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大源太第1号砂防堰堤について
 (3)技術的な特徴
 
<堤体の構造>
 堤体は『粗石コンクリート構造』と呼ばれる構造形式となっています。これは、表面を間知石(けんちいし)などの割石で構成し、内部には付近の河床材料とコンクリートを充填したものです。この工法を用いれば、高価であったコンクリート量を低減することが可能であったことから、当時の砂防堰堤建設にあたって一般的に用いられた構造形式です。
 表面の石の積み方には以下のような方法がありますが、大源太第1号砂防堰堤で採用されているのは『矢羽積』と呼ばれるものです。矢羽積は施工に当たって高度な石積み技術を要するものの、できあがった景観が整然としていることから、大正末期以降の構造物において多く採用されています。
<アーチ式砂防堰堤>
 アーチ式砂防堰堤の事例は全国的に多くなく、全国で100基に満たない数です。これは、アーチ式砂防堰堤の場合には堰堤サイト両岸の岩盤が良好である必要があり、機能面と合わせて考慮した場合に、アーチ堰堤を建設するための適地が多くないためです。
 なお、一般的にアーチ式砂防堰堤は重力式堰堤に比べて堤体積を1/3程度に軽減することが可能であり、経済的な構造形式と言えます。大源太川第1号砂防堰堤に関しても、堰堤サイトの岩盤が良好であったことから経済的に有利なアーチ式を採用したものと考えられます。

つづき