関川流域委員会第3回WG議事要旨
日時 : 平成15年7月4日(金) 10:30〜12:30
場所 : ホテル センチュリーイカヤ
1.概要
 住民意識調査について議論し、調査の骨格について合意するとともに、次回WGに向けた作業内容・スケジュールを決めた。なお、次回WGに向けた作業は次のとおり。  
(1) 資料−10、11について、追加すべき項目、削除すべき項目を考える。
(2) 関川に関する知識を問うための簡単な、Yes、Noで答えられるクイズを考える。
(3) 流域市町村の町内会の位置・世帯数を調査する。(事務局)
 
2.住民意識調査について
(これまでの研究成果等について)
( 1 ) 例えば、水害の危険を強く感じている人が、水害について何とかしようと思い、行動する意図を持っている。河川環境の整備については、自分たちにある程度の責任があると強く思っている人の方が関心、動機、行動意図に対する相関がより強い。河川の生態系についても同様の関連性があり、何かを行ってそれなりの意味があること(対処有効性)が生態系の保全には効いている。
( 2 ) あまり込みいっていない事項について、A〜Dの中から選択するだけのアンケートであれば、百二、三十項目くらいまで答えてもらえると思うが、150項目を超えるとなかなか全部は答えてもらえないと思う。
( 3 ) 以前東京大学の学生が実施した関川流域におけるアンケート調査結果から、流域の住民の関心度が良く理解できた。
( 4 ) 強い関心を持っている人、動機が割と高い人ほど、自分は何も知らないと言う傾向があり、行動についても同様の傾向がある。このため、行動については実際にその人の行動を見てみないと分からない。しかし、知識についてはクイズである程度分かる。
( 5 ) これまでの経験では、知識に関するクイズ(「Yes」「No」で簡単に答えられるクイズ)は最大20問程度までだと答えやすいようだ。
(調査目的について)
( 6 ) 地域によって差がある(ある地域では多くの人がそう考えているが、他の地域ではそうでもない)項目について調査することは重要である。
( 7 ) 調査により、地域ごとに同じような考え方を持っている面があること、自分たちの地域と他の地域では違う考え方を持っている面があることを流域住民に理解してもらえるのではないか。また、住民にとって好ましい(親しみのある)関川にするために具体的に何ができるかを明らかにし、関川流域における水の基本的な考え方の素案に反映させてはどうか。
(調査内容について)
( 8 ) 流域住民の真意を知りたいので、うそをつけないアンケート調査としたい。また、嫌がられないような質問でなければいけないと思う。
( 9 ) ○×式アンケートも良いが、地域の人たちがどのような関心を持っているのか具体的に聞くことも必要ではないか。(自由記述欄も必要ではないか。)
(10 ) 水防・防災関係の人は理解していると思うが、一般の人は危険度についてあまり良く知らないと思うので、「情報」について質問項目に加える必要があろう。(「警戒水位の意味」「どのような情報に関心があるか」等)
(11) 「現在の関川で採取した魚を食べてもいいと思いますか」といった質問を追加すべきではないか。
(12) 下流部の人が上流部で広葉樹を植え、林を整備するといった動きも部分的にはあり、水系全体で環境というものは成り立っていると思う。流域内あるいは上下流の交流について質問すべきであろう。
(13) 公共交通機関が非常に不便な土地柄であることを踏まえ、資料−10の「自動車の使用は控えて自転車や公共交通機関を利用する」との項目は修正すべきではないか。
(14) 資料−10の知識等に関する項目に「長良川河口堰問題」とあるが、「脱ダム宣言」の方が近所ではないか。
(15) 川の景観で重要なのは水の色であると思うので、水の色に関する質問を入れてはどうか。(川の色が茶褐色であるから汚いとは一概に言えないが、住民から「下流域の関川は色が汚い」とよく聞く。)
(16) 具体的過ぎる、固有名詞が出るような項目を入れると、それに全体が影響されてしまう恐れがある。
(調査対象者の抽出について)
(17) 流域内の市町村の内、長野県内の戸隠村、飯山市、信濃町は対象外としてはどうか。
(18) 最低、各市町村から2町内会(川に近い(水害の影響を受ける、川と接しながら生活している)町内会と川から多少離れた町内会)を選ぶとともに、市町村の人口割合を考慮し、また、河川の主要な部分については左右岸から選ぶことを原則とし、町内会のゾーニング(区域分け)を行い、その中からランダム(任意)に町内会をサンプリング(標本抽出)し、選ばれた町内会については全戸調査を行ってはどうか。

3.今後の予定について

( 1 ) 次回第4回WGは8月1日(金)の10時30分から開催する。
( 2 ) 7月25日(金)までに下記について各メンバーは事務局まで提出するものとする。
・ 資料−10、11について追加すべき項目、削除すべき項目
・ 関川に関する知識を問うための簡単な、Yes、Noで答えられるクイズ
( 3 ) 事務局は、調査対象町内会のサンプリングに向け、流域市町村の町内会の位置・世帯数を調査するものとする。

4.その他

( 1 ) 日頃住民といろいろ話していると、水離れを感じる。関川の水は汚いというイメージがあり、川を大事にしないことにつながっていると思う。汚い川ならゴミを捨ててしまえというところがあり、通勤途中川の欄干からゴミを捨てている姿を見る。きれいな川づくりを目指さないと、川を大事にしないのではないか。
( 2 ) 確かに川幅は広くなったが、河口に土砂が堆積し、一部では水鳥の足が着くくらい浅くなっており、必ず水害は起きると感じている住民も多い。住民意識調査結果を踏まえ、住民同士の水防ネットワーク等の構築、情報、ハザードマップを含め、水害が起きたときの対処に関する国の支援のあり方などについて専門分科会で考えていきたい。
( 3 ) 稲田橋近くの電光掲示板に水位を表示してもらっているが、もう少し市民に分かるように、ハザードマップを作成した上越市を含め、一緒に検討していきたい。
( 4 ) 災害対策などが進むと、上流から土砂が出てこなくなるので、下流の石ころなどがなくなり、自然な川、昔の川、生活の場としての川でなくなってしまう面(環境の悪化、海岸の侵食等)があると思うので、一部でいいから復旧できないだろうか。
( 5 ) ある程度土砂を山から供給しながら治水、環境等を同時に考えていく河川技術を新たにつくっていく必要がある。ダムにたまった土砂をうまく排出する技術の確立などが重要であろう。
( 6 ) 昔、中・上流部で、刈った草などを川へ捨てることが多かったように思うが、今も同じ感覚で捨ててしまう面があると思う。(子どもなどには環境教育が行きとどいていて親などをしかるくらいであるが。)上流部ほど川の汚染に対して加害者意識が薄く、結局下流部にしわ寄せが来る部分がある。
 
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