中学生の部 銅賞作品 「犀川の自然を守る」 小池 文乃 波田町立波田中学校1年
私の住んでいる波田町には、犀川へ流れ込む梓川が流れています。
 私の祖母は、子供の頃、梓川でよく泳いだそうです。私は、その話を聞いて、とても驚きました。なぜかというと、今の川は、川岸にゴミが打ち上げられ、泡のような物が浮いているのを見かけるので、川遊びに行っても「泳いでみたい。」と思った事はなかったからです。
 昨年の夏、私は水質検査のやり方を知り、梓川と犀川の水の汚染度を調べてみました。水質検査とは、パックテストによる「COD」の測定です。「COD」とは、「化学的酸素消費量」のことです。
 CODの汚れのめやすとしては、1ppm以下は、ヤマメ・イワナが住むきれいな川で、2〜5ppmは少し汚染されていて、10ppm以上が、下水・汚水となります。
まず、上流の乗鞍への入り口となる、「釜トンネル入口」の近く、「つばめ沢で調べてみました。
ここは、川幅が狭く、流れが速く、ゴミや泡などは全くない透明な水でした。カワゲラという、水のきれいな所にしか住んでいない虫も見つけました。CODは1ppmでした。水温が八度だったので、泳ぐには冷たすぎますが、飲んでみたくなるほどきれいな水でした。
次に、少し下流の「沢渡」という所で調べてみました。ここは、川幅が「つばめ沢」より随分広く、川底も深く流れ方も早いためか、生物が見られません。CODは4ppmでした。見た目よりも数値が高く驚きました。ここの近くには、上高地登山客のための駐車場、バスターミナルがあります。
次は、その下流の「雑炊橋」で調べました。この近くには、温泉があり、集落があります。川の流れは速いのですが、川の深さは浅く、ゴミは、あまりなかったものの、藻が沢山ありました。トビゲラが少し見られましたが、CODは、5ppmで思ったよりも高かったです。植物くさい臭いから、藻などの有機物のためかなとも考えられました。
 このように梓川が、犀川へとなるまでの流域を七ヵ所調べました。ほとんどの場所のCODが5ppmで、魚やトビゲラなどの生物がいました。ゴミなどのない所が多い中、気になったのは、国道脇の「島々橋」のゴミと、私達が、よく遊びに行った「下島橋」の所です。魚などが見られたものの、「下島橋」のCODは、10ppmでした。やはり、昔のように泳ぐことはためらってしまいます。波田町の中を流れているので、生活排水や田畑で使われている農薬などが、混入していたり、川原に落ちているゴミなどが影響しているのではないかと思われます。これらの水がどのように犀川に流れ込むのか心配になってきてしまいました。
 しかし、犀川へ入る手前の「ラーラ松本」周辺では、CODが5ppmとなり、トビゲラ、小さい魚、水鳥などが見られました。
 犀川では、「田沢橋」「木戸橋」「生坂橋」「大岡村道の駅横」「青木島橋」の所で調べてみました。
 「木戸橋」では大勢人達が、カヌーの練習をしていました。「田沢橋」までは、透明だった水の色が、ここから少し濁ってきました。ゴミはあまりありませんが、CODは7ppmです。
 「生坂橋」も、周辺に民家があり、ダムがあるためか、水は緑色でCODは6ppmでした。水草やタニシが沢山ありました。
 「青木島橋」まで行くと、水はまた透明度を増し、CODも5ppmとなりました。犀川は、梓川に比べるとやや濁っている所がありましたが、ゴミもほとんどなく、トビゲラがどこを調べてもいました。
 私は、この調査を始める前は、下流の犀川へ行くほど汚染されているのではないかと予想していましたが、上流の「下島橋」が一番汚れていることがわかり意外でした。その水がなぜ、きれいになっていっているのでしょうか。
 それは、河川には「自然浄化力」があるからです。川底の泥の中にいる微生物や川の小石に付着した藻類、河川敷に生えるアシなどの植物が水質を浄化してくれるからです。犀川流域は、どこも自然豊かで河川敷は沢山石や植物があり生物が多く生息しています。それらのお陰で浄化されているだけでなく、流域の人々の努力もあるように思われます。しかし、河川の自浄作用には、限度があります。一定以上の汚染物が入ると川の自浄作用だけでは汚れを分解できなくなり、水が汚れてしまいます。犀川の上流に住んでいる私達は、自分達の近くの川だけでなく、下流の川の汚れへ対する責任も考えていくべきだと思います。
 ゴミや汚水を流さない事。自浄作用の役を担っている自然を壊さないという努力の必要性を私は水質検査を通して考えることができました。
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