私の家の近くには、小さな川が流れています。私がまだ保育園年長だったころ、今から約八年くらい前には、夜その川に行くとたくさんのホタルが近くの木や川の下の方にとまっていたり、空中をふわふわと飛びながら、黄色いおしりをピカピカと光らせていました。すごくキレイで、私はホタルとその光が大好きでした。その時は『あたり前』だと思っていましたが、それは「この川はキレイだよ。」とホタルがおしえていてくれたのだと思います。
 中学三年生になった夏の夜、お母さんとその川を見に行くと、淡い光が二つほど見えました。
「まだいたんだね。」
とお母さんは喜んでいたけど、寂しそうに飛ぶ二匹のホタルを見て、私はうれしいような、悲しいような、不思議な気持ちになりました。
 それから、その川の流れている方へたどってみると、五〜六ぴきのホタルが点々と川の近くの木にとまっているのが見えました。ホタルが減ったということは、こんな小さな川でさえ、汚れてきているということです。やっぱりホタルとは、その川のことを一番におしえてくれる生物だと思いました。でも、今年の夏、その日の他にホタルを見た日はありませんでした。
 今わたしたちは、平気な顔をして洗剤や汚れた水や油などを川に流したり、ゴミを捨てたりしていますが、それは全部、環境問題や水の汚染、自然破壊などにつながっていると思います。
 なぜ人は川にゴミを捨てるのでしょうか?
 「一つくらいまぁいいや。」とか、「面倒臭い」など思っているのかもしれませんが、もし日本中の人が、世界中の人々が、たとえ一人一つでも川にゴミを捨てたのならば、どうなるのでしょうか。みんな予想はつくはずです。だから一つのゴミで、川のその後が左右されることになります。その時の自分がした小さなことで、大きな川が変わってしまうのかもしれません。ゴミをゴミ箱やちゃんとした場所に捨てることは、比較的簡単なことだと思います。でも、汚れてしまった川やその川の水が流れこんでしまった海の水やそのせいで死んでしまった生き物などは簡単にもとのように戻ってくる訳ではありません。それには、長い長い年月と人々の協力が必要だと思います。
 自然の汚れは人の心の汚れだと思います。自然を大切にできないという事は、自分の身近にある本当に大切なものに気づいていないということです。人の心は気付かないうちに人々によって汚れていく・・・まるで自然、まるで川のようです。
 でも、自分や周りの人の気づかいや、心がけしだいで人の心も、自然も川もどうにでもなると思います。
 なぜ人間は自分のことしか考えていないのでしょうか? 少しでも、周りのことに気を配り、自然のことを大切に、大事に思ってくれたならば、そう思ってくれている人々が増えたならば、この世界は、今後すごく変わってくると思います。この先まっ暗だった自然界の未来がすごく明るくなると思います。私は信じています。そうなることを・・・。
 これからは、みんな一人ひとり、
 「自然を大切にしよう。」
 という気持ちをたくさん持ってほしいです。そして、すべての川や海の水がキレイになって、たくさんの生き物が安心して暮らせるようになり、夏にはたくさんのホタルが見られるようになってほしいです。
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