中学生の部 銅賞作品「川と自然環境」岩田 愛加 信大附属長野中学校
川は、私達にとって絶対に必要な物です。私達人間の体内は約60%が水です。その水の多くは、飲み水から体に取り入れます。飲み水は水道から、水道の水は、川から取り入れるのです。けれども今、その大切な川が私達の手によって汚されているのです。
 川の汚れの多くは私達の生活の中で家庭から出される排水です。排水は、洗濯、風呂、台所、トイレ等から出ていきます。下水道が施設されている所は、まだ良いのですが、それ以外の地域の所はそのまま汚れた水が川に流れこんでいきます。汚れた水はそのまま小さい川から大きな川へ下っていきます。その川の水はやがて海に流れこんでいくわけです。すると今度は海が問題になるのです。川の水は上流に行くほどきれいな水になります。人が出す排水の量が少なくなるからです。

川の汚れは家庭で出る排水だけではありません。もう一つの大きな問題は、工場から出る工場排水です。工場排水の中には人体に有害な化学物質を含んでいる物もあります。有害な物質を含んでいる汚染は、ふつう目に見えるゴミの汚染よりずっと恐ろしいそうです。なぜかというと、もともと化学物質というのは、自然界には存在しない物で人間が作り出した物質でしたが、その中には有害な物質があります。少しの量でも害になる物があります。ふつうのゴミは微生物が分解してくれてきれいになることもありますが、その有害な物質には、自然の力ではなくせない物もたくさんあるのです。ですからその有害な物質は永久に水の中に残ってしまうこともあるのです。

川がきれいかどうか調べることができます。川にすむ生物たちで調べます。この生物たちのことを生物指標といいます。

きれいな水域には ・・・ エルモンヒラタカゲロウ、サワガニ、オオヤマカワゲラ、ヘビトンボ、ウズムシ、ヒゲナガカワトビゲラがいます。
ややきれいな水域には ・・・ シヤマトビケラ、シロタニガワカゲロウ、サナエトンボがいます。
やや汚れた水域には ・・・ ミズムシ、シマイシビルなどがいます。
汚れた水域には ・・・ 赤色ユスリカ、イトミミズ、サカマキガイがいます。

その他に川の中ではなく、その外でも分かる生物指標があります。例を二つ上げてみます。

  1. 川の中流にまでコサギやユリカモメなどの白い鳥が飛んでくると、自然がもどってきたのかと思ってしまいますが実際は川の汚れが進行して、田んぼにいるような汚れに強い生物が生息していることを示しているそうです。
  2. 河原にセイヨウカラシナやセイヨウタンポポなどの、外来種の黄色い花が、たくさん咲きだすようになってきたら、そこはリンや窒素などの栄養塩類が増大してきていることを示すそうです。

最初に出した水の中の生物指標の汚れた水域の中のユスリカ、イトミミズのような赤い色をした生物がたくさん認められる場合には、水中の有機物が増えて酸素が少ない汚れの進んだ水質を示すそうです。
 これらの水の汚れ、川の汚れから、日本では「ミネラルウォーター」の使用がだんだん増えていっています。その消費量は、昭和六一年から平成七年にくらべて、十年で約八倍の伸びを示しています。いままでは、ミネラルウォーターは、レストランやホテル、スナックなどで主にウイスキーの水割りとして使われてきましたが、川の汚れや水の汚れで、現在は、一般飲料として、多くの人が利用しているそうです。

ミネラルウォーターなどを使って楽しようとせずに、自分たちの手で、川の水をきれいにしていきたいです。工場排水までとはいきませんが、家庭から出る排水はなんとか自分たちでおさえれるのではないでしょうか。汚れた食器やフライパンなどは、そのまま洗わず、キッチンペーパーなどで、ふきとってみてはどうでしょうか。食器洗い用の洗剤は、出しすぎずうまく節約してはどうでしょうか。お米のとぎ汁だって、庭の植木にやったら、栄養になります。ほんの小さなことで、川の汚れや、水の汚れはなくなります。水の汚れ、川の汚れがなくなれば、いったんいなくなった、生物たちも、もどってきます。一度使った所がダメになったら今度はちがう所にたよるのではなく、そこをまたもどす努力をしていきたいと思います。たった一つの地球です。

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