高田公園のお堀を使って、排雪を手伝っています

 上越市の市街地に降った雪の雪捨て場として、関川の川原を使っていますが、より市街地に近い雪捨て場として、高田公園のお堀を利用しています。お堀には水温の高い関川からの水を取り入れ、お堀の水を流すことで雪が効率的に処理できるようになっています。
 この設備は、2001(平成13)年に完成し、これまでに平成13年・18年・22年・23年に稼動しました。この設備によって、一斉雪下ろしの際の雪処理が素早くできるようになるだけでなく、排雪用ダンプによるCO2排出の削減や渋滞を少なくするなどの効果があります。

上越消流雪設備の仕組み

1 上越消流雪用水機場から関川の水を取り込みます。
2 市道下の導水管を水が流れ、
上越消流雪用水放流施設から、外堀に放流されます。
3 外堀を水が流れ、雪を溶かします。
4 外堀から続いている水戸の川へ流れ出します。
5 稲田橋の上流で関川に流れこみます。

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上越消流雪用水導入事業の効果

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環境面への効果

雪捨てのためのダンプは約1,300台 平成23年の上越市街地の一斉雪降ろしでは、約1,300台のダンプが使われました。雪捨て場までの距離を約8km短縮! 一斉雪降ろしが行われたあとの雪捨て場は、約10km離れた、上越運動公園を予定していました。上越消流雪事業を利用し、市街地から約2.2kmの高田公園に雪を捨てられるようになり、約8kmの距離を短縮できました。CO2排出量を約20t削減!! 1,300台のダンプの走行距離が約8km短くなったことで、排出されるCO2が約20t削減されました。

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経済面への効果

排雪ダンプの走行距離の短縮によるダンプの走行経費の削減や、道路の渋滞が減る効果など、経済的な効果もあります。

「上越消流雪用水導入事業」は、雪捨て場を市街地のそばに設けられることによって、雪の処理ができるだけでなく、環境面・経済面の効果があります。また、郊外にある雪捨て場が利用できない場合でも、確実に雪が捨てられるというメリットがあります。

川の流れを守る効果

 関川の河川敷は、毎年、市街地の雪を処理するための「雪捨て場」としても利用されています。いずれの場所も、豪雪時にはほぼいっぱいになってしまい、雪捨て場はさらに郊外の場所になってしまいます。
また、春先は、上流の山の方で雪が溶けることで、川の水が多くなります。雪捨て場の雪がいつまでも溶けない場合には、春先の雨や気温が高くなることで一度にたくさんの雪が溶け、上流からの融雪の流れとともに、上越市街地で急に川の水が増えてしまうおそれがあります。
高田城のお堀の消流雪施設は、雪捨て場に余裕をもたせるとともに、春先の川の急な増水を防ぐ効果もあります。

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高田地区の年最大積雪量
稼働した年の積雪深
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上越消流雪用水導入事業Q&A

Q. 城のお堀に川の水を取り入れることは、他の地域でもあるのですか?
A. 川の水をお堀に取り入れているのは、高田城だけです。雪を処理することを目的に流雪溝に川の水を利用することは、新潟県内では妙高市や長岡市などで行われています。

Q. どうして、お堀の雪が溶けるのですか?
A. 普通、お堀には池のように水がたまっています。この水はあまり流れないので、冬には水温が1℃ほどになってしまいます。この水温では、雪を捨ててもあまり溶けません。お堀に関川の水温の高い水(4~6℃)を引き込むことで、お堀の水温が上がり雪が溶けやすくなります。また、水が流れることで雪が溶けやすくなる効果もあります。実際に、氷や雪に水をかけたりして、実験してみるとよくわかります。

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高田公園のお堀の秘密〜昔は関川だった!

 徳川家康の六男 松平忠輝(まつだいら・ただてる)が、高田城をつくりました。高田城をつくる時、その時代には曲がりくねっていた関川を外堀として使うことにしました。
 それに合わせ、青田川、儀明川の流れを変える工事も行い、新川を新たにつくりました。このようにして、現在の上越市高田の街を流れる川の形ができました。

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