中学生の部 銅賞作品 「川がくれたもの」 宮澤 惇 信州大学附属長野中学校2年
「うわっ、汚ねー。」
 これが、給食室の生活雑排水を見た最初の僕の思いです。見た目は、油が浮いていて黄色くなっていました。それに加えて味噌風味のにおいでした。CODは、100ppmを超えていました。つまり、アルカリ性です。「油の付いた皿を洗剤(アルカリ性)で洗ったのだ。」と思いました。この他にも、洗面所、風呂場等が、水の汚染源だと思います。
 これらの生活雑排水を浄化する方法が、幾つかあります。その中の一つに「川」があります。川には、様々な有機化合物が捨てられていますが、汚れていてもCODは10ppmぐらいにおさえられています。なぜなら、川そのものが、有機化合物を無機化合物に分解したりしているからです。
 ゾウリムシ等は、有機化合物を食べます。ボウフラは、ゾウリムシを食べます。魚は、ボウフラを食べます。水鳥は、魚を食べます。こうして、有機化合物は川の外に、持ってかれます。川に住む様々な生物の食物連鎖によって、川の有機化合物は、なくなっていきます。さらに、川の泥の中にいるバクテリアは、有機化合物を無機化合物に分解します。そして、分解された無機化合物は、肥料として、水草に吸収されます。だから、川の水のCODは10ppmぐらいにおさえられているのです。
 この川の浄水方法を人間が、利用しています。それは、下水処理場で利用されています。下水処理場に流れてきた家庭下水は、沈砂地・第一沈殿槽・ばっ気槽・第二沈殿槽・汚泥処理施設を通ります。沈砂地・第一沈殿槽は、ゴミ・砂・細かい汚れを沈めて取り除きます。これは、川がゆっくり流れ、有機物が川底に沈んでいくところにあたります。ばっ気槽は、生活汚泥(微生物入りの泥)を下水に加え、これらが活動しやすいように空気を吹き込み六〜八時間かき回します。ばっ気槽の生活汚泥は、川底の泥とそれについているバクテリアと同じです。第二沈殿槽は、汚れを沈め上の方の水は、殺菌をして河川や海に流します。下の方の水は、ばっ気槽に戻します。つまり、川全体がばっ気槽にあたります。そして、第二沈殿槽は、有機化合物を無機化合物に分解するところです。汚泥処理施設は、沈砂地で沈んだ汚泥の脱水・焼却等をします。そして、焼却灰は内陸又は海上に持ってかれます。つまり、焼却灰は食物連鎖の水鳥にあたります。
 川は、下水処理場のもとになったのです。川が、人間の汚水の浄化の仕方について、アイデアをくれたのです。他にも、川は水辺の生物に住む場所を与えています。
 しかし、そんな川は、今とても汚れています。きれいな水にしか住まない生物は、川の上流へと住む場所を移していきました。浅川の下流では、生物はあまり見なくなりました。
 僕は、「川を汚すのも人間。川をキレイにするのも人間」と思っています。川は生き物ではありません。もちろん、自分の状態を人間に教えることもできません。だからこそ、人間が川の状態を把握し、川をキレイで生物のすみやすいものにしていかなければならないと思います。
 川は、水辺の生物にも人間にも欠かせないものです。川は、下水処理場のアイデアをくれました。水辺の生物にも、住む場所を与えています。そんな川をキレイにすることが、川にしてあげられる最大のお礼だと思います。空き缶を一つ拾うことができると思います。タバコをポイ捨てしないことができると思います。自分が、川に対してできることをしてやればいいのです。それが、川をキレイにするスタートラインだと思います。それが、川にも人間にも一番いいことだから・・・。
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