関川モニターさん(男性 70代) 上越市在住


平成30年12月報告

【活動報告】
 ○行動日:12月17日(月)くもり
 ○時間:15:05〜15:35
 ○場所:高田大橋下流右岸
 ○目的:降雪期の工事について

 私は、当該箇所は緊急な工事を必要としない箇所であると思っています。何故、日没が早く、かつ、降雪期に向かうこの時期に工事を行うのか、疑問に思っていた折、高田かわこくHPで関川上流部河道掘削その5工事進捗状況を見ましたので、現地を堤防上から見てきました。

 ここで、私が注目したのは、河道掘削した部分に滞留した水をポンプで汲み上げ、土砂を沈降させ上澄みを関川に放流していた事です。
 一般的には、川の工事なのだから工事中に発生し水は排水としてそのまま、本流に流しても仕方ない。若しくは、川の工事なのだから川に流して当然だと思っていました。
 国道18号線高田大橋から工事現場を確認しました。
 工事箇所は本流の流れを堰き止める仮堤防が設置されていて、掘り下げられた内部に浸み出る水(排水)を汲み上げるホースが設置されていました。
 環境に配慮して対策を講じる現在の工事ですが、ここまでやっているのかと感心しました。
 また、私は堤防護岸工事で、河川部と堤防法面接続部がどのようになっているのか関心がありました。想像では鋼矢板を垂直に打ちこんだ頂部から、法面に沿って連接ブロックを張り付けると思っていました。現場では河道部にブロックを敷き、そこから連接ブロックを法面に張り付ける工法のように見えました。

左岸から見た工事現場

 何故、降雪期に向け護岸工事を開始するのかについて工事現場を見ながら、私なりに考えると、工事の進捗と安全面から、川の水位が下がった時期に工事を実施した方が作業効率が良いので、毎年この時期が護岸工事の時期としてベストと勝手に判断しました。
 しかし、当地は豪雪地域です。この時期に工事を行う作業員の皆さん、寒い中ご苦労様です。
 今のところ雪は積もっていませんが、油断・安心は出来ません。最近は想定外の超・激がつく振り方に警戒する気象状況下での作業です。
 関川では他にも降雪期の工事が実施されています。寒さ厳しい時期ですが頑張ってください。
 御安全に!

【事務所からのコメント】
 
 
12月分のモニター報告、ありがとうございました。
 施工中の工事に興味をもっていただき、ありがとうございます。

 気象庁からは今冬は暖冬という予報が出ていますが、何故こんなに寒くなる時期に河川の工事を行っているのでしょうか。
 1年を通じて、梅雨や台風といった集中豪雨により洪水が起きやすい時期を「出水期」といい、それ以外の時期を「非出水期」といいます。関川の場合、毎年6月1日から9月30日までを出水期、それ以外の期間を非出水期としています。
 洪水時の作業員の逃げ遅れや河川敷に置かれた材料や重機の流出、また、施工中の堤防等の河川管理施設を施工前の状況に戻すことができずに被害が発生してしまう恐れが出水期では高くなります。
 そのため、原則として河川の工事は出水期には行わないこととしており、高田かわこく管内の関川での河川工事は、非出水期である冬期間に実施しています。
 なお、以前モニターさんが見られた木田地区の大きなブロックの製作については河川敷に重機が入り込む1日あたりの時間が非常に短いことや、ブロックそのものが重く流されにくいことから、出水期である真夏でも作業を実施しました。

 下の図を見て下さい。普段水が流れている部分の幅が狭い場合と広い場合とで、同じ規模の洪水が流れた場合、受け入れる余力が大きいのはどちらでしょうか?
 

 堤防から堤防までの距離が同じでも水が流れている部分が広い方が、余力は大きくなります。
 さらに、狭い箇所は洪水の時に瓶の首の部分のように水が流れにくい状態(ボトルネック)になり、上流部の川の水かさを上昇させてしまいます。
 今回の関川上流河道掘削その5工事については、洪水発生時に安全に水が流せる様に、普段水が流れている部分の幅を広くするための工事です。
 水が流れている部分を機械で掘って幅を広くする工事ですが、川岸を土砂のままにしておくと川の流れにより局部的に深く掘られたり、洪水の時に堤防の近くまで削れてしまう恐れがありますので、川の流れから川岸を守るためブロックを張り付けています。また、この地区は普段水が流れている部分から堤防までの距離(河川敷の幅)が広いので、矢板は打ち込んでいません。
 このように施工現場毎の地形等をふまえて適正に工法選定しています。

 河川工事によって川の底を掘ると川の水が濁ってしまうため、そのまま流すと生き物に少なからぬ影響を与えます。時期によっては、アユの稚魚が海に下る時や、サケの遡上にも影響する恐れがあります。そのため、ご覧頂いたように「沈殿池」で泥をためて上澄みだけを排水しています。

 雪の少なかった12月でしたが、年を越して本格的な雪シーズンとなりました。
 雪が積もると、その下には何があるかわからなくなり、足下が非常に危険です。くれぐれもご無理をなさらずに、安全第一でモニター活動を行って頂きます様、お願い致します。
平成31年1月
高田出張所